2022年8月7日 映画とか動画の感想

猿の惑星

 宇宙飛行士が惑星に不時着するシーンだけで、液体の水がある、地球のような大気がある、地球のような地面がある、地球のような温度がある、地球のような重力がある、地球のような見え方の太陽がある……の地球要素がある(なにせロケ地が地球なので)。それなのに「まるで地球だ」とか「俺たちは地球に来てしまったんじゃないのか?」みたいな台詞がないのはあり得ない。
 それはそれとして、類人猿が聖書に「神は自らの姿に似せて類人猿を作った」と書いてあるから類人猿は特別だと主張していたのは良かった。白人らしさが出ている。
 作中では一切言及がないけど、モンキー聖書でアダモンキーとイブモンキーが唆されて口にする禁断の果実はバナナに違いない。林檎と違ってバナナには皮があるから、裸でいることを恥ずかしく思うようになったきっかけとしてはむしろ整合性があるよね。

独裁者

 チャップリンのやつ。期待していたほど面白くなかったな。2022年に鑑賞すると、どうしても単なる風刺やパロディとしてではなく、教科書的な反ナチスのプロパガンダみたいな見え方がしてしまった。平凡な政治思想が露骨なエンタメほど微妙なものはない。
 最終的なクライマックスは、「ヒロインが暮らす中立地帯にナチスが進行するのを主人公は果たして止めることができるのか!?」だから、たぶんハリウッド映画的には、ヒロインの中くらいサイズのピンチを主人公が助ける場面が中盤までにあった方が話の筋が見えやすくて良いんじゃないかなと思った。
 ストーリーの本筋に不必要なシーンが多いのも気になった点で(たとえばヒトラーが世界征服を夢想するシーンとか、ムッソリーニと喧嘩するシーンとか)、ストーリー重視の映画としてではなく、風刺集・パロディ集に感動的なオチを付けたものくらいに捉えるのが良かったのかも。(映画製作は1940年なので、かなりの時事ネタだったはず)

 人間の良心に訴えかける主人公の演説は有名なシーンだけど、あれを「巧みな弁舌は戦争のためではなく平和のために用いるべきだ」みたいにヒトラーの雄弁さと対比させて受け取るのが正解なのかいまいちわからない。
 20世紀の政治家や将軍って誰もかれも雄弁なイメージが僕の中にあって、「ヒトラーは演説が上手だった!」は後々作られたイメージ(もっと言えばナチスの台頭を説明するために造られた理由)なんじゃないかって気もするからだ。

夏のホラー淫ク☆リレー企画

 淫夢ネタど真ん中だけど、死ぬほど面白くて出来がいい。特に面白かったのは以下の3作(うち一作は去年のもの)。

 世間から信頼されている小説家が実はサイコキラーという話で、映像はずっとモノクロなのに小説家に共感・肩入れした人物だけ青くなる演出が良い。「自分だけは事件の真相に気づいているのに、誰も信じてくれない」をとことん突き詰めたような演出。

 動画編集が凝ってる。いろんな語録を切り貼りしてほとんどフルボイスにしている時点でも意味不明な作業量なのに、立ち絵のある紙芝居からとことん遠くなるようにシーンごとの被写体やアングルにこだわりまくっている。本職は映像作家か何か……?

 サムネイルはこんなんだけど、モキュメンタリー(ドキュメンタリー風創作)として上質だった。元素材が実写の(あんまりクオリティが高くない)映像なだけあって、モキュメンタリー適性が高いんだなあ。

 映像についてきちんとした語彙が自分の中にない(「演出」とか「被写体」みたいなワードチョイスが本当にあってるか自信がない)ことに気づいたので、今度は図書館で映像作品の本を借りてきます。


「笑い」「ユーモア」に関する本を8冊くらい読んだけど、何かの気の迷いで下の記事に書き加えてしまってます。読みたい人は読んでね。(ボーボボは面白くてパプリカは芸術的なのに、同じく支離滅裂なことを言っているコウメ太夫は面白くも芸術的でもないのはなぜなんだろうね)


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