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思考囲い(ジェンダー系)

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記事一覧

2024年4月7日 期待しすぎてたな

 2か月以上ずっと考えてたけど、最終的に「『差別をなくそう』は女性には難しすぎるよね」みたいな結論になってしまった。半分は女性蔑視(というか失望)だけど、半分はまあ優しさで。  「現実問題、女性が安全に暮らすためには男性(やトランス女性、ひいてはリスクだと感じる属性すべて)を差別することが必要なんです!」という生の声が相当数ある以上、差別をなくすのは理想的だけど達成は不可能だ。  そこで無理して「『差別をなくす』という合意は共有されている」という社会的フィクションを信じてき

2024年3月14日 フェミニストと対話をしたゾ

あらまし、そしてあいつらはクソ 先日、京大の人文系院生くらいの人が、「自分が不審だと感じた男子のことは、実際に何かされる前から裏で悪評を流布してもいじめにはならない」とか「男女間の合意は、女性側のみ性別を理由に反故にできる」みたいなトンデモ差別論を本気で主張してるのを見てしまって、底のない失望と強い怒りを感じた。  (後者に至っては既存の差別の正当化ですらない、差別の新造やん)  お偉い学者の先生でもツイッターの鉄砲玉でもなく、京大の院生レベルでもそれなのかよ。  もちろん

2024年3月7日 ふつうの日記

 ここ数週間、いちおう真摯なフェミニストの人と口喧嘩してたんだけど、自分がする側の差別について認識が甘すぎて、話してて本当にしんどかった……(愚痴)  自分はこれまでかなりフェミニズムに理解を示してきたつもりだし、「そうだね、フェミニズム流のやり方で差別に立ち向かおうね」って譲歩もしてきたのに、いざ男性が受ける差別の話になると全く真面目に取り合ってもらえない。  百歩譲って既存の差別を正当化するだけならまだしも、これまでなかった差別を新しく作ろうとするのは本当に信じられない

感想|ユリイカ 女オタクの現在 ―推しとわたし―

 さすがに"アレ"やな~と思ったので単体で記事にします。  この本の感想を端的にまとめると、「女オタクに限った話を、まるで『推し』・『推し活』全体の話みたいに語るのいい加減やめてくれません?」だ。文化を簒奪すな! 『推し』文化を簒奪する女たち ここ数年、推し文化を表面上だけ(実態としては女オタク文脈に比重を置いているのに)脱ジェンダー化して語ることで、推し文化を都合のいいように簒奪されているように感じる。  ユリイカに限らず、『アイドルについて葛藤しながら考えてみた』でも

2023年9月1日 読書感想

攻殻機動隊S.A.C 西暦2030年、人間の義体化や電脳化の技術が進歩した世界。対テロ組織公安9課がさまざまな事件を解決していく話。おおまかにいえば、PSYCHO-PASSのインスパイア元。  攻殻機動隊をあまり知らない人からは「脳が電子部品に置き換え可能な世界では、精神や魂(作中用語だと「ゴースト」)はどのように位置づけられるのか?」のやつだよね~と思われてそうだが、S.A.C.シリーズはそこまで哲学色は強くない。  哲学色が強いのは1995年に作られた映画『GHOST

2023年7月5日 思考メモ

マインクラフト配信  最近見てるVtuberがマイクラ配信を始めたんだけど、「エンダードラゴンを倒すことを目標にプレイします」とか「ある程度建築やって飽きたらやめます」みたいな目標設定とかプレイスタイルとかか共有されないまま、なんとなく資材集めのシーンが続く……。  じゃあ配信者は事前知識がないまま自由に過ごすことだけをやってるのかと言うと、たぶんそうでもなくて何かの定石に従ってプレイしてる(最初に大陸や村を探すとか)みたいなんだけど、なんにしても、何をどうすれば面白くなる

2022年7月25日 カオスアニメは現実のパロディ

自覚的にリアリティラインが低いギャグアニメって、正常な人間のパロディとか正常な現実(物理法則)に対するパロディみたいだなってふと思って、この動画を見返してた。  『ジェンダー・トラブル』の内容自体は、 「本質的な男らしさ/女らしさは存在しないとしたうえで、それらは本物(起源)がないままたくさんの人が模倣することによってぼんやりと維持されている。そうした男らしさ/女らしさの振る舞いは、真か偽かではなく周囲から見て成功か失敗か(≒適切か不適切か、自然か不自然か)によってジャッジ

