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「マンガ原作の実写邦画は駄作ばかり」というウソ。成功作と失敗作を分かつものは何か。

割引あり

 いうまでもないことだが、わが国には色々な文化がある。

 そのなかには能や歌舞伎のように長い歴史と伝統を誇るいわゆる「伝統文化」もあれば、ロックミュージックのようにわりあい歴史が浅く、その代わり広く深い人気を誇る「ポップカルチャー」もある。

 それらはそれぞれ異なる個性を持ち合わせており、あたりまえのことながら優劣をつけることは容易ではない。

 しかし、もし、そういった数々の文化のなかから、国を代表し世界に誇れるカルチャーをひとつ選ぶとするなら、わたしの場合はこう答える。それはマンガだ、マンガこそは日本のエンターテインメントの基盤だ、と。

 手塚治虫や藤子不二雄といった天才作家たちの傑作から、連綿とつづく膨大なマンガの数々は、アニメやゲーム、音楽などさまざまなメディアに影響をあたえ、いわば一大文化圏を築き上げているのである。

 マンガのメディアミックスには当然、名作もあれば凡作もあるが、マンガ作品を他のメディアに展開することそのものを否定する人はほとんどいないだろう。

 たとえばマンガのアニメ化には『鉄腕アトム』以来の連綿たる伝統があり、数多くの成功例があることがその由縁である。

 しかし、その一方で話がマンガの実写映像化となると、きわめて批判的な意見が多い。その理由はあきらかだ。

 そもそもマンガは実写映像にすることを想定して作られているものではないため、実写にするとどうしても違和感がぬぐえないヴィジュアルになってしまうことが少なくないのだ。

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