ほんとにあった怖い話
「なんで自転車に乗らないんですか」
自転車を押して歩いている時に、急に後ろから話しかけられて驚いた。振り向くと、それは見知らぬオジサンであった。
その日は自転車に乗った時から、股が痛かった。私の股には何もついていないはずなのに、なぜかその日は、自転車に乗った直後から股に違和感と痛みを感じていた。
最近買い替えた自転車はサドルが硬かったけれど、それにも慣れてきた頃だったのに。
段差のあるところでは、ちょっと腰を浮かせながらペダルを漕いでいた。その途中、電話がかかってきたので、自転車を降りて押しながらイヤホンで話していたところに、オジサンが話しかけてきたのである。
「え?? 暑いからですけど」
イヤホンを片方外しながら、
とっさにそう言えた自分を褒めたい。
「あ、暑いから自転車に乗ってないのね。股が痛いのかと思った。このタイプの自転車、男性は前が痛くなるんだけど、女性も気をつけた方がいいですよ」
突然、見知らぬオジサンから股の心配をされて、私は固まった。初対面の相手と股の話をすることは普通なのか、こちらの考え過ぎなのか、全く訳が分からなかった。
悪いことに、話していた電話相手とはイヤホンを外した時に電話が切れてしまっていた。
「知らない人が多いけど、自転車に乗ると女性もココが悪くなるから気をつけた方が良いです」
と言いながら、オジサンは自分の股間に手をやった。
「 … 」
「ツールドフランスに女性がいないのは、そういうことなんですよ。みんな知らないけど、股を悪くする人が多いんですよ」
「 … 」
「だからこのタイプの自転車に乗っている女性はそれを知らないのかなと思って」
「 … 」
親切にしてはセクハラが過ぎる。物申してやろうかと思ったが、「これは新手のナンパではなく、新手の変質者だ」と理解した。自宅の近所でこのオジサンに逆恨みされるのも怖い。極力反応せずに相手が去るのを待った。
逆恨みよりも怖かったのは、ちょうど股が痛かった時にそれを見透かしたように、自転車に乗らない理由を聞いてきたことだ。
もしかして、ずっと前から私のことを見ていたのか?見るからに股が痛そうに自転車に乗っていたのか?いやいや、そんなことはないはずだ。だって、電話がかかってきて自転車を降りたんだもの。股が痛くて降りたんじゃない。
オジサンに対する気持ち悪さと腹立たしさが、ぐるぐる頭を巡っていた。
なんのはなしですか
心の中で何度も繰り返しながら、オジサンの発言をやり過ごした。まさかこんな場面でこの言葉をつぶやくことになるなんて。
そうしているうちに、オジサンは反応のない私に飽きたのか「じゃあ」と言ってスタスタと去って行った。
やっとオジサンから解放されて安心した私は、遠くなっていくオジサンの後ろ姿を確認して、自宅への道を急いだ。家に着く頃には、股の痛みはすっかり無くなっていた。
なんのはなしですか
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なんのはなしです怪
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あー怖かった!
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