Sの奇妙な性格は女子社員にはあっという間に広まっていましたが、男性諸氏はイマイチわからないようでした。
小柄でぱっと見はいいもので、そこに騙されていたのかもしれませんが(中にはSの親のコネに魅力を感じる人もいたかもしれません)、どんなに鈍い人でも一度一緒に案件をこなしたり、デートとまではいかなくても遊びに行ったりしたら、すぐ「わかって」しまうようでした。

入社1年後には、誰からも嫌われる存在になってしまっていました。
それでも一応は大企業ですので、イジメなどは査定に響きます。表向きは極力波風が立たないようにみんな努力していましたが、Sはそれを「認められた」と勘違いしたようで、ますます増長してくるのでした。

でも一人が増長すると、少なくとも二、三人はその煽りを食って貧乏くじを引かされます。

ある時、Sのワガママ女子っぷりにブチ切れたバリキャリ3人組がいました。
彼女らのやり口は、私達の思惑とは全く違っていて、一見したところではSに対して腹を立ててるとは全くわかりませんでした。彼女らの上司も、最後までわかっていなかったようでした。
本当に頭がいい人っていうのは怖いなあと思いました。

彼女たちは、Sにとても仲良くしてあげたのです。

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