◎ 。。。。○ ○ 。。
「誰目線なんだろうな」
「え?」
「いや、この太陽系の惑星の並びさ、よく見るけど」
「なんでいつもこっちの向きなんだろうな」
「色んな向きあるとわかりづらいからじゃね?」
「見やすいじゃん。統一されてると」
「大体、本当は円だろ?太陽を中心とした」
「横一列の時は何でこの向きなんだろな」
「なんかあんだろ」
「ちょっと作ってみるか」
中学校の休み時間に佐藤君と鈴木君が消しカスでその太陽系の横並びを表現した同時刻、同じ瞬間だった。
偶然にも海ではプカプカ浮かんだクラゲ達が同じ模様を描いた。
ジャングルでは猿達が遊んだ石の形がまったく同じものであった。
サバンナではライオンのうんちの形が瓜二つの軌道で排出された。
ボタボタとある森で落ちた木の実も同調したかのように揃った。
葉っぱに寄り添ったてんとう虫達も実に見事なそっくり具合を果たした。
目に見えない筈の微生物達でさえ、この時を待ち続けたかのように同じ模様をなぞった。
海の生物が。空の生物が。大地の生物が。
地球上で生命を与えられたありとあらゆるもの達が、ついにその日、全く同じ時間に、同じ模様を作ってしまった。
最初に異変に気付いたのはゴキブリ達だった。地球の地で積み重ねた遺伝子のキャリアが違う彼らは、「終わりだ」と感じたに違いない。最大の危機感を抱いた。
彼らは必死にその模様を崩そうとした。太陽系の横並び模様を崩す事ができれば、きっとまだ。すべて揃わせることだけは避けなければ。その一心でテレパシーで繋がる世界中にいる仲間達と共に見つけた模様を崩した。
だが、1億4960万㎞先の瞳を誤魔化すことはできなかった。太陽は、その模様が揃う合図を見ていた。ゴキブリが模様を崩すよりも先に、23時間56分の大原則が崩された。地球の自転周期と公転周期は、まず、水星のものに塗り替えられた。
1日が経つまで4224時間。佐藤君と鈴木君が空の異変に気付くまで、後8分19秒。
【続く】
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