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三沢文也さんの「病まないメンタルの作り方」を読んだので感想を書く


1.はじめに

三沢文也さんの「病まないメンタルの作り方」を読んだので感想を書きます。読んだ理由ですが、私自身は特にメンタル面での不調はないのですが、よしきさんに感想を書くと宣言したので、頑張って記事にしました。

2.簡単な自己紹介

せっかくなので簡単に自己紹介を書いておくと、現在の私はあくまでよしきさんのブログのファンであって、三沢文也さんについては特に動向を追っていませんでした。三沢文也さんについては、よしきさんがブログでしばしば言及するのを読んでいるだけです。

ただ、よしきさんのことをはじめて知ったエピソードは今でも強く記憶に残っています。まだ、はてな村が健在で、三沢文也さんが新進気鋭のブロガーとして気を吐いていた古の時代に、三沢文也さんのブログで「ついに自分にもアンチができた。」といった記事を読んで、興味を持ったのが始まりです。

「ほほう、tm2502(三沢文也さんのアカウントは、tm2501だったため)とはまさしくアンチですなあ」と面白く思ったので、当初は両方のブログを読み比べていたのですが、かなり早いタイミングで、tm2502さんのブログの方が私にとっては面白いんだが、と思うようになり、そちらだけ読むようになりました。

初めの5年ぐらいは、完全にrom専でしたが、tm2502さんがよしきさんに代わり、はてなブックマークへの怨嗟を吐きまくるようになったのを見て、これからも面白いブログを続けて欲しいと思うようになり、rom専をやめて、コメントを書くようになって今に至ります。

というわけで、私の文章についての評価基準は、私にとって面白い文章であるかどうかが重要で、次点で継続性があるかです。

3.第一印象について

まず、先に書いておくと、私は三沢文也さんの文章は、過去に面白いと思ったことがほとんどなかったこともあって、「病まないメンタルの作り方」についても、読む前からかなり心配していました。例えば私は、三沢文也さんが書いた「そもそも論からとことん語りつくすツイフェミとオタクの話」も読んでいるのですが、いまいちだったんですよね。

ついでに言うと、私はネタバレは一切気にしないので、よしきさんの感想記事とかを一通り読んだこともあり、読む前から、面白くなくて感想を書くのがとてもつらかったらどうしようと内心ビビっていました。

ただ、実際に読んだ第一印象ですが、私の想定していたよりも面白かったです。はじめは、文章の技量が向上したのかなと思ったので、「そもそも論からとことん語りつくすツイフェミとオタクの話」と読み比べてみたのですが、そこまで大きな差は感じませんでした。

色々と悩んだ結果、題材の差によるものではないかというのが、私なりの結論です。「そもそも論からとことん語りつくすツイフェミとオタクの話」については、私もオタクなので、ツイフェミに物申すオタク代表として三沢文也さんは力不足だと感じたので、反発の方が強かったです。ただ、「病まないメンタルの作り方」については私には特にこだわりはないので、とりあえず自分の経験を他の人に伝えたいというコンセプトをそのまま受け取ることができました。

読むのが辛いぐらい面白くなかったらどうしようというのが、私の一番の心配だったので、まずは一安心でした。

4.「ステップ5:目標設定と達成法」について

三沢文也さんが「病まないメンタルの作り方」を書いた目標は、本書を読んでいて私としては、3つあると思いました。というわけで、ステップ5を先に取り上げます。

(1)三沢文也さんの経験から確立させた「病まないメンタルの作り方」のノウハウを書籍としてまとめることで、同じ悩みを抱えている人の助けとなりたい。

本書の公式な目標はこれですね。その意気込みは買いますが、メンタル対策の実用書としての価値はまた別評価になります。そっちは、よしきさんが大量に記事を書いているので、私は特に書きません。ただ、三沢文也さん特化型のメンタル対策本としては、かなり適切な印象を受けました。

(2)単著を出すことで、ウェブライターから作家にクラスチェンジしたい。

これについてはステップ4には書いているのだから、ステップ5にも目標として書いておけばいいのにと思いました。そもそも、ステップ5で目標は複数設定していいと書いているわけですし。これ自体は、別に光属性の目標ですしね。

127ページ ステップ4より

個人的に気になってしょうがないのが、「そもそも論からとことん語りつくすツイフェミとオタクの話」の存在です。個人的には、これも単著扱いでいいのではと思うのですが、本書では存在を抹消されていていて、どういう整理なんだろうなと思いました。黒歴史扱いなのでしょうか。

一応、同人誌だからとか、kindleはDLsiteよりも格上だからといった理由ではないかと予想していますが、読者視点だとそこまで差は感じられないので、しれっと作家としての実績に入れておけばいいのにと思いました。

あと、この流れで本当に不思議なのは、旧ブログを消してしまっているところです。例えば作家を名乗るのであれば、人生を変えたチャレンジに出てくる、ブログ・ウェブ記事のリンクを張らないのは、もったいないと思うんですよね。

173ページ ステップ5より

(3)トラウマを受けたSさんとよしきさんを見返したい。

復讐のためという目標は、闇属性なのは間違いないですが、本書の場合、そもそもまえがきにトラウマを受けたのがきっかけだと、はっきり書いているのだから、彼らを見返すのも目標の1つですと明言すればいいのにと、読んでいて強く思いました。

こういうのは、中途半端なのが良くないと思っていて、書くならちゃんと書くべきだし、書かないなら徹底的に隠しておいて欲しいんですよね。その上で、出版前後の三沢文也さんの活動を見る限り、隠すのは無理そうなので、明言しておいた方が良かったのではと思った次第です。