2022年5月7日 人文学とかインテリ左翼とか

 センキュー情況、ファッキュー人文学。そんな気分になっている。 人文学への悪口 知識人とされるはずの人たちが、フロイトやその派生や、その派生の派生を本気で信じているらしいというのが、仮にも科学者崩れの自分にはとてもショックだった。そんな人たちがインテリであることも、インテリがそんな人たちになることも、そんな人たちが政治や社会に口出ししていることも……、いろんなことが失望や焦りに結びついたショックだ。  それに、考えれば考えるほど、自分がなんとなく嫌悪や侮蔑を感じていた対象は

2022年4月29日 読書記録(嫌悪感の記録更新!!)

情況2022年04月号キャンセルカルチャー特集 ネットで話題なので買ってみた。  そして案の定、最初の50ページくらいで苦戦している。  とても正直な感想を言うと、いわゆる文系のよくない部分が濃縮された感じがしてとにかくうんざりする……。話をちゃんと理解できているわけでもない読者がこんなことを言うのもド失礼だとは思うけど、読んでいて嫌悪感を感じる本って生まれて初めてだな……。  この本の(冒頭50ページの)嫌悪感を感じる部分はふたつあって、ひとつは意味があるかわからない話

2022年2月27日 近況報告

カニと認知言語学(たしか) 人間の抽象的な言語能力は、物理的な空間把握から派生した(「日本人の中には犬派も猫派もいる」というときの「中に」はもともと空間的な位置関係を表す語彙だし「寝る前に歯を磨く」の「前に」も空間的な語彙だ。それと同じようなことがいろんな表現で言える)という説に基づくなら、……右にも左にも進めるカニはたとえ高い知能を得たとしても、人間とは会話が成り立たないかもしれない。 Inspirational Japanese fisherman 鼓舞する日本の漁師―

2021年10月11日 ジェンダーのやつ

 推しの中性Vtuberがファンからは「〜様」、親友からは「〜くん」、本人の自認はクエスチョニングだけど"百合"って存在で、改めて「そうだよな~これが私のジェンダー観にもしっくりくる! これこそが人間のあり方だよな~!」って自己満足的に納得感を得ている。  ある人の性別をどう捉えるかとどう扱うかは、第一に見る人(本人にとってさえ。以下も同様)の主観次第だし、第二に両者の間には屈折やズレがありうるし、第三に流動的だ。私は世の中の人間の複雑さを信頼して、期待しているし、だからいわ

社会全体でひとつの男性性/女性性があるとした上で、それを恣意的に決定したり都合よく善悪を判断したりしながら、性別を偏重して論じるの、もはや"ジェンダリズム"とかって造語で批判するに値すると思う。

2021年9月28日 ジェンダー論わかってきたぞ

 私はVRエアプ勢なので思考実験程度に聞いてほしいんだけど……。  VR社会におけるジェンダー(=社会的・文化的な性別)の話をしようとするとき、現実世界の"性別"に相当するものって一意に決められないじゃないですか(中の人の身体性別、アバターの身体性別、中の人の性自認、かっこいい系/かわいい系、声の高さ、高身長/低身長、攻め/受けetc.。もちろん"性別"に相当するものが2種類とは限らない)。  だから結局は(自覚的であれ無自覚的であれ)各人が現実世界から持ち込んだジェンダー観

2021年9月26日 ジェンダーわかってきた(仮)

 「二次エロは女性蔑視だ」というジェンダー観も「女性だって二次エロを描くでしょ」というジェンダー観も、どちらも2021年の日本の中に共存するのが当たり前(だってジェンダーは"社会的・文化的な性別"のことで、社会も文化も一枚岩ではないんだから)なのに、今のジェンダー論にはその一枚岩でなさを意識するという発想がない。  だから平気でなんでもかんでもひとつの男性性/女性性に回収したがって、直観的に無理のある話になってしまうのかな。なるほど? 頭の中で整理がついた気がする。  (ここ