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一度も行ってないコラボカフェのメニューを全部レビューする

コラボカフェが好きだ。アニメやゲームの作品が飲食店とコラボして、作中に登場するキャラクターや世界観をモチーフにしたメニューを提供する、オタクが好きなあれだ。作中で実際に登場した料理を再現して提供したりもする。後者は特に作品への愛が伝わってくるようで好きだし、もし自分がメニュー開発に携われる機会があれば、断然後者を立案する方向で取り組みたい。

エヴァンゲリオン酒場」というコラボイベントを耳にした人も多いのではないだろうか。エヴァをモチーフにしたメニューを取り揃えた居酒屋形式の期間限定店舗だ。コラボカフェと同じくらいエヴァも大好きな自分は是非行ってみたいと思っていたが、あいにく機会に恵まれず開催期間が過ぎてしまった。
一体どんなメニューがあったのだろうか。作中に登場した食べ物を取り揃えるとすれば、シンジ君のうろ覚えバームクーヘンとか、綾波が注文したにんにくラーメンチャーシュー抜きなんかはおそらく存在するだろう。アスカの乳首を隠したミサトさんのストロー付き缶ビールや、アスカの乳首を見たシンジ君の最低な白濁液あたりも当然抑えておきたい。ドリンクメニューは数も多く用意できそうだし、マトリエル襲来時にゲンドウが足を浸けてたぬるい水なんかもあるかもしれない。

そんな期待感を抱きつつ、ネットで「エヴァ酒場 メニュー」と検索する。

しょうもなくない?
キャラクターや舞台、作中料理の再現とかじゃなくただのダジャレじゃん。特に下段の2つはしょうもなさを通り越して少し腹が立つ

予想していた方向ではないが、別の期待感が込み上げてきた。エヴァという巨大コンテンツが公式に繰り出してきた、そして大好評の末に1年近くも開催されたコラボ居酒屋メニュー、その全貌を知りたくなってきたのだ。

幸いホームページがまだ残っているので、そちらでお品書きを見てみる。長期間開催されていただけあって時期によってメニューが刷新されているようで、かなり品数が多くなっている。これは期待できそうだ。上から順に見ていこう。

・全期間共通メニュー

まずは作中で最初に登場した敵、サリエルをモチーフにした”使徒、襲来(シュウマイ)”ソース入れを使ってサリエルの頭部が再現されている。名前に若干イラつくが見た目の再現度は及第点を越えている。”セカンドインパク豚(とん)”もネーミングが引っかかること以外はコラボメニューのお手本のような出来に思える。
続いての”水菜だから・・・水菜サラダ”は…なんだこれ…??一体なにがモチーフなんだ…?おそらく作中に登場するセリフなんだろうけど…まさかエヴァ好きを冒頭で自称した自分がモチーフに気付けない事態になるとは思わなかった。Twitterでこの料理についてつぶやくとフォロワーの人から「綾波はなぜエヴァにのるの?→絆だから→水菜だから」といった返信が来る。
???
ググってみると確かに綾波の名言としてバチコリヒットした。マジ…?そんなセリフあった…?

気を取り直して次のメニューを見てみよう。左にあるエヴァ初号機をモチーフにした"初号機漬け"は、同じ紫色である茄子を使ってエヴァ初号機が再現されており、居酒屋というコンセプトにも合っている。これはCPが高い(※コラボメニューポイント)。ただ青色のフォークを刺してるのが気になる。紫色とか緑色のを用意できなかったのだろうか。
続いて中央の"加持農園で造りたかった枝豆"、これについてはそうなの?としか言いようがないが、居酒屋メニューに枝豆は欠かせないので理解できる。"リリスうずら醤油漬け"は十字架とロンギヌスの槍を模した器とフォークもさることながら、生命の源であるリリスをうずらの卵に喩えたのは見事。50CPはある。

葛城ミサトの代名詞とも言える”サービスサービスぅ”を称したポテトや、ネルフのオペレーターがよく言ってた"目標に高エネルギー反応!"と題した揚げ物セット。定番居酒屋メニューにもどうにか作中イメージを投影しようとする意気込みは感じる。ただ"ほかほかして欲しいシンジ君のお昼ご飯セット"は多分綾波のセリフを使っただけで見た目に意匠が感じられないのでCPは低め。

