2022年6月20日 読書記録

うんこの博物学

 確かに排便は、愛のように詩に歌われることもなければ、料理に関するコラムの隣に排便に関するコラム(たとえば「明日になって良い思い出となるようにするためには、今日何を食べなければならないか」とか)を定期連載している新聞など、ひとつもないかもしれないが、それでもなお、排便が人生最大の基本的快楽のひとつであることにかわりはない。資格など何もいらないのだ。粘土で簡単な灰皿ひとつ作ることもできない人が、ひともうらやむようなウンコをひり出すことならできたりする。食べることが、煎じ詰めれば要するに万物の破壊行為だとすれば、排便とはそれらをまとめて元に戻す行為だと言える。破壊のあとには創造が続くというわけだ。多くの人がトイレから戻ってくるときに笑みを隠し切れない。本当はみんなに自分が想像した芸術作品を見せびらかしたいところなのだが、それは、ダメダメもう大きいんだから、だ。

 開幕からずっとこの調子で、この引用部分がクライマックスということもなく、一定の太さ硬さで面白い……が、含まれる栄養分に対してカスとなる部分が大きすぎて、「この本も面白いけど、他の本を読んだ方が面白いな」と挫折してしまった。

日本のカニ学

 むかし挫折した本、再挑戦したけどやっぱり難しくてだめだった。

虫の文芸誌

 ほどほどに読みやすくてほどほどに味もあった。そこそこ分厚いのに最後まで読み通せたけど、思ったほど新規情報はなかったな……といったところ。

 日本、中国、西洋の文芸における虫の扱いとか、虫に対するイメージとかを紹介してくれる本なんだけど、要旨自体は大して目新しいものはなかった。ただ具体的にたくさんの作品を紹介しているので、その点はとてもすごいと思ったし、本当に虫か文芸が好きな人なら大興奮できるポイントのはずだった。

西洋文学にみる異類婚姻譚

 いろんな作品を知っている前提の、それぞれの作品についての考察アンソロジーだった。異類婚姻譚が一般にどういうものかという初心者向けの話ではなかった……!

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