ぼろねこの竹匙
見慣れぬ竹の匙。
こうした注文があったかと記憶を探る。
ない。
炭をおこし竹を炭化し煤竹に近い気配を出して匙に削り、端の面取りをしている。
面取りとは、竹の端を糸の様に細く削り落とし、使うにあたり柔らかいように案配する手技で、これを省くと持つ手が痛い。
バッグだと竹面に触る服がこそげる。
下手すると竹で手が切れる。
これを防ぐための一工程。
面取りして竹の先を火で曲げてあった。
これは火曲げという。
聞いたらぼろねこ用の匙だった。
猫めしのカリカリを、すり鉢であたり粉末状にし、水を入れて練る。
それを注射器に入れる用の匙だった。
注射器に注入しやすいように先っちょを火曲げしたのだそうだった。
火曲げはなるほどと思ったが、竹をわざわざ炭化させる理屈が分からん。
炭化竹の猫介護匙(たんかちくのねこかいごさじ)と銘打ちました。
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