2000浪後の君へ

今年も進撃の巨人に感化され浪人の意思を固める時期になってきた。三浪を正当化しようと思う。

進撃の巨人の設定やストーリーはどうすれば自力で思いつけるだろうか。設定の必然性というか、より基本的な発想から組み立てるための道筋あるだろうか。結論としてはよくわからなかっていないのだが、一つ気付いたことがある。巨人という存在くらいは、身長の高い人間を考えることで簡単に思いつけるのではないかということだ。つまり、まず人間の身長を○○cmといった具合に数字で表してみる。
151cm、179cm、165cm、142cm、…
そしてそれらを小さい方から並べてみる。
142cm、151cm、165cm、179cm、…
…、1500cm!巨人である。
ここで重要なのは、人間の身長を測り、数を用いて表現したことによって、巨人という現実を超えた存在を想像することができたということだ。この想像には一種の秩序がある。そこでこれをあえて、巨人という存在を「予測」したと言ってみる。
しかし巨人は現実には存在しないから、この予測は失敗のはずなのだが、はじめ巨人を発想した段階では一定の納得感があったし、進撃の巨人という作品を考えてみれば何かに成功しているように思える。そこでこの「予測」を次のように説明してみる。
A「身長は(自然数)cmという形で表される」という条件が許容する世界の姿の一つを示した。

フィクションの世界というのは、現実とは異なる世界であって、人が世界と認める(つまり現実味を感じる)世界だと思う。その意味で、フィクションとは、人が何を現実と認めるのか探る試みに他ならない。よくできたフィクションは、その世界に生まれていた可能性を本気で読者に考えさせ、経験したような気にすらさせる。
フィクションは、現実を超えたいという誰にでもある衝動を叶えてくれる。
ここで、フィクションに含まれるAのような条件をすべてまとめて「理論」と呼ぶことにする。つまりフィクションでは「現実から理論をつくり、理論から可能な限り非現実的な世界を一つ描く」ことになる。例えば理論から「可能な限り非現実っぽい現実」を導いたなら、それは科学の驚くべき成果になるだろう。

予想してみたい非現実がある。もし自分が十分に長く生きることができたとしたら、どんな知識を手にしているのかが気になる。数学や物理は最後どんな姿になっているのか、哲学はどんな結論を出すのか、知りたい。もちろん知ることはできないから、せめて予想したい。そのためにはどんな「理論」が必要だろうか。まず第一に自分自身が勉強することは重要な「理論」になるだろう。しかしそれだけで足りるだろうか。もう、できることは全部やらないといけないが、それは無理で、やったことに依る予想が得られるだけだろう。何が有意義とも言い切れないし、何も無駄と言い切れない。あらゆるものに囲い込まれたこの人間という存在が1v5クラッチできるかもしれない唯一の可能性はこれじゃないかと思っている。せっかくそこまでして予想した非現実の物理が微分方程式解いてたらエレンみたいにがっかりするかもしれないけど。

三浪、がんばります。


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