2022年4月20日 読書記録


エビとカニの博物誌

 カニって面白くて好きだな~って思ってたので、ずっと前に買った本。たくさんのエビやカニやその他甲殻類の小話が切手の画像付きで紹介されている。最初から最後まで読むというよりは、本棚に置いておいて辞書を引く感覚で「そういえばモクズガニってどんなカニだっけ?」って読むと良かったのかも。


さよなら絵梨

 冒頭と途中はマジメやって最後にバカやるなんて、そんなのアリか~!!!ってなった。
 恋人が病気で死ぬやつ・映画製作のやつ・吸血鬼のやつ、そういったシンプルな素材でシンプルな面白さの話を書くのは、ラノベや漫画の潮流とは正反対な、ハリウッド映画らしい技術だ。
 タイトル勝負な節があるネット小説は言うまでもなく、漫画の連載にしたって、どこかで見たような設定だけで描き始めるのは、たぶん藤本タツキ以外が相手なら編集部が「もっとオリジナリティ出しましょうよ」って言いたくなるに違いないぜ。
 言うまでもなくその方が話題になりやすいし、もしかすると話題になってからもメディア展開やらで有利なのかもしれないし。

 物語の解釈について友人と語り合ったけど、自分は絵梨が死んで全校生徒がしんみりした後のシーン、クラスメートへのインタビューや成人後の主人公が登場するシーンまで含めて映画の中だと思ってる。
 全校生徒も爆発オチを見せられたと捉えた方がより読者と重なるし、主人公の父親に演劇経験があったことも意味を持つ。とにかくその方が複雑でテクニカルだから面白いし、面白いからそっちが正解であってくれ!という思いだ。


遊戯王

 実はアニメ版を幼少期に見たっきりだったので、ついに原作に手を出した。

王国編までの感想
・ホーリーエルフは女性型モンスターだから、ハーピィの誘惑のシャドウ(攻撃強要の罠カード)は無効!のシーン、ホーリーエルフが同性愛者なら詰んでたんだなって思うと無性に面白い。

・遊戯や城之内のデッキが雑多なのは、こういう時に「女性型モンスターだから」とか「飛行能力だから」とかって反撃しやすいためなんだなぁ。ご存じのとおり王国編は全体的に言ったもん勝ちなので、デッキ内に多様性があるとそれだけで結構強いのかもしれない。あと作劇上の都合。

バトルシティ編の感想
・精神操作系で多重人格で白髪のキャラを2人も出すな(幼少期の自分は区別がついてなかった)

・表マリクを闇バクラを1つの肉体の中に入れて共闘させるな(これは誰でも混乱するだ・ろ!!)

・人工島アルカトラズとコロッセオはアニメオリジナルだと思ってた。乃亜編とかいう子供心にもわかるアニオリ展開のせいで……。ブラック・パラディンとXYZドラパルトキャノンもOCGオリジナルだと勘違いしてた。この2体は関連カードがOCGでたくさん出てたせいだ。

・エネコン(エネミー・コントローラー)はアニメオリジナル

記憶編の感想
・案外短い。全編通して感じたことだけど、アニメだと50話近くかけていた話が原作だと4巻前後の長さにおさまっていて、非常にテンポがいい。飛行船でもデュエルも原作だと1戦あたり3週くらいで終わってるじゃん!

・アニメ版との差異:世界は博物館裏のボードゲーム。
アニメだとエジプトに出向いて過去を追体験していたけど、原作では記憶編の途中で「この世界はボードゲームの中の世界だったんだ……!」と明かされる。
 1ターンに1度ずつプレイヤー(闇遊戯とバクラ)は自分の持ち駒に支持を出すことが出来て、指示を出さなかった駒は史実通りに行動する。物語の根幹にかかわる最終章なのにゲームに落とし込まれていて、しかも読者も遊んでみたいと思えるようないい感じのシステムが考えられている! すごい!!

・闇と光に込められた文脈が深い。
 幼少期の自分は、主人公で正義キャラなのに闇属性なのが格好いい!くらいにしか感じてなかったけど、改めて読むと闇っていうのは闇のことだった。闇って言うのは心の闇のことなんだ。
 バトルシティ編の最後で闇マリクが表マリクの心の闇として葬られたように、憎悪や恐怖、怒りや憎しみといった感情と闇を結びつける描写が結構多い。きちんと多い。
 記憶編の盗賊王バクラが使用する魔物ディアバウンドは周囲が暗闇の時限定で姿を透明化する能力を有しているし、神官セトの心も、その父親アクナディンの心もまた闇に支配されている。そういった文脈がきちんと語られたうえでの「光の中へ完結する物語」だったんだなあ。


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