叙事的・抒情的 ~歌詞の本質に迫る(1)
辞書によると、詩には「叙事詩」「抒情詩」「劇詩」という三大ジャンルがあるそうです。劇詩はちょっと置いておいて、叙事詩のほうは出来事を詠唱するもの、いっぽう抒情詩は伴奏にあわせて心情を歌うもの、らしいです。今日はこの叙事的・抒情的ということについて、歌詞づくりに生かす目的から少し考えてみます。
まずは小さな発見から。「昨日、雨が降った」というと、ほぼ客観的なので叙事的でしょうが、「昨日、すんごい雨が降った」に変わると、とたんに気持ちが込められて抒情的なような気がします。このように、心情を担っているのは実は、「すごい」「大きい」「明るい」「旨い」のような形容詞の可能性があると思いました。
さらに、当然ながら心情とか感想を表す「好き」「きれい」「静か」…などの形容動詞(だったっけ?)も、抒情性を担っていそうです。
ではちょっと試してみますね。
叙事的:「むかしむかし、あるところに、お兄さんとお姉さんが住んでいました」
抒情的?:「かなりのむかーしむかし、あるナイスなところに、すんごいお兄さんとすんごいお姉さんがいきなり住んでいました」
完全に成功かはわかりませんが、前者に比べて後者のほうが何らかの心情が含まれている気はします。
(※それから、「むかしむかし」でなく「むかーしむかし」なところも、強調なので心情と関わっているようです。=歌っぽくなると抒情性が増す??! これは、大事かもしれないけれども余談。)
というわけで、歌詞を考え出すときにも、とりあえず形容詞や形容動詞に着目する(タネにする)ことで、何らかの心情を表す歌詞はできそうだと思いました。んーと、たとえば「いきなり」=「突然」がテーマの曲なども、ありますよねたぶん。→例「突然の風に、僕は心を奪われた」等々
はてさて、「歌詞」というものの本質に迫れたのかどうか、しかし多少なりとも考えは深まった気がしています。
※2023年5月30日: 品詞の理解がいい加減だったため例示単語を修正しました
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