ケンタッキー


ケンタッキー八王子店が好きだ。

八王子駅から少し歩いた所にそれはある。
上京してきた3年前から半年に1回くらいの頻度で訪れている。

たまに無性にケンタッキーが食べたくなることはないか。口の周りのと指を油でぎらぎらに光らせて、骨までしゃぶりたくなる日が。
こんなことを友人や恋人に言った日には、だから丸いんだとコテンパンに言われるだろう。
なので、食べたくなった日は淡々と用事を済ませ、誰にも言わずにケンタッキー八王子店へ足を運ぶ。

1階で注文を終わらせ、2階へ上がると広い飲食スペースがある。
コンセント付きの席や、カウンター、2人席など様々だ。
私は決まって2人席に座り、荷物を置いてスマホをしまい、目の前のチキンを頬張る。
平日の昼だからだろうか。私が行く時は大抵周りも女の人が1人で来ていることが多い。
もちろん男の人ごくたまにもやって来るのだが、大抵申し訳なさそうに端っこに座る。

店内は昼休憩のおばさん、近所のおばあさん、綺麗なお姉さんたちでいっぱいだ。
そして、驚いたことに私を含め全員が骨付きチキンを食べている。バーガーでもなく、ツイスターでもスイーツでもなく、彼氏の前では食べづらいと言われている骨付きチキンを食べて口元と指をぎらぎらさせている。

それぞれの席でチキンと向き合っている。席はバラバラだが、なぜか連帯感もあり、士気が上がっているように感じる。

私はこのビルの2階をケンタッキーの楽園と呼んでいる。
ケンタッキーの楽園は、皮を先に剥いで食べてもいい、軟骨もゴリゴリ食べてもいい、骨もしゃぶっていいんだ。
カーネルおじさん、私もちゃんとチキンに向き合えているかな。これからも、通います。

私はやっぱり、ケンタッキー八王子店が好きだ。

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