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へびのクリクターと休む

 トミー・ウンゲラーの作品紹介シリーズ第5弾。これまで以下の4冊を紹介してきた。 トミー・ウンゲラーの描く絵は海外漫画的だし、ショーン・タン以降海外漫画と絵本の境目も曖昧になってきているということで、トミー・ウンゲラーの作品群は定期的に紹介させていただいている。これまで紹介してきた作品は以下の通り。

 本作品は、フランスの女教師がブラジルで爬虫類研究に勤しむ息子から誕生日プレゼントとして蛇をもらう。この蛇がクリクターという名前で、ゆくゆくは街の人気者になるという話だ。

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 わりと余白のある感じとポイントとなる緑色。これと差し色となる赤色の配色が綺麗だ。なにより、トミー・ウンゲラーあるあるだと思うのだが、少し揺れるような線がとても繊細に感じられていい。

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 上記は泥棒なのだが、このシーンだけ少しタッチが違う。泥棒の怪しい感じ、怖い感じを出すためにあえて絵の雰囲気自体を変えているのだろうか。絵の雰囲気は異なるが背景は薄い緑色で、緑色のトーンは保っている。

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泥棒を捕まえるクリクター。よりも、後ろの警官がかっこいい。恰幅の良い中年の警察官で威厳のある白い髭がダンディーで素敵だ。扉の上のアール・デコ風の装飾も繊細な線で描かれており、トミー・ウンゲラー感を感じる。

トミー・ウンゲラーはエドワード・ゴーリーのような不穏な感じもないし、子供でも楽しめる割りに、絵がとても繊細で物語も面白いし色合いがすごい綺麗でよい。今後もトミー・ウンゲラー作品は紹介をしていきたいと思っている。

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