見出し画像

若者に成敗されるオジサンたち

昨夜、ツイキャスでとある配信を見た。
出会い系アプリを使い、女の子になりすました男性配信者が、女の子を求める中高年男性たちを騙し、転がし、最後に正体を明かすその一連の流れを配信する内容だ。

写メを送らせて視聴者に公開し「きっしょw」「本当にムリ」などと蔑み笑う。
性的な言葉を誘いみなで笑う。
過去の性体験を語らせて、みなで笑う。
最後に正体を明かし呆然とする顔や怒った顔などをみなで笑う。

「17歳の女の子と出会い系で会おうとするきもいオジサンたち」を蔑み、笑い、消費することを彼らは「成敗」という言葉で置き換えていた。
成敗なので問題はない。成敗なのでオジサンが悪い。成敗なので、なんら悪い気持ちは起こらない。むしろ逆で、成敗することは良い事だとすら思っている。

成敗された「きもいおじさん」たちはどうなるのだろう。

彼らは実際に会っていない(そもそも17歳の女の子でもない)。
正直、何も違法性が無い。違法性があるのは逆だ。配信者であり、それを侮辱した言葉でコメントする人間だ。

顔を晒すのは言語道断。
声も恐らくNG。
過去の性体験や性癖など極めて個人的な情報を公開するのはアウティングに近いだろう。
そして晒された顔や個人情報に「きもい」などとコメントするのは木村花さんの件以来かなり厳しくなっている。
これまではこういったネット上での侮辱行為を訴えるためには、民事でしか取り扱ってくれなかったが、今年から刑事事件として取り扱ってくれるようにもなった。
情報開示請求ができる。簡単にできる。「キモい顔」とコメントしたあなたの顔や本名、住所が公になることがあり得る。今まで以上にもっと簡単に。

「やれんのか?17歳の女の子を出会い系アプリを使って誘っていたお前が、公的機関を使って自らのその行為を公にするのも含めて、やれんのか?やれないだろ」
という、声のあげづらさを逆手に取ったやり口でもある。それはこれまで、レイプ被害女性の告発の難しさだったり、痴漢被害の声のあげづらさだったりと全く同じ構造だ。
女性はダメで、出会い系アプリを使って17歳の女の子を誘うおじさんはOK、なんてことは無い。まったく同じ構造なのだ。まったく同じ。

成敗されるおじさんたちと、それを消費する若者の構造、文化も、少し変わってくれたら良い。

繰り返すが、17歳の女の子とチャットや通話で話すこと自体は罪ではない。
性的なことを誘っているのはむしろ配信者側とも見れる。

これは成敗じゃない。これは暴力で、これは差別で、事件だ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?