ありふれたLOVE STORY②
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〜SIDE B〜
その日私は久しぶりに彼と会った。
意味もなくつるんでバカな話ばかりしている同級生よりも1人で黙々と色々な被写体にカメラを構える彼は凄く大人に見えた。
友人がきっかけで私は彼のファインダーの中に写ることができた。友人がきっかけで彼と話す機会が増えた。
彼の撮る私の写真は実物より美しく見える不思議な雰囲気があった。それは雑誌の表紙を飾るグラビアアイドルの様だった。
高校時代が1番楽しかったなんて言う大人は多いけど私もその中の1人。あの頃しか味わえなかった思い出と彼の写真のおかげだと思う。
私は彼が好きだった。他の同級生に告白された事もあったけど付き合うことは無かった。
でも想いを伝えることはなかった。友達が彼を好きな事を知っていたし、今告白してもフられるのは目に見えていたから。
卒業の日に一度だけ思いを伝えるチャンスがあった。彼も何か言いたげだったけど何も言ってはくれなかった。
私達は別々の進路を歩む。
高校を卒業してからは男性とお付き合いする事もあった。でも彼の撮ってくれた写真はずっと捨てずに取ってあった。それが原因で別れた事もあった。
彼の近況は地元に帰った時に聞いていた。
そして大人になった私達は偶然にも結婚式場で再会した。高校時代に使っていた彼のカメラはプロが使う高そうなカメラに変わっていた。
撮影で忙しいのだろう。あまり話はできなかった。
カメラは変わったが彼が撮ってくれた写真はあの頃と同じで実物よりも美しく写る不思議な写真だった。
彼はプロとして毅然と写真を撮っている様に見えたけど目を潤ませているのを私は見逃さなかった。
結婚式が終わった私は地元のツテを利用し彼の今の携帯番号を教えてもらう。
私は彼に電話をかけた。
「もしもし…」
彼の声だ。私は用件を伝える。
翌朝。私は自分の部屋で目を覚ます。いつもと変わらない朝
…隣に彼がいる以外は。
昨日の彼は泣きじゃくってあの頃の話をしていた。その顔は私がよく知るミステリアスな彼になる少し前。昔からよく知っている彼の泣き顔だった。
私は彼が好きだ。今もずっと昔も。
だから高校の時彼が好きだった友達には先に私の気持ちを話して付き合えない様にした。
卒業後も地元に戻った時には必ず彼の近況を聞いて彼につく悪い虫を追い払った。
SNSで彼のアカウントをフォローして近況をチェックした。彼をフォローする女のアカウントにはDMをして彼にかまわないようお願いをした。
社会人になってから色々大変な思いをしたと聞いたけどカメラマンは男ばかりの職場と聞いたので心配はなかった。彼のSNSも更新されなくなり私は安心した。
ある日、友達が結婚をすることになった。私が紹介した忙しい旦那さんに代わって私は友達と色んな会場の下見に行った。私は彼がカメラマンとしてよく担当している式場を適当な理由をつけて友達に薦めた。
式場で彼を見つけて私は出る予定だった二次会の参加をキャンセルした。
あの日の運命の再会を果たした私たちにもう障害はなかった。それからは頻繁に連絡を取ってご飯に行ったりお互い休みの合う日は出かけたりしている。
彼に言っていない事がもう一つだけある。
あの運命の日から私の生理は来ていない。
覚えてる?あの頃の約束。私と結婚するって。
守ってくれてありがとう。
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