先生は、なぜ忙しいのか? #講師録 003
先生は、なぜ忙しいのでしょうか。
この知見はさまざまなところでまとめられていると思います。
僕の勤務歴は1年目とまだ短く、たくさんの学校のことを知りませんが、文科省の資料や実際の現場の声を元に考えうる要素を取り上げてみたいと思います。
①教員不足により1人あたりの負担が大きい
教員不足によって1人あたりの勤務時間に対して校務・業務が多すぎるというのが一つ目に挙げたいポイントです。
文科省(2018)の調査では、
という結果が出ています。
学級経営に関わる業務以外の校務分掌で勤務時間以内におさめることが難しいところは多いなと思っています。
また、若手教員が増えており、産休・育休に年度途中で入る先生の代わりに入れる任用職員がいないこと、病気休暇をとる先生が増えていることも大きな要因だと思います。
そのような状況では、年休を取ろうと思ってもなかなか取ることができないと思います。
僕は、数名が抜けても業務を回すことができる程度の配員をすべきだと思います。
②多様なニーズへの対応のため専門職・サポートが入っているが、依然教員の負担は減らない
これは学校が担う役割が増えている・増やされてしまっているというのも要因としてあると考えています。
特別支援教育に携わっている身として、一事例をご紹介します。
集団に馴染めないなど発達障害が疑われる児童生徒がいるとして、その児童生徒に対して発達検査のすすめを行い、検査をして、委員会にかけて特別支援学級までの入級を支援する。
これを教員がやっているところもあります。
私も夏休みにWISC-Ⅲの検査を実施したことがあります。WISC-Ⅳになると資格が必要ですが、WISC-Ⅲでは資格は必要ないのです。
また、主任でもあるコーディネーターの先生は保護者との面談や委員会での審査などの全てを担当しており、確実に残業が増える要因になっています。
担任とコーディネーターを兼務するというのは大変なことだなと思っています。
他にも、受験の多様化や不登校などの個別のニーズに応じた対応を求められていることなども要因だと考えています。
支援員やスクールカウンセラーの加配は進んでいますが、十分ではないと思います。というより、教員が授業以外の生徒指導や不登校の対応などを結局担うことになっているので苦しいのだと思います。
ただ、令和5年度概算要求(文科省, 2022)ではSCやSSW、35人学級(+3283人)や小学校高学年における教科担任制(+950人)の充実等のため、加配を目指しています。
教員の負担が今後は少しずつ減っていくのではないかと期待しています。
③業務を減らすための教員1人ひとりの意識とスキルの不足
これは個人の課題に焦点を当てているので、少し暴力的な議論にもなりかねませんが、自分の意識とスキルでなんとかなる部分もあると思います。
例えば、学級経営において(もちろん教育困難校などでの難しさはあれど)保護者や子どもとの信頼関係が築くことができていれば、生徒指導に必要な時間が減ることもあると思います。
また、学級だけではなく、成績処理やテストの採点などをいかに勤務時間内に終わらせるマネジメントをできるのかというところも大事になってきます。
テストなら、テストが終わった人から丸つけをしてしまって授業時間外に丸つけをすることがないようにする、というのも可能でしょう。
欠席連絡や宿題をシステムで全部管理するというのも可能です。
まずは「早く帰りたい!」という意思がどのくらいあるのか。そして自分自身のマネジメントをどの程度できるのかというところを模索できたらいいなと思います。
それでは、また♪
【参考文献】
「教員勤務実態調査(平成28年度) (確定値)について」(文部科学省, 2018)
「教員勤務実態調査(平成28年度)の分析結果及び確定値の公表について(概要)」(文部科学省, 2018)
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/09/27/1409224_004_3.pdf
「令和5年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧(8月)」 (文部科学省, 2022)
https://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/r01/1420668_00004.html
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