主人公碇シンジの超有名なセリフがモチーフである"「逃げちゃダメだ」激辛豆腐チゲ”に、アスカの代名詞”「あんた、バタぁ?」アスカのコーンバター”、そして伝説的なTV版最終回のシーンより”おめでとうケーキ”
なんだろう、段々雑になってきてるように感じる。ただ先にも言った通り、メニューの量がめっちゃ多い。その為クオリティに差が出てしまうのはしょうがない気もする。

ゲンドウが加持より受け取ったアダムを再現した”アダムのチーズケーキ”は再現度高し。そしてセカンドインパクトをモチーフにした2品目”セカンドインパクトプリン”、刺さっているクッキーは使徒とかが爆発した際にできる十字架の爆炎か。でもこれ、見た目的にサードインパクトじゃない?


・期間限定特別メニュー(4月20日~6月3日)

"ネルフ本部チャーハン"はシンプルながらも印象的なネルフ本部の建屋が再現されており結構好きだ。そして食べる際には破壊されるネルフ本部も再現できるので2度美味しい。”使徒ニラ玉”も、ニラ玉にソースとマヨネーズを掛けただけだのに一目でレリエルだとわかるのが良い。ただ店員の理解度によってクオリティに差が出ないか心配な面もある。メニュー名が「レリエル」ではなく「使徒」呼びなのは、見た目と裏腹に知名度自体はそんなに無いが故だろうか。比較的知名度の高いサキエルは右のメニューで2度目の登用。”サキエルのムニエル”という名前に関しては相変わらずやっちゃった感が否めないが、今度は器による顔面だけでなく、ムニエル本体にプチトマトをあしらうことで胴体部分も表現されている。さすがは期間限定メニューといったところか。

キスの天ぷらに"大人のキスよ"を採用するという小学生並のネーミングセンスが光るメニューの横で、ムニエルから間を置かずに3度目の登場となる"手羽サキエル"。サキエルの乱用でさすがにネタ切れか…と一瞬感じたが、前の2品とは違って今回はサキエルの印象的な肩幅が再現されている。なんだこれ、毎回しっかりと異なる要素にスポットライトが当てられている。メニュー担当者がサキエルのファンボーイである可能性がここで高くなる。
”シシャモサクサク作戦”は、「作戦」というワードで辛うじて作中に登場する作戦名称である「ヤシマ作戦」と、その際の標的である「使徒ラミエル」がモチーフであることが判る。雑だな。サキエルとの落差がすごい。担当者がラミエルアンチなのかもしれない。
その他に読み取れる要素としては、ラミエルを模した器の中心に赤いケチャップが添えられてることから、これは多分新劇場版のラミエルだ。死ぬ時に大げさな動きをしながらエグい量の体液を撒き散らす方のラミエルだ。

"ザ・ビースト"は新劇場版のエヴァ弐号機がモチーフなんだろうか。エヴァ弐号機は旧劇の量産機戦がイメージの大部分を締めててあまりピンとこないな。"にんにくラーメンチャーシュー抜き"についてはやはり来るよねと感じた。エヴァと言えば綾波レイ。綾波レイといえばにんにくラーメンチャーシュー抜きだからだ。"ネルフの焼き印つきだし巻き玉子"は定番メニューにネルフの焼印ぶっ刺しただけの雑コラボだが、ネーミングだけで爪痕を残そうとするコーンバターや豆腐チゲよりは好印象だ。
地面からにょきにょき生えてくるシーンが印象的な"第3新東京市冷やっこ"、敷かれたチップス的なやつが作中の夕焼けシーンを想わせてくれて、こういう細部に施された技工はちゃんと褒めていきたい。

・期間限定特別メニュー(6月4日~7月18日)

"かつどん限界"、エヴァの活動停止が近いことを示すインジケータをモチーフにするマニアック具合は評価できるが、中心に位置しながら完全にネーミングにしか利用されてないカツがなんだかチグハグで面白い。周りの大人たちの思惑に振り回される主人公、碇シンジが裏のテーマなのかもしれない。(エヴァ視聴者特有の深読み)
"鳴らない、(お)電話"で遂に来ました、各話サブタイトルからの登用。どうでもいいけど括弧の使い方が個人的にしっくりこない。括弧使わずに"おでん話"とかの方がよくない?
"燻製カヲルおつまみ"、これもキャラクターのネーミングだけを利用した雑コラボメニューだ。コラボメニューのコンセプトには人それぞれの優劣があると思って、自分の場合は「作中料理再現>キャラクター見た目再現>ネーミング利用」って序列になってる。左に行くほど尊さが高まる。より作るのが難しそうだからってのが理由の一つに挙げられるので、より安直であるネーミング利用だけのメニューには低CPを付けたくなる。(忘れてなかった要素)

