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東京大学の世界史論述 予想問題

先生が予想問題を作ってくれたので、私が模範解答を書きました。
目次 
基礎データ 
分析とデータ(時代と地域の分析)
他大の過去問が有効なんです
現在の重要なテーマ
東京大学 二次形式の予想演習12題 

皆伝 東大世界史 イメージ図 - コピー

(赤門は入場口ではありません。左に進んでくださいね。)

基礎データ

東京大学で学びたい受験生は、共通テストを受験します。
共通テストをクリアすると、
東京大学の個別入試を受験できます。
英語などもあるんですけど、世界史に関して言えば、
社会(150分、120点)という枠で、世界史、日本史、地理などから二科目を受験します。
150分で世界史/60点と、例えば日本史/60点に解答します。
世界史に使える時間は75分くらいですね。
合格した人のほとんどが、世界史は6割/36点-7割/42点の得点だそうです。

東京大学の世界史では、①大論述(1題)、②論述(年度によって異なりますが、たいていは6題)、③一問一答(10題)の三種類が出題されます。
配点は公表されていないんですけど①30点 ②20点 ③10点だと思います。

東大の入試では、最近は①では経緯を出題することが多いですね。②では影響・特色・意義・比較を出題することが多いです。

縦の時、横の空間の把握、理解が大切です。もちろん、一国史、地域の歴史も国際情勢の中で捉えましょう。
皆伝 世界史を読んでいる人は記事や構造図を理解しているので、国際情勢の中で一国史を捉えられるし、六連問題集や世界年表を使って同時代の把握をできていると思います。

①の大論述では、少なくとも字数の8割は書きましょう。 「そして、つまり、加えて、例えば」など、接続詞やつなぎ言葉で字数を稼ぐテクニックも使いましょう。固有名詞を入れて字数を稼ぎましょう。「フランスは」ではなくて「フランスの皇帝であるナポレオンは」と書くようなことです。

分析とデータ

入試年ごとの出題テーマ
2023年
①1770-1920年の欧米、東アジアの政治の仕組み変容、どんな政体の独立国があったか。 近現代にまたがって、地域も広いので予測は難しいですね。
②明代の江南地方の発展、9世紀のマムルーク、パルティアの変容、カーリミー商人
③ペスト、医学、薬学、コレラ、温暖化
世界史のテーマ別問題集https://note.com/kaiden_juken/n/n3a95ea3bcae8?magazine_key=mc0ae0b6eb4a3には感染症の大問も入れてあったので、解いた人には簡単だったでしょうね。

2022年
①8-19Cトルキスタン(ウイグル弾圧という時事テーマ)
②ハンムラビ法典、大憲章、戊戌の新法(法治国家とポピュリズムという時事テーマ)
③十字軍、大戦、中東戦争

2021年
①5-9C西欧東欧正教.イスラームへの地中海世界の分化、形成過程
②14-15C農民の地位.露農奴の解放後.ホセリサールとフィリピン革命.アパルトヘイト廃絶の過程
③遊牧民.先住民

2020年
①15-19C冊封体制と変容を朝鮮、ヴェトナムを事例に論じる
②BC3C匈奴.20C初頭の蒙古西蔵の独立.19C後半のスエズをめぐる英国とエジプト関係.豪入植と白人主義形成の過程.1920代の移民黒人.米墨戦争
③思想.宗教 墨家.考証学

2019年
①18世紀半ばから1920年代までのオスマンの解体過程
②ベンガル分割令の意図と内容・南洋諸島の20世紀・ニュージーランド独立・半島の三国時代・渤海と唐の関係
③人、物、思想の移動

2018年
①19世紀~20世紀の女性の活動・女性参政権獲得の歩み・女性解放運動
②宗教の生成・伝播・変容(古代インドの宗教、典礼問題、托鉢修道会、英国教会成立の経緯
③地域や人々のまとまりとその変容

2017年
①「古代帝国」が成立するまでのローマ、黄河・長江流域における社会変化
②世界史における「少数者」 (ポーランド王国、「文化闘争」、シンガポールの華人、英仏の植民地抗争、米国の公民権運動)
③古代から現代に至る戦争の歴史

地域と時代の分析


東京大学の出題傾向 世界史

拡大して観てくださいね。
2009年以降のデータです。3回出題されると、基本的にもう出題されない傾向があります。2022年秋時点では太平洋は全体で二回、朝鮮の中世、中国の中世、西アジアの古代、ヴェトナム、ロシア、イスラームも二回なので、出題の可能性は高いと思います。太平洋、アメリカには古代中世は受験世界史ではないので出題されないと思います。
2023年2月にはこの予測通り、古代の西アジアが3回目の出題、中世の中国が3回目の出題をされました。
朝鮮の現代、東南アジアの中世、中央アジアの近代、南アジアの中世と近代、アフリカの近代、北欧ロシア東欧の現代は空いています。出題されるかもしれませんね。
地域と時代のテーマなら、東京大学の受験生はもう書けると思います。だから、今回の演習でもウクライナなどに厳選しています。

他大の過去問が有効なんです

論述を出題する他の大学のテーマと重なることもあります。

2022年の「8-19Cのトルキスタン」は、2016年の京都大学「トルコ系の人々のイスラーム化」と重なります。大憲章は2019年の一橋大学と重なります。
2020年の「BC3Cの匈奴」は、2017年の京都大学と重なります。
2019年の「18世紀半ばから1920年代までのオスマンの解体過程」は、2018年の京都大学「近代のオスマン帝国や成立初期のトルコ共和国の国家統合」(300字)と重なります。
問題集を終えた人は、京都大学、都立大学、一橋大学の論述を解いたり、時間的な余裕のない人は15年分くらいの問と解答と読んでおくといいと思います。名古屋大学、早稲田大学の国際教養学部にも目を通しておきましょう。

現在の重要なテーマ

京都大学(2020年の核軍縮)、一橋大学(2021年のアヤソフィア)もそうなんですけど、特に東京大学は最近の社会のトピック、時事問題に敏感です。

帝国の形成と崩壊と独立 2020、2017、2014、2011     
法治 2022、2015            
宗教 2018、2009           
人の移動 2013              
マイノリティ 2018、2017
2009年以降を分析すると、同じテーマが繰り返し出題されています。
来年も出題されるかもしれませんね。
いろんな大学の過去問に「人の移動」というテーマの出題はあるので、探してみるといいかもしれません。

下にスクロールしていくと全12題の予想演習問題があります。
大問1のテーマになりそうな香港、ウクライナ、日中関係(国交正常化50年)、独裁者と立憲主義(ポピュリズム.プーチン.トランプ)、移民と難民、貨幣と貿易(ビットコイン)、オリンピックと万博(大阪万博)、民族と思想と宗教と国家、兵器と軍縮の歴史(核兵器禁止条約)、EU、環境、科学のテーマを東大の出題形式で実践的に演習できます。

演習で取り上げた以外の、以下のテーマに関しては、いろんな切り口があるので、自分で参考書に書いてあるような基礎を学んでおきましょうね。
皆伝の演習でも、こういうテーマで出題しています。

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