創作方法論:数学的な発想メソッド

今日も創作の方法論、の話です。

だいぶ以前にご紹介した、物語書く系の本をぱらぱら読み返していたら、「映画では2つ(複数)のモチーフがつないで映し出されることで新しい意味が立ち現れてくる」というようなことが書いてありました。漢字もその多くが複数の部分から出来ており、たとえば「みず」+「目」=「泪」(なみだ)のように、きわめて映画的だったり絵画的な造りだという指摘もありました。


たしかに、まな板の上にニンジンとタマネギが並べて置かれたら、かなりカレー的な雰囲気がただよってきます。あるいは肉じゃがという線もあるかもしれません。これらは他のアイテム、たとえば肉の種類や形状、しらたきの有無などが決め手になって絞り込まれそうです。

ともかく、これってニンジン×タマネギの掛け算で何が生まれうるか、ということでもあります。

そのときに、必ずしもニンジンとタマネギを同時に料理しなきゃいけないわけではなくて、「ニンジン→タマネギ」という時間的な展開にしたら、まずはニンジン・ラペ、つぎにタマネギを使ったシーフード・マリネ、…のようにより物語が生まれやすくなるのかもしれません。逆に「ニンジン←タマネギ」とすれば、オニオンスープのあとにニンジンドレッシングがかかった野菜サラダ、とか「タマネギが育ったらニンジンができるんだよ」とかの嘘情報も創作可能です。…どっちも香味野菜だし!!

さらに、タマネギから、「タマネギ⇒むいたら虚空」という属性を引っこ抜いて、「ニンジン×タマネギ ⇒ ニンジン×~虚空」、つまり“虚空ニンジン”?や“ニンジン的虚無”というわけのわからない概念も創作されます。

というわけで、二つの物事A、Bのコラボを一般的に
「A * B」
と書くと、*として×、+、-、→、←、⇒、⇐、⊂、⊃などいろいろと数学ちっくな記号を選んで入れることにより、かなり自動的に豊かな発想が得られる気がしました。つまり、“概念の四則演算”を越えて“概念の数式処理”のようなものです。記号論理学の発展形みたいな。おそらくもっと違う記号を入れても広がりがあるでしょう、ハートやスペードetc.、etc。
※なお割り算÷についてはかなり高度なのであまり悩まぬよう。×からの逆演算で定義すると理解しやすいです。C÷B=A というのはおよそ A×B=C のことですので。


ちなみに、文というか一般的な概念たちに、微分dに相当するものを導入し(ようとし)た人として、フランスの哲学者ドゥルーズさんがいるようです。どうやら20世紀のフランス現代哲学は、かなり数学にインスパイアされたというか、数学とパラな議論をしようとしていたみたいです(※実は哲学の歴史自体が、本来は数学と分かちがたいものらしい)。ドゥルーズさんはのちに数学的概念使用の正確さに関して指摘されたこともあったようですが、概念の数式処理が半自動でできて、その結果思いもよらない洞察が導けるという大きなアイデアには夢がありますよね。

我々としては創作の役に立てればそれでよいので、数学的な厳密さにこだわる必要はそれほどありません、創作論の範囲内であれば。

ということで以下ちょっと頭の体操。わたくし一生懸命考えましたよ。
[2022年5月16日記: 愛情にまつわる一考察でしたが、あまりにも雑な記述だったのでこの段は引っ込めます。]

ここ数週間、詩から歌がつくれる感じになった結果として「じゃあ何を歌おうか?」というのが問題になってきました。作文するときに「何を書こうか」と悩むのと同じレベルで、作曲のことを考えられそうな感じなので、むしろ曲のネタ探しに苦心しています。ネタの見つけ方…今日はそんなモガキの一つなり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?