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「普及版センサ技術」から考える介護イノベーション(7 磁気センサ)


はじめに

25年前の専門書「普及版センサ技術」
この本を一通り読んで、様々なセンサーについて、介護に使えそうかどうか、考えたいと思います。

今回は、磁気センサを扱います。まず「普及版センサ技術」の磁気センサの章を読んでみて、これぞ物理って感じでとても難しい。エンジニア時代に磁気センサに触れてこなかったことも、敷居の高さになっている感があります。でも、非接触で測定出来るのですから、介護への可能性に夢を感じます。良い記事になるかどうか、自信はありませんが、磁気センサが介護に利用される未来を信じて、頑張ってみたいと思います。

7 磁気センサ

磁気を利用する検出器を磁気センサという。磁気センサの大きな特徴は、磁界を媒体とすることにより変量の非接触検出が可能となることである。このため、磁気センサは、機械的変量の検出や、生体などの無侵襲計測、あるいは地下資源探査等のリモートセンシングなどに広く利用されている。

「普及版センサ技術」より

磁気センサとして身近に利用されている物に、磁気ヘッドがあります。
データ記録媒体である、カセットテープ、ビデオテープ、HDDは、原理的には小さな磁石を塗装して利用していると考えられます。磁気ヘッドはS極とN極が近接したリング状の電磁石を内蔵していて、これら記録媒体の読み書きを行います。
参考文献として、TDK様の記事を添付します。「テープレコーダの磁気ヘッドと磁性粉」の巻|じしゃく忍法帳|TDK Techno Magazine

医療分野ではMRIやNMRの応用が知られています。脳磁場を測定する設備も実用化されている様です。
MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)やNMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)は、強い磁場の中に測定物(試料や人体)を置いて、構成する原子の原子核に磁場を作用させます。そこに様々な周波数の電磁波を放出すると、周波数によっては共鳴が起こります。共鳴状態から定常状態に戻る過程で出る高周波を検出する、という物です。
MRIや脳磁計など、体内磁場測定装置は、絶対零度付近の超低温下で生じる超伝導現象の応用でもあります。液体窒素より低温の液体ヘリウムが利用されていて、装置は大掛かりになります。
また、体内磁場は地球の磁場など環境磁場に比べると微小なので、装置は環境磁場を遮蔽する為に大掛かりになります。
参考文献として、アナログ・デバイセズ社様の磁気共鳴画像(MRI)入門を添付します。

https://www.analog.com/jp/technical-articles/introduction-to-magnetic-resonance-imaging-mri.html

磁気ヘッドや生体磁場測定装置は、非常に微小な磁性体を検出するもので、介護への応用は難しいのでは、と感じました。
地下資源のリモートセンシングに利用される磁気センサは、超電導電磁石の磁気センサとの情報があり、絶対零度付近の低温を維持するなど装置は大がかりなので、介護分野には応用されないと感じます。

調べて行くと、身近で比較的大きな磁性体を検出する部品が、色々と製品化されています。下の1️⃣〜3️⃣は、ノートパソコンの開閉スイッチや、モーターや流量計の回転位置検出、自動車のフットペダルやハンドルの位置検出、防水構造でのスイッチ、窓の防犯スイッチなど、様々な用途で利用されています。

1️⃣ホール素子
中学校理科で習う「フレミング左手の法則」の応用と言えます。電流に垂直に磁界がかかると、電子に力が及んで電流が曲げられた結果、電圧を生じます。その起電力を利用する電子部品になります。

ご参考に株式会社マクニカ様のホームページから「はじめての人でも分かるホールセンサーの原理と種類」を添付します。

2️⃣磁気抵抗エレメントセンサ
電流を流した導体に磁場をかけると、その抵抗値が変化する、磁気抵抗効果を応用した電子部品になります。村田製作所様などから製品化されています。

村田製作所様「AMRセンサ(磁気センサ)利用方法・用途」

3️⃣リードスイッチ
リードスイッチは、ガラス管の中に2本の金属棒(リード)が離れた状態で封入されています。磁石を近づけるとリード同士が接触して電気的に通電します。


⚫︎ドアや窓などの開閉を検知して見守り
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