2022年5月19日　映画の感想など

ぼくのエリ

★事前の印象
北欧の吸血鬼モノだから、とにかく耽美なやつだと思ってた。猟奇的な描写や抽象的な描写もあるけど、とにかく妖艶さがあるからOK！みたいな。
この視聴会を開くきっかけが藤本タツキの『さよなら絵梨』だったことも、そういう恋愛要素への期待の一員。本気で白人ショタ吸血鬼映画だと思ってた。

★実際の感想（一人では見ないような映画を知れてよかった！というのは前提で）
あんまりこういう表現はしたくない（自分にとっては思考停止だから）けど、「こういう雰囲気の映画もあるんだなぁ……」って感じ。
味わったことのない雰囲気で（とにかく彩度が低いよ！！）、なおかつそんなに大好きでもなかった時に出る感想だ。

ストーリーや設定のコンパクトさとか描写の巧みさに関しては、「〇〇がよかった！」と語れるけど、
今の自分には雰囲気を語るための感性とか語彙とかがないし……彩度に言及するくらいしかできないよ。

☆設定のコンパクトでなさ
いじめっ子や被害者周辺が、もっと人数を絞ってできたんじゃない？と思った。
コンパクトさが絶対の正義ではないと思うけど、タイザン5なら絶対にもっとまとめてたよ。

いじめや殺人シーンについても同様で、なんか洗練されたないなーって感じ。もっと尺を刺激的に使えたやろ！みたいな。
恋愛的な描写も、たぶんもっと有効に演出する方法があったと思うんだよな～……。

リメイク版ではタイトルにもなっている、モールス信号。これももっと有効な活かし方あったんじゃ……？

☆吸血鬼のイメージ
日本人（たぶん米英も？）にとって吸血鬼は、高貴で魅力的なイメージがあるけど、血液欲が強すぎる化け物みたいな描かれ方は新鮮ではあった。
金髪や銀髪じゃなくて黒髪なんだ……。北欧から見た吸血鬼、ルーマニアの印象が強いんだなぁ（？）

グーニーズ

★事前の印象
　自分の一番好きなガレージロックバンドの曲のモチーフになっているらしい……という話をwikipediaだかニコニコ大百科だかで読んでいてので、ずっと気になっていた。THE PINBALLSの古川さん（ギター、ボーカル、作詞）は大まかに言うと藤本タツキ先生みたいな映画オタクで、それでいて洋画だけでは得られないような西洋風の世界観を持っている人で、法王、元老、聖クリストファー、金貨、ボードビリアン……とにかく語彙が凄い。
　そんなイチオシバンドの詩人が、なんならアルバムのタイトルにまでするほどの映画だぞ！？　Netflixにあったので見てみました。

★実際の感想
　宝の地図を見つけた少年たちが、犯罪者ファミリーから逃げながら、海賊が残した罠を抜けて財宝を見つける！
インディー・ジョーンズのような冒険のスリル（ジョーンズも見たことないので今度見たい）は言うまでもなく、スタンド・バイ・ミーのような、夏の強い日差しのような憂鬱さもある。タイトルにもなっている"グーニーズ"は「ろくでなし」とか「落ちこぼれ」といった意味だ。
　屋根裏で宝の地図を見つけたときの「これは落ちこぼれのガラクタだ」「"グーニーズ"（俺たち）と同じだ」という会話がとても印象的だった。

☆100点満点の大団円！
　海賊の隠れ家は崩壊したけれど、一握りだけ持って帰れた宝石のおかげで町からの立ち退きは白紙に。これまでの登場人物が全員揃って大団円！……というラストで、本当に全てのキャラクターが一堂に会しているのがいかにも最高。これまでは台詞ですら登場していなかった少年たちの両親や、通報を受けただけの町の警察官、引っ越し準備に雇われたスペイン系移民のおばさんまで。全員が一体となって少年たちの無事を喜び、それぞれが単なる背景に留まらない台詞や動きがある（たとえば通報をイタズラだと勘違いした警察官は犯罪者の一家を逮捕する、スペイン移民のおばさんは「その契約書にサインしちゃだめ！！」とスペイン語で叫ぶなど）
　"伏線回収"と表現するとまるで伏線があったみたいで語弊になるけど、これまで出してきた小さな描写を回収しての大団円は何物にも代えがたいよ……！

☆それぞれの個性の描写が適度にある！
　"グーニーズ"の正規メンバーは5人。12歳くらいの少年が4人に、その兄貴が1人。さらに兄貴と同級生の女子2人が冒険に加わって……冒険をするのは7人だ。
それぞれのユニークさがユニークということはない（発明家キャラとか食いしん坊キャラとか、テンプレ的ではある）ものの、3人の悪役に追われながらの冒険で扱うにはキャラクター数が多い方だと思う。
　それなのに全員（なんなら悪役3人と、心優しい怪物のスロース、スペイン系移民のおばさん、海賊ウィリーまで）がきちんとどんなキャラクターだったか簡単に思い出せる。凄ぇ……！

戦争は女の顔をしていない（思い出し感想）

　めっちゃ感動的だったけど、これに感動できる脳の部位とプロパガンダに焚きつけられるときの脳の部位はたぶんいっしょ。