5.「ステップ1:悩みの構造」について

「アンタッチャブル(不可触)」無双編のステップ1の感想です。「アンタッチャブル(不可触)」自体は、私は思考と行動の分離というイメージで理解しました。つまり、悩んで動けないぐらいなら、何も考えずに行動した方がいいよ、といった感じです。

ただ、読んでいて気になったのは、行動については本書では明確には触れられていないところです。精神的な決断コストを棚上げするだけなら、メンタルの保全に有用なこともあると思いますが、活動そのものからの逃避だと健全じゃないなと思うので。

あとステップ1で気になったのは、「他人なんて無責任」という表現です。私の人生経験からすると、「他人なんて無関心」というイメージなので、三沢文也さんは良くも悪くも他人から干渉を日常的に受けてきたのかなあ、流石ははてなアイドルという気持ちになりました。

46ページ ステップ1より

6.「ステップ2:反応しないを実践」について

「反応しないを実践」するというのは、要するに「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」ということだと私は理解しました。

鬼滅の刃 「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」 by富岡義勇

富岡義勇さんの名言なので、これ自体は正しいと思うのですが、個人的に引っ掛かるのは、普通の人は鬼殺隊でもなんでもないので「生殺与奪の権を他人に握られる」ようなことは、日常的には発生しないということです。

62ページ ステップ2より

私の経験では、他人は自分の人生に責任を取ることができない以上、何を言われようが最後は自分で決断するしかないですし、そもそも人生における重要な判断に他人から批判があること自体が、ほとんど発生しないレアイベントというイメージです。毒親と同居していて過干渉を受けているような想定で、ギリギリ可能性があるぐらいかなと思いますが、三沢文也さんの本を読む限り、少なくとも父親との関係は悪い感じではないんですよね。

つまり、私なりの解釈だと、三沢文也さんは、他人からの批判を受け入れすぎだと思いますし、自分の選択肢に自信がないのだろうと思いました。そういう前提に立つと、「反応しないを実践」というのは、三沢文也さんにとっては妥当な対応だと思うんですよね。ただし、普通の人には状況が違い過ぎるので、ほとんど役立たない気がしますが。

そして、三沢文也さんがこのような考えに至ったのは、はてなアイドルとして、干渉され過ぎてきたからではないかと推測しています。

7.「ステップ3:自律神経を整える」について

私も寝るのは大事だと思います。特に感想はありません。

8.「ステップ4:行動力のエンジン」について

個人的に気になったのは、「ネガティブは勝手に積みあがっていく」という表現です。なんというか、ここも三沢文也さんは自分に自信がなさそうだなと感じました。その前提に立つなら、積極的にポジティブなことを積み上げていこうというのは、合理性があると思います。

ページ115 ステップ4より

9.「ステップ6:良いコミュニーケーション」について

とりあえず、バリュー・プロポジションを友達関係に適用するというのは、サイコパスみが凄いのですが、三沢文也さんの特性を踏まえてみてみると、一周回って逆に妥当な気がしています。「友達関係なんて、お互い気が合うかどうかだよね」みたいな一般的な考え方では納得できなかったから、なんとか理論的な裏付けを作りたかったからなのではと想像したからです。

201ページ ステップ6より

このあたりも、三沢文也さんの、自分に自信がないところが、根っこにありそうだと感じました。

10.「最終章:病まないメンタルの作り方」について

最終章で気になったのは、「優秀な他人にアドバイスをしてもらう」のが人生をよくする方法であるというところです。どこに違和感を感じたかというと、この場合は「他人」ではなくて「師匠」とかの方が適切ではないかと思ったからです。単に優秀なだけの「他人」なら、どれほどいいことを言っていても、アドバイスなんて聞かなくていいと思うんですよね。なぜなら、信頼関係も責任感も不足しているので。

229ページ 最終章より

その意味で、三沢文也さんは色々な人と絡んでいた印象があるのですが、上手に「師弟」関係を結べてはいなかったのかなという印象を受けました。

11.感想まとめ

「病まないメンタルの作り方」は、三沢文也さんのかなり特殊な状況におけるメンタル対策本であるため、本人の目標とは裏腹に、悩める人達を救うのはなかなか難しいと感じました。

235ページ あとがきのまえにより

例えば、上記の文章ですが、普通は「自分のことは自分で何とかするしかないけど、どうすればいいか分からない」とかになると思うんですよ。三沢文也さんの悩みは、「自分のことを主体的に考えることができない」なので、かなり性質が違うんですよね。

とはいえ、三沢文也さん特化型のメンタル対策本としてみるならば納得できる点も多くて、かなり興味深く読むことができました。

三沢文也さんが、青二才として、色々な人から言及を受けてきたこと、これ自体は、三沢文也さんの得がたい才能だったのだなと改めて思いました。私自身はまったく刺さらなかったですが、流石にはてなアイドルと呼ばれただけのものはあったのだなと思います。

ただ、それがメンタルの不調の原因にもなっているとしか思えないわけで、「人生万事塞翁が馬」だと思いました。しかし、アドバイスが勝手に向こうから来るから、自分のことを主体的に考えられない、というのはなかなかインパクトのある悩みです。普通は、アドバイスなんて自分から求めないともらえませんからね。

やはり、三次元のアイドルは闇が深いので、アイドルは二次元に限ると思いました。それでは、ごきげんよう。


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