ラスト・マユダマ

 どんど焼きとかそういうやつ、小学生の行事だけど、ついに今回がKんちの最終回である。同じ県内だが、地元と慣習が異なり繭玉が要る地域であった。地元じゃ餅を焼いて食うだけだったのに。
 繭玉ってなんだは近所のママ友を捕まえて聞いた。買ってもいいし作ってもいいらしい。要はすあまだ。Kは作ることにした。当時はレシピが分からず普通に白玉粉のレシピで白玉を作ることにした。袋に書いてあるとおり、ちゃんとすり鉢とすりこぎも買ったんだ。それが9年前。全然うまくできなかった。
 3回目位でスマホで調べる知恵を覚え、電子レンジで作るレシピをゲットし、それ以来それで作っていて年々腕を上げている。
 いざ会場に行くと繭玉を丁寧にアルミホイルで包んだ柳の枝を持っている人が多く、ガチで食べたいとなれば直火はススがつくからダメなんだな、と学ぶ。アルミホイルで包んだ繭玉は宇宙感がある。真っ青な繭玉をつけた枝を掲げる猛者もいて、フリースタイル繭玉の世界を垣間見る。
 Kは毎年ビジュアル重視で臨む。真っ青にしなかったけど赤と黄色と緑の食紅を買っていろいろな色を作った。
 さて今年はMが6年生、参加するのはこれで最後である。Kは粛々と繭玉を作った。初めての時は半日かかったのに今日は30分で完成した。売ってるものと遜色ない出来だ。繭玉を極めたがもう来年は作らない。多分一生作らない。