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「〈天才〉と呼ばれる作家の本質とは? 永野護という名の反骨のロックスピリット。」

割引あり

 いつの時代も創作の世界には群を抜いたクオリティの仕事を軽快に成し遂げ、畏怖と尊崇を込めて〈天才〉と称される作家がごく少数ながら実在する。マンガ『ファイブスター物語』、映画『ゴティックメード』などの作品で知られる永野護もそのひとり。

 若くして『機動戦士ガンダム』の「あの」富野由悠季に見出されて『重戦機エルガイム』のキャラクター及びメカニックデザインを努め、その後は雑誌『ニュータイプ』で『ファイブスター物語』の連載を開始、絢爛と華やかな世界を描き出して各界から注目を受け、連載30年を越えるいまなお熱狂的な支持を集めている唯一無二の作家である――と、このように通り一遍の説明をしても、かれの破格の才能と実力について説明したことにはならないだろう。

 しかし、いったいそのあまりにも独創的な世界をどう解説したら良いものだろうか。永野はこのようなあたりまえの言葉ではとても語り切れない「とんでもない」クリエイターなのだ。

 たとえば『ファイブスター物語』の副読本である『アウトライン』を読んでみよう。かれはまだ若い頃、このような発言を残している。

 永野護というキャラクターデザイナーを起用するときに求められるのはただひとつ。簡単なひと言で済む。
「いままでに誰も見たことのないような、すっごい奴をつくってくれ」
 これは僕がかつてとあるアニメ製作会社にいたとき、当時の上司、山浦氏から言われたことばです。
 それに対して僕は
「あ、そういうのなら簡単です。いちばん得意ですから」

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