見出し画像

アメリカ:CNNがU2ボノの信仰と、アメリカ、世界全体に及ぼすポジティブな影響を称賛

USA: CNN station praises the faith of Bono of the band U2 and its positive impact on America and the whole world

教皇フランシスコとボノ

U2のボーカル兼ギタリスト、ボノ(Paul David Hewson)の500ページに及ぶ回顧録が出版されたことを受け、アメリカのテレビ局CNNは11月22日にボノの特別番組を放送した。ミュージシャンのキリスト教信仰と、それがアメリカ社会、さらには世界全体に及ぼす有益な影響に焦点を当てた。

アイルランドの歌手の自伝的著書「サレンダー:40曲と1つの物語/Surrender: 40Songs, One Story」はすでに世界的なベストセラーとなり、ポーランド語でも、近いうちに出版される予定だ。1960年5月10日、ダブリンに生まれた著者は、母親が英国国教会、父親がカトリックという背景から、両方の信仰に深い関わりを持っていた。これまでの人生を通じて、積極的な信仰に基づくエキュメニズムの精神に導かれてきた。特に、彼の作品を高く評価し、独特なサングラスをプレゼントした聖ヨハネ・パウロ二世との交流は、すでに歴史に刻まれている。ボノの慈善活動や環境保護活動は、とりわけフランシスコとの個人的なふれあいに基づいている。

CNNの解説によれば、政治的・宗教的に分裂したアメリカ社会をひとつにすることで、このミュージシャンは特別な貢献をしたのだという。全米レコード芸術科学アカデミーが授与するグラミー賞を、他のどのグループよりも多い22回も受賞していることからも、アイルランドのバンドがいかにアメリカ文化に深く浸透しているか分かる。

ボノの人生におけるこうしたアメリカ、特にその宗教性との結びつきは、後にカントリーミュージックの象徴となるジョニー・キャッシュ(1932-2003)との親交を深めることから始まったと思われる。聖書的、黙示録的なキャッシュの「The man comes around」などのオリジナル曲は、今日に至るまで好奇心を刺激し、インスピレーションを与え続けている。キャッシュは、その力強く表現力豊かな声とは裏腹に、アルコールと精神安定剤に依存した弱い人間だった。彼は、その深い信仰心に救われ、それがU2のシンガーにも与えられたのである。かつてキャッシュの自宅を訪ねたとき、キャッシュが感謝の祈りを唱えたが、「今まで聞いた中で最も詩的な言葉だった」と回想している。当時、繊細なアイルランド人にとって、それは大きな意味を持つものだった。

ボノとU2のコンサートは、様々なグループが自分たちと同じ政治的、宗教的信念を持つ人たちだけを認める国、最近、「分裂したアメリカ/Fractured States of America」とも言われるが、その国の結束を高めることを、以前から、そして今も目的としている。そして、これはアメリカだけの問題ではない。

その中で、彼の作品は、これまでとは違う、より良いアメリカ、より良い世界のために捧げられている。ここで彼は、とりわけ 「良識/decencyの共有」を訴えている。2012年、ワシントンD.C.のジョージタウン大学でのスピーチで、ボノはこうした信念をこのように表現している。「アイルランドは偉大な国だが、それはイデア/ideaではない。イギリスは偉大な国だが、それもイデア/ideaではない……。しかし、世界中の人々は、あなたたち(アメリカ人)を、『あなたと私は平等につくられた』という、おそらく人類史上最高のイデア/ideaだと見ている。神はこのことであなたたちを愛している。このイデア/ideaは、もはやアメリカだけのものではないからだ。あなた方は全世界にそれをもたらす」

ボノの音楽活動における重要なテーマは、宗教的な寛容さである。1968年から88年にかけて宗教暴動で約3,500人が犠牲になった母国で、このような確信を持つに至った。だからこそ、2005年のベルリ講演で、ボノは、同年7月7日にロンドンで52人が犠牲となったテロ事件について、イスラムのテロリストを非難したのだ。その際、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の3つの宗教のマークが入ったヘッドバンドをつけ、「私たちは皆、アブラハムの子ども/We are all children of Abraham」と歌った。

ボノはチャリティー活動も行っており、そのために様々なスポンサーを集めていることでも知られている。彼はその活動への協力を得るための、人を説得する才能がある。CNNは、このミュージシャンと極端な保守派であるジェシー・ヘルムズ上院議員との会話を引用している。議員はキング牧師の誕生日(1929年1月15日)を国民の祝日とすることに反対し、エイズを「ゲイの病気」と呼んだ。そこで、ボノはアフリカで病気に苦しむ人々を支援するための資金を求めて、彼に言い寄った。そして、議員との会話の中で、ハンセン病患者の癒しに関する福音書の一節を引用し、この行動の意義を納得させた。また、キング牧師の誕生日は、ボノの働きかけもあってか、国民の祝日として認められ、アメリカでは2000年から1月の第3月曜日に祝うようになった。

このミュージシャンは回顧録の中で、「弟子たちに福音的な言葉で語りかけたアシジの聖フランシスコが定めた道」を常に歩もうとしたと説明している。「全世界に出て行って福音を、のべ伝えよ、ただし──必要に応じて──言葉を使いなさい」。CNNの編集者ジョン・ブレイクは、「ロックスターが口にするには、少し感傷的に聞こえるかもしれない。しかし、政治的・社会的緊張が危険なほど高まっている今、多くのアメリカ人が聞くべき言葉なのかもしれない」と述べた。

ボノ(Paul David Hewson/ポール・デイヴィッド・ヒューソン)は、1960年5月10日にダブリンで生まれた。歌手、音楽家、慈善家である。1976年にダブリンで結成されたロックバンドU2のリーダー、ボーカル、ギタリストであり、ボノのほか、ジ・エッジ、アダム・クレイトン、ラリー・ミューレンJr.が所属している。

80年代半ばには、グループは世界的な名声を獲得した。テナー、バリトン、ライトファルセット、3オクターブ以上の音域があるボーカルの情熱的な歌声、ジ・エッジの独創的なギタースタイル、美しいメロディーで心を惹きつける、かつ感情に訴える曲目を中心とした演奏で、そのいくつかは世界中でヒットした。「Sunday Bloody Sunday/ブラディ・サンデー」、「New Year's Day/ニュー・イヤーズ・デイ」、「Bad/バッド」、「Pride (In the Name of Love)/プライド」、「With or Without You/ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」、「Angel of Harlem/エンジェル・オブ・ハーレム」、「One/ワン」、「Beautiful Day/ビューティフル・デイ」などが挙げられる。U2の最大の成功は、1987年にリリースされたアルバム『The Joshua Tree/ヨシュア・トゥリー』で、このアルバムからのファーストシングル「With or Without You/ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」は、今でもバンドのベストセラーであり、Hot 100チャートで、グループ初の首位に輝いた。

2005年、バンドはクリーブランド(オハイオ州)にあるロックの殿堂入りを果たした。ここはこの分野の音楽の博物館であり、ロックアーティストやロックに特別な貢献をしたすべての人々を称える「栄光の館」である。

U2は全世界で1億5千万枚以上のレコードを売り上げており、この分野の歴代の同種グループの中で16位にランクされている。

o. jj (KAI Tokyo) / Washington


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?