メニューの数的にやっと折返し地点だ。想像以上に多いな。文章考えるのしんどくなってきたけどどうせなら最後までやりきろう。"セカンドインパクトトマトサラダ"、確かに作中で重要な要素ではあるが、現象で3つも料理を作るな。しかも2品目の疑惑がまだ晴れてないので「本当にこれセカンドか…?」という猜疑心が首をもたげる。続いてサハクィエルをモチーフにした"使徒(ゲソ)のから揚げ"、やはり比較的マイナーな使徒名はメニューに採用されないのかもしれない。それはそれとして使徒にゲソってルビを振るのはどうなんだ?あんま音的にも似てないんじゃないか?次の"リリスのスパイシーチキン焼きロンギヌスの槍つき"、基本メニューのうずら醤油漬けと被ってる上に生命の源というコンセプトが抜け落ちてしまっている。ロンギヌスの槍を強調して誤魔化すな。…いかん、長文を書いた疲労で若干辛口になってきてる。この時点で4000字近く書いてる。少し落ち着いて甘めの文章を心がけよう。いくらこのメニューがスパイシーチキンと言えども…ね(甘口ジョーク)

"目標をセンターに入れて…スイッチ"、普段グッズ化されることのないこういったインターフェイス類の再現は希少性が増すので、見た目再現系メニューの中でも比較的CPが高くなる。"渚香る海鮮塩焼きそば"でまたしてもネーミング利用で使い捨てられる哀れなカヲル君だが、今回は渚部分も採用されてるので前のメニューよりは幾分解像度が向上している。"使徒板わさ"のこの仮面はサキエルモチーフだと今まで思っていたが、使徒全般を指すアイコンとしての意味を持つのか?


・期間限定特別メニュー(7月19日~9月1日)

”見知らぬ、天丼”、これも再三に亘って嫌悪感を表明しているネーミングだけの雑コラボに類されるフォーマットだが、原題「見知らぬ、天井」から「点」を付け加えただけのシンプルさが評価できる。まさに画竜点睛と言ったところか。言わないか。あと天ぷらのタネが海老に茄子、かぼちゃにシソの葉という全然知ってるやつなのも面白くてポイント高い。(このポイントはCPではない)
"L.C.L(れんこん・からし・れんこん)"…この雑さが段々気持ちよくなってきた頃だ。ただ脳みそが摩耗してきたせいで「R.K.Rだろ」みたいなブスッコミ(無粋なツッコミ)しか浮かばない。続く"私が守るもの"…「守る」でいいんだよな?フォントのせいでちょくちょくメニューが読みにくい。ヤシマ作戦での有名な綾波のセリフだが、焦げたチーズは熱せられたエントリープラグの再現なんだろうか。

"僕は黄身に逢うために生まれてきたのかもしれない"、ここで初めてネーミング要素以外での登用となる渚カヲルのメニューだが、君を黄身になぞらえるのはコラボメニューの土俵に上がれてない状態での雑さを感じる。見た目としても音符(歌)でカヲル感を出そうする手法は若干見苦しくないか。
"真希波サーモンマリネ"新劇から登場するチルドレン「マリ」がここで初めてメニューに登場している。サーモンなのはプラグスーツの色がモチーフなのかな?と思ったがマリのスーツはピンクだった。あっ、"マリ"ネでマリなのか。
"使徒イカ焼き"シャムシエルがモチーフのイカ焼きだ。劇中の見た目からイカっぽいやつなのでしっくり来る。それにしてもなんでサキエル以外の使徒の名前はメニューに採用されないんだろう。

