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みんなの日本語2「介護編」第30課

授業の導入や会話練習の参考になれば幸いです。

・~て あります
・~て おきます(準備・措置・放置)


1.「てある」


【補足】食後の歯磨きは非常に重要です。歯や歯茎のトラブル予防だけではなく、食物残渣や歯間にはさまっているものを除去することで呼吸の際に残渣が器官に入ってしまうのを防ぐためでもあります(誤嚥予防)。吸い込んだものから菌が肺に感染し、誤嚥性肺炎につながる恐れもあります。毎食後とおやつ後には必ず歯磨きをしていただいております。どの施設でも事故予防として必ずおこなっているはずです。
 ※口腔ケアについては別途どこかで書きます

 介護の仕事を知らない人から「排泄とか大変でしょ?」と言われることがありますが、確かにそれも大変ですが、本当に大変なのはこういった命の危険につながる食事介助、転倒に気をつけながら介助する入浴やトイレなどのほうだと時折話すことがあります。ま、全て大変なんですけどね~。
 食後すぐに居室に戻ろうとする人「部屋で磨くから」という人(本当の場合とウソの場合があります。食堂で歯ブラシを預かっている人は食堂近くの洗面台で、そこに無い人は部屋で磨きます)、介助が必要な人入れ歯を洗ってうがいをする人歯磨き用のウェットティッシュを使う人、さまざまです。自立していてうるさがる人にはあえて言わないこともありますが、たいていの入居者様・ご利用者様にはお声をかけます。

 デイサービスでは各自毎回持ってきてもらう場合と、施設で預かっている場合とがあります(私が勤務したデイケアは後者で、デイサービスは前者、到着後おカバンから取り出し、預かっていました)。いずれにせよ事前に洗面所付近にコップや歯ブラシ(名前あり)、歯磨き粉(名前あり)を設置します(名前が見えるように)。
 磨こうとしない人や口腔セットを探している人に声をかける際、「歯を磨きましょうか。もう洗面所に用意してあるよ」といったりします。
  「歯磨きセット、洗面所に置いといたよ」というような「ておく」「とく」はこの場面ではあまり使われません。
 外国人介護職員さんは「歯磨きにいこう。歯ブラシあっち」「歯磨きセット、もうあるよ。あそこ・・・」という感じでした。「てある」を使いこなせるかどうかは不明ですが、現場では他の場面でも多く使われます。
 「晩御飯代、払えないかも」
 「お金?お父さんからもうもらってあるよ」

 「替えの下着、忘れちゃったかも」
 「あ、もうカゴに置いてあるよ」

レクの塗り絵中
利:えんぴつけずり、どこかな。
介:「(みんなが使えるように)そこに置いてあるよ。
  (取って渡す)どうぞ。」

デイサービスで、利用者さんがレクのあと(誰にもかまってもらえず寂しく不安な気持ちになり)帰ろうとしてドアのほうに向かう
介:〇〇さん、おやつ用意してあるよ。食べていって~。

食後やおやつの後
介:歯ブラシ、洗面所に置いてあるよ。 

利:今日の午後は何をするの?
介:今日は「まちがいさがし」ね。もう(紙)準備してあるよ。

2.「ておく」

【補足】「てある」に比べて「ておく」は恩着せがましく感じるというか、わざわざあなたのためにやってあげたよの、という意味合いに取られるのか申し訳ない気持ちにさせてしまうようで・・・。「申し訳ないわね」とわびるような言葉がよくかえってきます。
ただこちらの都合だと感じられるようなトイレのベル鳴らしなどは特にお礼や詫びの言葉は出ないように思います。私は言われたことがありません。「はい」「わかった」ぐらいで。

そのほか・・・
「(日によって調子も変わり、お箸で食べづらそうにしていたら)スプーンおいとくから、つかってね」 
「ジャムの袋、自分で切る?」
「ジャム、自分でぬる?」「ぬっておきましょうか」「ぬっとこか?」
「ジャムの袋、こちらで開けましょうか?」「あけましょうか」と確認するほうがいいのですが、朝は忙しいので「~ておきますね」「パンに塗っとくよ」と有無を言わさずやってしまうこともあります。
 無表情の人もいれば、「ありがとう」「お世話様」「悪いわね」という言葉をいただくこともありました。

イブニングケア(就寝前のケア)で各居室を訪問します。「ておく」が渋滞するほどよく使われます。

【補足】食事の際はお茶やお水などで水分摂取していただきますが、居室へ戻ったあと喉が渇く方もいらっしゃいます。個人持ちの保温保冷ボトルを介護士に渡して「お湯を入れてきてほしい」と要望される方もいらっしゃいます。すぐには対応できないことがほとんどですが、一旦業務が落ち着いたら食堂へいってお湯を入れて、ご依頼のあった居室へ持参します。
 「〇〇さん、失礼します。お湯をお持ちしましたよ。ポット、ここに置いときますね」と丁寧に言う場合もあれば、「お湯、ここに置いとくね」と手短に言って、ご本人の様子観察や介助を行ったり、すぐに別の居室へと伺ったり色々です。

※イラストを入れて、もう少し丁寧に補足したかったんですが、とりあえず公開します。
 

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