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お月さまいくつ、19年周期の太陰太陽暦

━ 噛み合わない歯車

造暦とは気朔(二十四節気と朔弦望)であり、太陽と月の組み合わせを基本として成り立っている。しかし1年の365日と、1ヶ月の29日半は、正確には365.24219日と、29.530589日であり、互いに割り切ることができず、簡単な整数比にもならないことから、そこに秩序を見出すことはなかなか知的な課題だったと言える。

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15世紀に小数点が生まれる以前、これは分数によって表記されていた。上記は日本で最も長く(823年間)使われてきた宣明暦(渋川春海の改暦以前の暦法)の基礎的な変数だが、ここで注目すべきは「分母」が同じ数によって揃えられていることだ。

これは見方を変えれば、歯車のギア比のようである。

ギア比とは単純な分数で、分母が出力側(自動車の場合はタイヤ側)、分子が入力側(自動車の場合はエンジン側)となり、太陽と月を同じ車輪で走らせるための試みのように思える。

実際のところ「観測」「数理」には誤差はつきものであり、その誤差範囲 (弱率・強率)を含めて分数に組み込んであるため、このように桁数が多くなっているのだが、太陽と月の2つ周期を分数を使い数理上で合わせる工夫は非常に合理的な考え方だったように思う。また、この変数は暦をドライブさせるためのエンジンであり、暦法の進化とともに新型エンジンに載せ替えられてきた。(※ 現在の西暦には搭載されていない)


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━ シンプルな考え方


上記のような数理的な秩序を考案する以前から、太陽年=約365日、太陰暦=約354日との差が約11日ほどであり、3年ほどでちょうど1ヶ月分ずれることは広く知られていた。それを精度良く計算したのが、ギリシャの数学者メトン(紀元前433年)で、暦法においてメトン周期は不動の公式となっている。

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これは19年間に+7回の閏月を入れる置閏法に応用され、太陽暦と太陰暦との折り合いをとる最もシンプルな方法でした。

さらにこれを発展させ、4倍したカリポス周期 ( 76 太陽年 = 940 朔望月 ) 、16倍したヒッパルコス周期 ( 304 太陽年 =3760 朔望月 ) などがあるが、いずれも19年周期が基本単位となっている。

この考え方は、直接組み合わせることのできない太陽暦と太陰暦を、大まかな回数で揃えるという実用的な運用方法であった。事実、太陰太陽暦に属するほとんど暦にこの仕組みが取り入れている。細かい違いはあれど、それは「どこからはじめるか」「どこに閏月をおくか」くらいの違いであり、根本的にはメトン周期が用いて19年でくくられている。つまりこれは暦の法律であり、天の法則であった。実際に古代遺跡ではメトン周期が公式化される遥か昔、紀元前3300年前に19年周期を記した石碑がアイルランドで見つかっている。


━ 19年を1章として


19年周期は、月相が一巡するサイクルでもある。つまり19歳の誕生日には、自分が生まれた時と同じ、月の形を空に眺めることになる。また、今日から19年後の月の形は同じになる。このように19年で月の満ち欠けは同じ周期を繰り返している

古代中国の暦法では、これを章法(しょうほう)と呼び、19年=1章として考えてきました。そして日本も古くは、新月と冬至が重なる日=朔旦冬至をはじまりとし、長く太陰太陽暦を運用してきた。しかしながら、このように暦元を固定化してしまうと、微妙な経年変化によって長期的には辻褄があわなくなるため、後に破章法(はしょうほう)と言う柔軟性のある暦法に変化していった。

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2020年は、夏至と新月が重なる。いわば朔旦夏至(←こんな言葉はありませんが)のような年ですが、実際に19年後の2039年には、再び夏至と新月が重なり巡り合う。太陽と月は詳細には組み合わせることが出来ないとは言え、実用性という点では非常に秀逸な周期性と言える。


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━ お月さまいくつ


『お月さまいくつ』という童謡は19年周期の比喩だという説がある。19年に閏月が7回入ることは言い換えれば、13ヶ月の年が7回来ることであり、それを「十三、七つ」と歌の中で表現している。

その歌詞はそのままでは意味不明だが、19年周期の暗号と見れば、実に意味深な解釈が成り立つ。

お月さまいくつ (何回で一巡するのか、いくつ=19つ)
十三、七つ(13ヶ月の閏月が、7回、これでちょうど19年)
まだ年若いな (まだこれでは不十分なので)
あ(天)の子を産んで (もう一回19年)
こ(地)の子を産んで (もう一回19年)
油買いに (もう一回19年)
すうを買いに (もう一回19年)
油やのかどで (もう一回19年)
すべって転んで (19年が6回で、滑る=統べる、転んで=回転)
油一升こぼした (これで切りをつけて、もう一度戻る)

歌詞にはないが、この算出にはまだ続きがある。
19年×6回=114年を、さらに10倍して1140年
それをさらに上中下の三元と続けて1140年×3回=3420年とする。

すると十干十二支(60干支)は日輪・月輪・年輪が180年で大きく一巡しているのため、180年×19回=3420年となり、ここで大きく「19」という数字で括って、太陽と月との関係を束ねることができるのだ。

ちなみに「180」という数は、百八十神(ももやそがみ)=八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)であり『暦の神様』とされている。

事代主は宮中祭祀していた賀茂神社(上賀茂神社・下鴨神社)の祭神であり、暦で有名な賀茂家の神様でもあります。ちなみに安倍晴明も賀茂家であり、これは『月読み』の秘伝の一つであっただろう。

現在、私たちが使っている「西暦」は暦法としては純粋な太陽暦で、月の周期性はカレンダーに反映されていない。したがってMonth(マンス)Moon(ムーン)は似て非なるものであり、現代人にとって19年周期については忘れて久しい。しかし月の巡りで年を数えていた旧暦の世では「19年周期」は広く一般的なものであり、個人にとっても19年周期は一生の中で「一章、二章…」のように数える身近な感覚であったことだろう。


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