2023年7月5日 感想メモ

アイドルについて葛藤しながら考えてみた ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉

 具体的な論については、正直そんなによくわからん!
 アイドルも知ってるし推しもいるけど、この手の評論で語られるような、推し活に一喜一憂して万単位のお金を使うようなファンの姿からは程遠い……というのが、僕だけではなく、かなり多くのオタクの実情だと思う。
 ライト層を無視してコア層だけを抽出した"推し"論は、嘘ではないけれども、ぶっちゃけあまり大きな真実味(大きな真実味?)を持たないやつだなぁと感じてしまう。

 気になったのはタイトルの「葛藤」の部分で、「さまざまな問題(異性愛規範・商業主義・性的な目線・エイジズム・人格のコンテンツ化とか)があることを理解した上で、それでも推し活をしている」という状態を「葛藤」と言い表すのはちょっと不誠実だと思った。
 感情と感情(好きだけど嫌い)とか、モラルとモラル(良いことだけど悪いことでもある)とかは「葛藤」という日本語でいいと思うけど、モラルと行動の食い違い(良くないけど推す)は「葛藤」ではなく「矛盾」なのでは……?

 昨今のフェミニズムは「問題があるものは消費するべきじゃない」をかなりゴリ押してきたんだから、「問題に自覚的なら消費しても許される」というスタンスは、(タイトルの2文字だけではなく)本文で表明するだけの価値がある。
 「迫害的なフェミニズムを怒らせないようにしつつ、けれども自分はオタク側の振る舞いもしたい」という、(鳥にも獣にも媚びへつらう)コウモリ的な卑怯さを感じ取ってしまったなぁ。

 アイドルという枠組み(恋愛はしないとか、若い方がいいとか、そういう固定観念込みの魅力的なフィールド)が既にあるところに、後からファンになった身分で枠組みに文句を言うのも、シンプルに「だったらファン辞めなよ(逆に、元ファンで今は外部の立場からなら批判できると思うよ)」だと思った。


私の百合はお仕事です!

 『マリア様がみてる』的な世界観のコンセプトカフェが舞台の百合漫画。
 放送途中で原作を全巻買ったくらい面白い!!!!!!!
 ただふつうの感想はわざわざ自分が書くものでもないので、原作読者向けのなるべくコアな感想を書きます。ごめんね。

 「学校生活や女子のコミュニティでは、空気を読んでうまく立ち回れないと被害者になってしまう」という問題に対して、社交性S++な主人公がうまく立ち回れていない子を積極的に助ける(そうして助けられたのが後述のヒロインたち)性格なのが面白い。
 少年漫画にありがちな"とても強くて優しいヒーロー"(いじめられていた主人公は彼に感化されて弱さを克服する)を、少女漫画的なテーマでやってるわけだ。
 主人公まわりの人間関係は、「(ブチャラティ目線で)助けたフーゴやナランチャが実は恋に落ちていた」みたいな感じ……なんだこれ!?

 ヒロインの1人が発達障害持ち(明言こそされないけど、かなり確実にそう!)で、「日常生活には暗黙の了解があるけど、コンセプトカフェでは設定が言語化されている」という話が出てくる(5巻なのでけっこう中盤?の内容)。
 現実に即したリアリティなのかはわからないけど、ユニークな設定をきちんと活かしてユニークな回答が描かれていることがとてもとても良かった。

ヤンデレ親友の周りだけ演出がやたら本気で考えられている


Library of Ruina

 シナリオ部分は全部スキップで、ゲーム部分だけ全クリア。
 UIや基本システムがかなり不親切で、冗談抜きに7回くらいチュートリアルで挫折した

(専門用語をそのままに、かなり要約したまとめ)
「幻想体だけが異なる10個の階層があって、各階層には最大5人の司書がいて、各司書は1つずつコアページを持てて、各コアページには9枚のバトルページをセットする。各コアページには使っていない他のコアページからパッシブスキルだけを帰属するための4つのスロットがあって、パッシブスキルの合計コストは最大で12まで」


現代語訳
 「必殺技だけが異なる10個の部隊があって、各部隊には最大5人のPTメンバーがいて、各メンバーは1つずつ装備を持てて、各装備には9枚のカードからなるデッキをセットする。各装備には使っていない他の装備からパッシブスキルだけを引用するための4つのスロットがあって、パッシブスキルの合計コストは最大で12まで」

 部隊ごとの違いは必殺技だけなんだから、5人ぶんの装備をまとめて付け替えるシステム(というかメンバー自体に特性はないので、本当なら合計人数は50人じゃなくて5人でいい)くらいふつうあるよね? ないです。

