味方は弱いもの

Valorantの話です。
2か月くらい前、初めてダイヤを踏んでから9か月以上経ち、定期的にくる連敗でプラチナになっていたときのこと。「今日も味方が弱いぜ!」といつものように味方に不満を覚えながらソロランクを回していた。マップはヘイブンの守りスタートで、自分はジェットだった。まずオーメンは明らかなトロール(おそらくサブ垢)だった。スペクターエターナルバイで、オーメン自体あまり使ったことなさそうだった。それに対してキルジョイとブリーチが「何してんの?」「プラチナ帯沼過ぎるだろ」とキレていた。自分もオーメンに同じことを思っていたが、同時にブリーチはブリーチで全然スキル使わないし何やってんだ?と思っていた。そして自分自身はというとAロンでミスって前ブリンクして死んだりAショでミスって前ブリンクして死んだりしてたのでブリーチは自分にもキレていた。ここまでの関係をまとめると下図のようである。

つまり、みんなお互いに下手だと思っているわけである。
思い返せば、同ランク帯の味方を下手だと感じたのは初めてではなく、シルバーのころから「あれ?味方弱くね?味方のせいで負けてるくね?」という経験はあった。もちろん、この感覚は完全な間違いではない。チームゲームである以上は負けたとき味方に非がないなんてことはありえない。ここで言いたいのは、味方のせいで負けているのが事実だとしても自分の適正ランクがそいつらより上とは限らない、ということである。プラチナ帯のプレイヤーの欠点をどれだけ見つけられたとしても、自分自身にダイヤ以上の実力があるかはわからない。
みんなお互いに味方のせいで負けてると思っている。しかし、そこから抜けださないといけない。ランクを上げるとはそういうことなのである。

ではなぜこういうことが起こるのだろうか。バロラントの実力は一次元的なものではない。FPSの実力はエイムと立ち回りに分けてよく語られるが、エイムも立ち回りもさらにいくらでも細かく分けて考えることができる。そのようにして分けられた技術一つ一つに点数をつけ、バロラントの実力を評価することを考えよう。当然、技術をどう分けて考えるかのやり方は一通りではないが、例えばプラチナ帯のプレイヤー同士を比較するといったように、ある程度実力が近い者同士を比較する場合、もっとも効率のよい分け方があったとしよう。例えば、アイアン1の評価項目として次のようなものが想定できる。

  1. WASDでの移動になれよう

  2. 立ち止まって銃を撃とう

  3. スパイクを持とう

ここで、アイアンプレイヤーAとBの点数(10点満点)が
A(10,1,7)とB(9,8,0)
だとする。
すると、AからみたBの評価はこうなるだろう。
「オーマイガー、爆弾を設置するゲームなのになぜBは爆弾に興味がないんだ?」
逆に、BからみたAの評価は
「オーマイガー、Aの銃は曲がっているよ」
となるだろう。
AからすればBがルールを理解していないから勝てないし、BからすればAが敵の倒し方を知らないから勝てない。
このアイアンの例からわかるのは、ある評価項目の実力が低ければ、その項目で他者を評価することはできないということである。自分自身ができていないことについては、その項目の重要性や、そもそも存在自体に気付けていない。

実際には大差ないが、AにはBは弱く見える


問題はここからである。
ランクが上がると、この評価項目が細分化され、新たな項目が生まれてくる。そしてその追加項目は一つではない。上のAとBがアイアンを卒業したとしよう。つまり次のような状態になったとする。
A(10,10,10)
B(10,10,10)
この時点で、ブロンズレベルの評価項目の存在にA,Bともに気付き始め、上達が始まる。すると
A(10,10,10,2,0,0)
B(10,10,10,0,3,0)
のような状態になる。
またしてもアイアン帯のときと同じようにAとBはお互いに弱いと思っている状況になってしまった。
これは自分よりランクが上のプレイヤーをみたときにも似たことが起こりうる。たとえばあるプロPがいたとして、
P(10,10,10,10,10,…)
とする。
このPをAが評価すると、
「確かに強いけど、自分と比べて4番目の項目が高いだけで大したことないな」
となりかねない。実際、自分より格上のプレイヤーに対して「エイムいいだけじゃん」と思ってしまうのはよくあることだ。

実際にはかけ離れているが、Aには小さな違いにしか見えない

「味方弱いな」はそのランクを越えるためのスタートラインに過ぎない。だから、どんなに味方のせいで負けてるように思えても安心してランクを回せばよい。


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