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かつての介護タクシー

時々更新しております。
前回は「介護タクシー利用できないケース」についてお話しいたしました。

今回は「かつての介護タクシー」についてお話しいたします。


介護タクシー今昔物語

箱根駅伝中継時、よく今昔物語(かつてのランナーを取り上げる)が紹介されます。
介護タクシーにもあります、今昔物語が…。

身体介護と通院等乗降介助

確認です。
現在、訪問介護サービスには3つの種類があります。
身体介護生活援助通院等乗降介助です。
身体介護は報酬が高く、計画に必要性を盛り込み、自宅での介護時間に20分以上を要することで報酬請求の対象となります。

介護保険が誕生した2000年には、タクシーによる乗り降りや移動の介助の出現に介護保険を充当させることを国は想定していなかったのでしょう。

かつては身体介護で算定

訪問介護の中に通院等乗降介助が誕生したのが2003年頃です。
それ以前は通院等乗降介助という項目がなく、介護保険による移送サービスは訪問介護の項目のひとつ身体介護を使っていました。
つまりは介護タクシー(=通院等乗降介助)ではなく、介護タクシー(=身体介護)だったわけです。
ちなみに清掃・洗濯・買い物・調理などは、生活援助という項目に含まれます。

身体介護の定義
2024年4月からなんとビックリのマイナス改定です。
介護報酬改定については、後日記事にしたいと思います。
尚、下記料金は物価等を考慮して東京都や大阪府等の都会ではアップします(生活援助、通院等乗降介助も同様です)。

  • 排泄介助・食事介助・入浴介助・行為介助・移乗介助・特段の専門的配慮をもって行う調理など。

  • 介護報酬
    20分以上30分未満 2,500円→2024年4月から2,440円
    30分以上60分未満 3,960円→2024年4月から3,870円
    60分以上90分未満 5,790円→2024年4月から5,670円
    以降30分増すごとに算定 840円→2024年4月から820円

生活援助の定義

  • 清掃・洗濯・買い物・調理など

  • 介護報酬
    20分以上45分未満 1,830円→2024年4月から1,790円
    45分以上 2,250円→2024年4月から2,200円

通院等乗降介助の定義

  • 通院時の移乗介助・移動介助・乗降介助・受付介助など

  • 介護報酬 1回990円→2024年4月から970円
    通院等乗降介助には時間の設定はありませんが、おおよそ自宅での介助時間7~8分、病院での介助時間5分前後、合計12~13分を想定しています。
    身体介護が20分以上ですから、通院等乗降介助は20分未満というのが常識的な考えでしょう。
    尚移送時間は介護報酬の対象にはならず、移送時間と介護サービス時間は分けて考えるのが制度主旨です。
    つまりはタクシー代が発生し、別途徴収することになります。

項目別訪問介護まとめ 単位数(料金)は2024年4月から改定した数値です。
金額は物価等を考慮して地域ごとに異なり、東京都等は20%増しです。
スロープは本当に役に立つ、活用できる福祉用具です。
市町村の年度利用枠は決まっていますが、住宅改修可能なお宅は改修していただきれば幸いです。

通院等乗降介助誕生の理由

2024年2月現在の身体介護は20分以上30分未満2,500円(1割負担250円・2018年3月までは2,450円でした)ですが、介護保険開始当初の身体介護は2,100円(1割負担210円)でした。

身体介護の報酬

私たちが訪問介護を開設したのが2003年、すでに通院等乗降介助は存在していました。
介護保険サービス誕生の2000年頃から2003年頃まで、3年程度介護報酬の高い身体介護による介護タクシーを行っていたことになります。

  • 自宅から病院が1分ほどの距離でも2,100円を介護報酬請求していた。

  • 自宅での介護時間が20分にも満たないのに介護報酬請求していた。

タクシーメーターで2,100円を上回る場合は、おそらく追加料金をいただいていたものと思われます(未確認)。
それが当然問題となり、改定の際に見直しとして登場したのが通院等乗降介助ということになります。
通院等乗降介助はタクシー会社に上記の対応をさせないようにするため、新たに設定された項目であるとも言えます。

タクシーでの乗降や移動介助の出現を国は想定していなかった?

実際私の住んでいる市町村では、上記の対応をしていたタクシー会社の訪問介護事業所が存在しました(法人自体は倒産しました)。
以下は介護報酬単位数の変遷ですが、2024年2月現在と2024年4月からは前出した通り、

  • 通院等乗降介助 2024年2月現在990円 2024年4月から970円

  • 身体介護 2024年2月現在2,500円 2024年4月から2,440円

頻回に変わる介護報酬

通院等乗降介助は頻回に変える必要がないと個人的には思っています。
国も訪問介護事業所に調査(アンケート)を依頼し、それを根拠に報酬改定を行い、変えたことにより職責を全うしたと主張するのでしょうが、介護タクシーの単位数は現状維持がベスト、ましてやマイナス改定などもってのほか、1,000円がベストと考えます。
970円では…厳しい運営を強いられるでしょう。

報酬の変遷です。2,100円が暗黙の了解で認められていました。事業所にとっては良い時代であったと言えるでしょう。 消費税が5%から8%に上がった際に経費上昇分を加味し、1,000円から1,010円に上がりました。 ※2018年度の報酬改定では若干のプラス改定、980円となりました。ちなみに身体介護は2480円となります。その後990円と2,500円となり、2024年度は970円と2,440円となりました。

2018年の身体介護は20分以上30分未満2,480円(1割負担248円・2018年3月までは2,450円でした)ですが、介護保険開始当初の身体介護は2,100円(1割負担210円)でした(その後、2,310円→2,540円→2,550円と変遷)。
利用者から移送費を含めて210円のみを受け取っていました。
ということは、2,100円を介助料とともにタクシー代に充当させていたことになります。
それが当然問題となり、改定の際に見直しとして登場したのが通院等乗降介助ということになります。
1,000円になった通院等乗降介助ですが、以前と同様、別途移送費を取らずに対応する事業所が出てきてしまいました。
実は当事業所もそうなのですが……。
周囲のタクシー会社が競争と称してそのような対応をしており、料金を合わせざるを得なかったこと、また利用者を増やしたいという理由によるものでした。

移送費を取らないのは法律違反

今思えばなんて愚かな、そして介護保険のためにならない、保険の無駄遣いを助長するような行為だったと思います(利用者側に立った反論意見も当然あります)。
ヘルパーの認識も介助費というよりタクシー代という認識があり、肝心な介助行為そのものに利用者が満足することが少なかったのではないでしょうか。

今後も制度の改定、あるいはタクシー管轄の国土交通省の指導により料金体制の変更があるでしょう。
これからは正しく、本当に介護タクシーを必要としている利用者のために、事業所も扱いを誤らないような素晴らしい制度になってほしいと思います。

今回は「かつての介護タクシー」についてお話しいたしました。

次回は「介護タクシ車輛」についてお話しいたします。

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