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絡まる

遠くで携帯の通知音が鳴る
私は手にしたタオルをゆっくりたたみ
少し息を整え、携帯をとる
彼からの返信はいつも優しい
私はそれが欲しくて甘える
見えない糸で繋がれていると
少女のように信じ、想いを綴る
信じる?
配慮された優しさ…
突然、暗雲が立ち込め
携帯からこちらを恨む目が見える
それは写鏡なのだろう
私は、張り巡らされた蜘蛛の糸にかかった蝶なのかもしれない
それならば、それもいい…
この夢心地
糸に絡みとられよう
もう死んでもいいのだ…
私の悪夢を振り払うように
突然、背中をそっと
撫でられる気配を感じる
私の知らない、見えない指先で
その優しさで
私の身体から吐息が漏れる
あぁ、私は、もう死んでもいいのだ

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