 ……しかしチュートリアルさえクリアできれば、後はちゃんと面白い。
高難易度のカードゲームというと、遊戯王やMtGみたいな勝率50%をいかに超えるかの対人戦やslay the spireみたいなリトライ不可のものしか触れてこなかったから、リトライ性は高いけど各戦闘が高難易度なカードゲームは自分にとって目新しかった。
(一部リトライ性が最悪な箇所もあります。LoRはそういうゲーム)


生態学入門

 興味本位で読んだ本。中古だとかなり安いよ。

 あくまで生態学的な話ではあるものの、多様性の定義として「オールスター弁当ばかり」と「白米弁当、カレー弁当、揚げ物弁当、野菜弁当……がある」をきちんと区別した言語化があったのが収穫だった。
 この例だと、弁当屋全体の多様性(γ多様性)は同じだけど、各弁当内の多様性(α多様性)はオールスター弁当屋さんの方が高くて、弁当と弁当の間の差異の大きさ(γ多様性)はユニーク弁当屋さんの方が高い。
 生態学的な話としては、どの多様性も大事らしい。


石ころ博士入門

 興味本位で借りたけど、面白みを掴めなかった。
 反省を活かして土壌学の本を借りてきたので今度読む。


駅馬車

 見たよ。特に感想はないけど……。


マイ・フェア・レディ

 京都駅でオードリー展があったので、その復習?として見た。
(実はつい最近まで、オードリーとモンローをだいぶ混同してた)

 古いイギリスという舞台がなにより魅力的だったけど、一曲一曲がちょっと長くて、そこはちょっと退屈ではあった。


1789 バスティーユの恋人たち

 千秋楽をライブビューイングで見てきた。

 自分の中で宝塚は伝統を守るイメージがあったから、劇伴音楽にファミコン的な電子音声やエレキギターが使われていたのが印象的だった。踊りもK-POPみたいなキレのあるセクシーな動きが取り入れられていたし。
 先述のマイ・フェア・レディでミュージカルに対する苦手意識を持っていたけど、宝塚の劇伴って短め? 全く退屈しなかった。


少女革命ウテナ

 たぶん人生で3周目で、なおかつ水星の魔女の感想を意識したうえでの感想。

 ウテナは最後の戦闘にも敗北するし、暁生さんが理事長を辞めることもなかった。けれども家父長制の絶対性は破壊できた(38話で投影された城が崩れる演出)し、アンシーや生徒会メンバーは暁生さんに従うことを辞める。
 改めてよく見ると、これは「家父長制を破壊する話」じゃなくて「家父長制を破壊できなかった話」だった。

 「アンシーは自分の意思で薔薇の花嫁をやっている」が否定も肯定もされないところとか、「フィアンセのいる俺を拒まなかった。それは罪じゃないのか?」がウテナにクリーンヒットしているところとか、「女性も家父長制に加担してるんじゃない?」という視点を否定せずに含めた、かなり繊細で複雑な物語だったわけだ。(こんな難しい話を、最終3週でまとめてやるな~!)


ドラゴンボール

 父の実家に人造人間編以降だけがあって、人造人間編以降だけを知っていた名作。ついに全編を読みました。

 ちょっと筋トレしたり死にかけたりした程度のことで「これが超サイヤ人の力だ……!」って言うギャグ。サイヤ人は超サイヤ人のことを何も知らなくて、現実の日本人や現実の地球人の方が「超サイヤ人といえば金髪になるやつだよね!」が広まっているオモシロシチュエーションだ。

 サイヤ人が4人しかいないのかよ(実際に読む前のイメージだと、実際のナメック星人くらいの人数はいると思ってた)。しかも4人しかいないサイヤ人の1人がナッパって。(あとブロリーは出ない)

 3人しかいないサイヤ人を「コイツ弱いから」で爆破するベジータ、種の保存の意識がカスすぎる。為政者としてもクズ。こんなやつが(人造人間編以降で)「オレは王子だから」って言ってたのか……。

 悟空だけかめはめ波や舞空術や超サイヤ人を先行実装してもらえるんだけど、しばらくすると他の奴らにも実装されるゲームバランス。強い主人公像の保ち方として賢い。
 それに戦闘力のインフレがよく指摘されるけど、その割には最終的に、地球人・サイヤ人・混血サイヤ人・人造人間・ナメック星人・魔人の強さがそこそこ横並びになってるのはかなり良かった。

 ナメック星編と急に生やされる種族アイデンティティの話。
 ピッコロはピッコロで、ナメック星人に同胞意識があるわけでもなければ、サイヤ人やフリーザ軍に憎悪があるわけでもない、「フン、地球を支配するのはオレだ」くらいの生半可な気持ちでナメック星に来てしまう。
 孫悟空も以下同文ベジータも他種族には無関心
 お前の種族が滅ぼされかかっとるんやぞーーーーっ!!  

 やたらとガタイはいいのに戦闘要員ではない孫悟空の義父(牛魔王)、あなたネームドのキャラだったのね。


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