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推し香水で狂った話 豊前編

ちょもさん編はこちら。

2つ頼んだ推し香水の1つを開封した次の日、私は残っていたもう1つの推し香水を開封した。豊前江です。ていうか、この日は夕方にちょもさんの軽装が発表され、前日突然則宗さんの軽装発表ですごい勢いで焼かれた一文字村はさらに追い打ちをかけられるように激しい炎に包まれていた。ちょもさんの素敵すぎる軽装姿に、小鳥たちはみんなこんがり焼かれて焼き鳥になった。私もだ。そんな状態で更に豊前の推し香水を開封しようとする私に心の中の千鳥ノブが「なんで自ら死に近づいていくんじゃあ!!!!」と叫んだ。すまんなノブ、オタクにはしぬとわかっていても進まなければならない時があるのだ。それが今だ。

香水の説明文自体は昨日のうちにちょもさんのものと一緒に確認していたのだが、豊前の推し香水の説明を見た瞬間に「ヒイッ」て声が出た。あまりにも私に刺さりすぎるパワーワードがちりばめられていたからだ。私に、というか、私の思う、私の本丸の豊前に、かもしれない。ちょもさんの時ははい、そうですよね、まさにそうです、という感じだったんだけど、豊前はちょっと違う感じ。そ、そう表現されるのか……そうか……わたし豊前にめちゃくちゃ夢見てるんだな……ということが文字化されてめちゃくちゃ恥ずかしかった。でも確かにその通りだという感じだったので、そんなこと思ってない!という部分は一ミリもなかった。夢見てるんだな……って照れた後にそりゃあそうだよな限界夢女だもん、と納得した。
ちょもさんの時と同様、わたしとぶぜの秘密にしたいので香水の名前は伏せますが、特に説明文のどこが刺さったかというと、『騎士の強さや逞しさ』ってところですかね。騎士…………………………………………(顔を覆う絵文字)


※言い忘れていたけれどこのnoteを書いている人は限界夢女だし豊前の推し香水のプレゼン文章の半分は夢小説だったので夢要素を受け入れられない人はこの先キツいかもしれないです。やべえと思った人は無理せず避難してください。ついてこれる人は振り落とされないようにぜひ一緒に峠を攻めてください(?)注意書きが遅くなってすいません。とばすぞ!掴まれ!(ウォンウォーーーーーン)(アクセルをふかす音)



ちょもさんと同じようにムエットには豊前のプレゼン文章の中の一文が添えられている。私こんなこと書いたっけ?!(再確認)書いたわ。香水の説明文が刺さりすぎて何度も読んでしまう。苦しい。異様な緊張の中、ハアハアと呼吸を荒くしながらなんとかムエットにワンプッシュして香りを確認する。

「す ……………すごいいいにおい…………」

思わず感嘆の声を上げてしまった。柑橘系の香りが好きだというのはちょもさんのとこでもちょっと書いたが、まさにそれだった。爽やかさ100%の香りが、それこそ風を纏った豊前が駆け抜けるかのように、私の周りをひゅうん、と駆けていった。明るくて爽やかでとっつきやすい。この香りが嫌いだっていう人はあんまりいないんじゃないかな、というような感じ。わあ~~~~~そうそうぶぜって爽やかな要素多いもんね~~~~~~やっぱりここでも解釈が一致してる~~~~~~~~とずーっとその香りを嗅いでいたのだが、少し時間が経過した頃から推し香水は本気を出してきた。

「ん?」

私は香りの変化に気付いた。さっきまでひたすら爽やかさを振りまいていたはずなのに、その中に少しずつ、少しずつ、甘さが混ざってくるような感覚があった。
「なんか甘い……?」
とつぶやいてすぐ、どんどんとその甘い香りが濃くなってきていることに気付いた。爽やかさの中に濃く甘い香りが混ざっていく。さっきまでの爽やかさに慣れていた私はこの変化に戸惑って、えっえっちょっと待って、ちょっと待って、と慌てた。初めての経験だった。さっきまでの爽やかさの中に、この甘さが混ざって、今までに嗅いだことのないような香りに変化していく。爽やかさ100%だったさっきから、どこかセクシーな、色気をはらんだ、『雄』の香りだ……。そう気づいた。

決して甘ったるくはなく、爽やかさもきちんと感じられる。ちょもさんと同じように、ずっと嗅いでいたくなる香り。ただ、ちょもさんの香りは、どこか安心できて、ずっとこの香りのそばにいたいな……と思うような香りだった。豊前のほうは、ずっとこの香りのそばにいたいとは思うのだけど、この香りをずっと嗅いでいると、なんかくらくらして、ぽーっとして、とろけそうな感じ。自分がわけわかんなくなりそうで、ちょっとこわくて、でも、この香りからは離れたくない……みたいな。爽やかさの中にとろける甘さと男性的なセクシーさがあって、それらがものすごく絶妙なバランスでうまく溶け合っていて、唯一無二の香りになっている。すごい。私は確かに自分の本丸の豊前のイメージで推し香水を作ってもらったはずなのに、そんな一面もあったの?ってこっちが逆に新たな自本丸の豊前の一面を見た気分。でも、違う!とは思わないんだよな。この感じも、確かに私のとこの豊前だ、と受け入れられる。
爽やかでとっつきやすくて、でも全然違う一面も隠し持っていて、慣れてきた頃にセクシーさを纏った雄みも見せてくる。そのどれもが私のとこの豊前そのもの。私はほんとにぽーっとしてきてしまって、なんかあつくて、座っていられなくなり、ベッドに倒れた。

