2022年2月27日 近況報告

カニと認知言語学(たしか)

 人間の抽象的な言語能力は、物理的な空間把握から派生した(「日本人の中には犬派も猫派もいる」というときの「中に」はもともと空間的な位置関係を表す語彙だし「寝る前に歯を磨く」の「前に」も空間的な語彙だ。それと同じようなことがいろんな表現で言える)という説に基づくなら、……右にも左にも進めるカニはたとえ高い知能を得たとしても、人間とは会話が成り立たないかもしれない。

Inspirational Japanese fisherman

 鼓舞する日本の漁師――松岡修造は海外ではそう呼ばれているらしい。
日本語の自然なコロケーションだと「鼓舞して"くれる"」になりそうなところが、英語だとinspiringとかinpirationalみたいな語彙になるのが面白い。
 あくまで本人単体の気質であって、日本語の「鼓舞して"くれる"」のような周囲にとっての・自分にとっての都合のよさは少なくとも字面には表れていない。
 別に日本語を悪く言いたいわけじゃなくて、ただ単に「甘やかしてくれるお姉さん」と「甘やかすお姉さん」では萌え要素としてちょっと差異があるよな~という話だ。

ウクライナの国民総動員令

 殺すのも殺されるのも納得できても、最後の最後で自国の大統領に「君たちは人命が軽い方の性別でしょ?」って言われるのだけは、自分なら絶対に耐えられないな。土壇場で分断されたウクライナの男性にも女性にもそれぞれ同情するし、自分たちを含むウクライナ以外の男性と女性にも本当に嫌な前例が出来たわけだ。
 これからの男女論は何を議論していても、二言目には「でもウクライナでは男性だけが国家のための殉死を求められましたよね?」って、主観的な意見ではなく客観的な事実の提示として言えるようになってしまった。
 そのことがおれはとても悲しい。

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