”ネルフの焼き印つきふわふわとろろ芋鉄板焼き”、ネルフマークを宛がうことでコラボの体裁を保ってる。こういう、コラボ精度を低くしてでもメニューに入れたい料理ってのは、その店としては味に自信のあるものだったりするんだろうか。コラボにかこつけて是非味わってもらいたい。そんな店側のエゴが結果として形になってるのだとしたらいいな。"エイヒ・レイ"、このメニュー名は最初にエヴァ酒場について検索した際に真っ先に目に飛び込んできたメニューだけど、その理由は一番イラっと来たせいかもしれない。雑ネーミング採用な上に、料理名である「エイヒレ」の「レ」にしか掛かってない。エヴァの顔とも言えるレイの半分しか利用しないコラボメニューとか許されていいのか?それから"使徒(ゲソ)のから揚げ"、お前なに続投してんだ。お前だけだぞ、期間限定メニューなのに復刻してんの。そんな評判良かったのか。
"第10使徒のナントースト(ベーコン&しらす)"、ラミエルと並んで視聴者に与えたインパクト最も強そうな使徒であるゼルエルがモチーフのメニュー。ここでもやっぱりゼルエルの名前は登場しない。ここまで来るとメニュー名に採用されたサキエルの方に違和感を覚える。担当者がサキエルのファンボである可能性がどんどん濃厚になっていく。それと、もう一つ別の違和感を覚えたので念の為ググってみたんだが、案の定ゼルエルは第10使徒ではなかった。個体名出さない上に分類まで間違えるとかもはや使徒に失礼じゃないか?これもうジオフロント突破されても文句言えないんじゃないか?もう行っとくか?サードインパクト。


・ドリンクメニュー

やっとフードメニュー部分が終わった。
"使徒ラスサワー"は雑ネーミングコラボであるものの使徒のコアを再現しているのでCPは及第点。横の"綾波ソーダサワー"にも似たようなの浮いてっけどっていうブスッコミが入るかもしれないが、これはレイの瞳と解釈しよう。上に浮かんでいるのがレイの髪を再現したソーダキャンディーだからこの解釈は至極真っ当だと思う。"Mark.06 グラスワイン"は「破」のラストで登場のカヲル君が搭乗した六号機か。青いエヴァといえばトウジの4号機のイメージだが、ググってみるとあっちは黒色って感じだな。

アスカモチーフ、"式波トマトサワー"やはりキャラクターのイメージカラーを反映させやすいドリンク類はシンプルで受け入れやすい。オリーブが添えられてるのは何か理由があるのか考えてみたけど、もしかしてQで着けてた眼帯かな?そうだとしたらなかなかCPが高いぞ。
驚異の4品目の採用となる"セカンドインパクトワイン"、前の2品のせいで、まず「本当にセカンドか?」と最初に疑ってかかる心理状態になっているが、羽をモチーフにしたなんかのお陰でとりあえずセカンドであることは信用してよさそうだ。関係ないけど「セカンドインパクト」ってお酒の銘柄っぽくないですか?英語だとあれかもだけどフランス語とかに訳せばありそう。

”ミント・カヲルモヒート”でまたしてもカヲルが雑用(雑に用いる)されている。他のキャラクターが比較的カラーリングを揃えて貰っている中で、カヲル君のメニューには一切その気配が無い。好意的に解釈すれば「無色」のイメージなのか?隣の"初号機ドリンク"はエヴァ初号機の紫と緑がしっかりあしらわれていてオシャレだ。こういうオシャレなドリンク飲んだことないな。オイルタイマーみたいでいいですよね。(オシャレじゃない感想)
"L.C.L"、オレンジジュースがエントリープラグを模した別容器で用意されててこれもシャレオツ。

・ランチメニュー

最後にランチメニュー。"リリスオムライス"は見た目のインパクトが強い。やはりコラボカフェといえばオムライスみたいなところあると思うしこれは文字通りこの店の顔のような存在だと思う。"ATフィールドうどん"は折り重なったすだちの断面が可視化状態のATフィールドに見えなくもない。オムライスと同様、ランチメニューはそれ一品で食事として完結できるような配慮がしっかり伺える。これら2品のどちらかと"加持農園のスイカデザート"を注文すればコラボカフェでの昼食として結構満足できる内容になるんじゃないだろうか。やはり加持さんと言えばスイカだが、先の「枝豆」メニューの存在のせいで、こっちの方はしゃーなし育てたスイカなんじゃないかといらん心配をしてしまう。


以上。長かった。行ってもないコラボカフェのレビューに7,000文字近く費やすとは思わなんだ。行ってないから味についてまったく触れてないし。
でも、途中で触れたように書いていく中で自分の中での「コラボメニュー」に対する価値観がしっかり言語化、具現化されたように感じる。普段から漠然と抱えていた感覚だけどやっぱこうして文字に起こすことで輪郭がはっきりしてくるのはいいな。またやろう。終わり。

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