倒れた状態でcelesさんの香水の説明をもう一度読みにいった。説明文のページから少し進むと、その香水の香りのタイプやイメージ、どんなシーンやいつの季節に合う香りなのかが更に詳しく掲載されている。説明の文字と一緒にイメージ画像もついているのだが、香りのタイプのところのイメージ画像を見てびっくりした。

「海じゃん……」

なんで海にびっくりしたかという理由は、私のプレゼン文章にある。何度も書いたが私は勢いでズドドドと豊前のプレゼン文章を書いた結果、文章のだいたい5割は夢小説と化した。その中で豊前のバイクの後ろに乗せてもらって海を見に行ったのが一番最近の印象深い思い出だと書いたのだ。まさか、まさかcelesさんは、そんなところまできちんと香水選びに反映させてくれたのか。もう一度推し香水を嗅ぐ。爽やかさと甘さと色気が混じり合う中に、かすかに香るマリンノート。これは確かに、あの日豊前の隣で潮風に吹かれた時に私の鼻をかすめた香り。(※かなり強めの幻覚)

この瞬間私の中でcelesさんは神となった。あんないち個人のわけのわからん夢小説もどきをこんな風にきちんと丁寧にすくいあげて香りに反映してくれるなんて。推しのイメージをはっきりと反映させながら、プラスして「わたしだけの」推しにある要素を入れてもらったことが確定し、完全にこれは私の本丸の豊前の香り以外の何物でもない、という気持ちになった。そう思うとますますドキドキしてきて、それと共になんだか香水の香りの中の色気のある部分がますます濃くなってくるような気がしてくる23時過ぎ。もう頭の中がぐるぐるしてくるが、そんな中でふと気づいた。この香り、時間の経過と共に確かに変化していくのだが、最初から一貫して変わらないものがあった。それは、『上品さ』というか、『気品』みたいなもの。爽やかで元気な柑橘系の香りがどれだけ強くても、どれだけ男性のセクシーさを醸し出しても、行き過ぎることがなく、落ち着いて丁寧に香りが混ざり合う。香りというものからこんなにはっきりとした『上品さ』を感じたのは初めてで、新鮮な驚きがあった。

眠る時、いつも枕の横に置いてあるクッションにツープッシュして寝た。眠りについたのに何の理由もなく突然早朝4時に目が覚めてしまった私は、なぜだか再びすぐに眠ることができずにもぞもぞしていた。えええ、こんな早くに起きたくないよ、今日休みなんだからもっともっと寝てたいよ……と思っていると、クッションに移った豊前の推し香水がふわりと香った。ああ、まだ、ここに、いてくれてるんだ。そう思った私はなんだかほっとして、またそこから眠りにつくことができた。初めて嗅いだ時はあれだけとろけそうになるとか頭がぐるぐるするとか思っていたはずの、どっちかというと心をドキドキさせてくれるような香りが、その時はものすごく安心させてくれる香りに思えた。その感じもまた、豊前っぽいなと思った。


ちょもさんの時に感じたcelesさんと私の間の遠距離解釈一致状態は豊前の時も間違いなく実在した。ただ、ちょもさんの時は
「あなたは推しのことをこういう風に思っていますよね?」
「はいそうです!その通りです!」
って感じだったのが、豊前の時は
「あなたは推しのことをこういう風に思っているんですよね。それってつまり、つきつめるとこういうことではありませんか?」
「えっ、ええっ?!そ、そんなこと……いや、そうです、そのとおりです……そういうことです……」
みたいな感じ。伝わりづらいな。こっちの解釈をそのまま受け止めてくれたのがちょもさんの推し香水、こっちの解釈を受け止めた上で更に深めてくれたのが豊前の推し香水っていう感じ。どっちも私の中の推しのイメージを見事に反映してくださっている最高級品だ。香りという嗅覚を刺激するものを得たことで、私の中の推しの存在感は今までに輪をかけて強固なものになった。

正直に言うと、いくらこれがあなたの推しの香りですと言われても、それが自分の苦手な香りだったらどうしようという不安はすごくあった。事前に申告しておくと苦手な系統の香りをよけてもらえるらしいのだが(ありがたい配慮)、そもそも日常的に香水をつけない私は自分がどういう香りが苦手なのかすらよくわかっておらず、特に指定もしていなかった。だが結果的にどちらの推し香水にも私が好む爽やかな柑橘系の香りが入っていたのは本当にすごいな……と思う。
自分の大好きな推したちなのだから、自分の大好きな香りがするのは当然なのかもしれないが、私とcelesさんはただのお客とネットショップという、しかも今回はじめましての関係で、お互いのことなんか深く知ってるわけがない。私の思う推しのイメージを、名前すら出さず、長い上に夢小説まで混じった文章でプレゼンしたものから解釈して選んでくれたものに、自分の好きな香りが入ってるってすごくないか?と思ってしまう。柑橘系が好きと書いたわけでもないのに。celesさんは私の推しだけじゃなくて私についての解釈も一致していると言っても過言ではない。やっぱり神。天才。至高。

この推し香水、私も注文するまでにはけっこう迷ったが、結論としては「注文してよかった」と心から思っている。今月末で終了予定のサービスである。2.5mlが最大だからそんなに金額も高くない。もし少しでも気になっているなら、強く利用をおすすめしたい。妄想力想像力イメージ力が高まるし、推しに対する解像度がめちゃくちゃに上がります。ぜひぜひ。