周りがどうであれ心のままに動くのが正解の証明
画像は今回の個展撮影のベストショットである。
カメラマンとして同行させてもらった私の役目は、この一枚で十分果たせたと感じている。
此度の「しんこきゅう展」はこの一枚が全てを物語ってくれるだろう。そう思える一枚。
〝「健常者」「障害者」垣根なく集まれる個展を開催したい〟と謳われて始まった4度目の「しんこきゅう展」
これ以上の説明が要るだろうか。
点描画家hiromiと骨形成不全症の奥水梅香さん。
二人が目線を揃えて手を握った瞬間である。
語ってしまうと陳腐になってしまう氣もするが、あえて少し口を開くと、
この写真は目線が揃っていることが重要だったのだ。
点描画家hiromiと奥水梅香さんとカメラの目線が揃っているということが、この写真と今しんこきゅう展のテーマが同調する最もな部分であると私は思っている。
これ以上を語る必要はあるまい。
福岡からの帰り、写真を見返し、やっぱりこの写真が今回の個展の象徴だと思うと、涙が溢れてきてしまった。
良かったのである。
良かったのだ。
良いと思った瞬間を収めることができた。
私は私の心が動いた瞬間を、目に見えるカタチに収めることができたのである。
日々流れゆく人生の中、心動いた瞬間をどれだけ留めておけるだろうか。
私は良い仕事をしたのだ。
以前みどりさんに、「嘉一郎さんは心のシャッターで撮っている」と言われたことがある。
当時はこのお言葉に疑心感を抱いたものだが、最近は自分でもわかってきた。
心が動いた瞬間にカメラを構える自分がいることを感じている。
このときもその自分だった。
その自分、すかさず二人の真横にしゃがみ込み、手の位置を真ん中に据え、フレーム外側ギリギリに収まるかどうかだった作品たちの位置を調整しながら、何度もシャッターを押した。
どうか二人が笑顔のままいてくれることを願いながら、まだまだ未熟な私はほとんど運任せに連写をしたのである。
本当に運が良かった。
私はあらかじめこの画を想像して今個展の撮影に臨んだわけではない。
むしろ今回は、ありのままを撮ることを自分に課していたものだから、本当にノープランで臨んでいる。
自分と対話しながら、心動く瞬間に意識を集中させていた。
みどりさんのお言葉を借りるならまさに、心のシャッターで撮ったのである。
この時の私は、人の流れなど微塵も氣にしていなかった。
そう広くない今個展会場では、ある程度の人数になると人の流れが生じていた。
以前の私なら、自分を最底辺の人間と思っていた私なら、人様の邪魔になるようであればすぐさま道を譲ったものだが、
今回の撮影では、心動いた瞬間は断固として道を譲らなかった。
撮らねばという氣持ちが強かった。
今回の撮影では、私の写真を待ってくれている方々がいたのである。
私の撮った写真で作る写真集を、まだ完成もしていない今個展の写真集を、既に購入してくださっている方々が幾人かいたのだ。
故に私は撮らねばならなかったのである。
自分が心動いた瞬間を、なんとしてでも。
あのときは人様の邪魔になっていたかもしれないが、
それでいいのだ。それでいいのである。
例え人様の邪魔になろうと、私は私の心動く瞬間をカタチに収めることができたのだ。
私は、私にしかできない仕事をしたのである。
自分にしかできない仕事が人の心を動かすと信じている。
この写真を見て点描画家hiromiの活動に心動かされる方は必ずいるはずだ。
私が涙する写真なのだから間違いがない。この氣持ちはきっと連鎖的に伝染する。
きっとこれが正解なのだ。
氣持ちのままに動くことこそが正解であると信じたい。
だって自分は世界に一人しかいないのだから、従って自分にしかできないこともまた、世界に一つしかないのである。
周りを氣にしていた以前の自分なら、この写真は撮れなかった。
技術の問題でなく氣持ちの問題。
氣持ちがこの位置に足を運んでくれなかっただろう。
責任感があったおかげで、随分堂々としていた。
私の写真を待っててくださる方々のおかげである。
ありがたき幸せ。
これからも遮二無二、心を働かせてまいる。
心から良いと思える瞬間に出逢うため。
心のままに動くことが正解だと、自分自身に証明するため。
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点描画家hiromi
@kumagoma
0.3ミリのペンで感情を込めた点描画を制作。2021年より、「しんこきゅう展」という名の個展を全国各地で開催。足を運んでくださる方たちの“心の拠り所”になればという気持ちで個展活動を行なっている。2023年からは難病の啓発や患者さんへの支援活動も開始。表皮水疱症やALSといった難病の患者会へ売上の一部を寄付している。
#点描画家hiromi #しんこきゅう展 #骨形成不全症 #難病支援
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