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グアヤキルではカーステレオは取り外す

「こんな所に日本人」と言う番組をよく観ている。綺麗な景色だけを見せる番組と違って、少し裏っぽい所が見れるのが面白い。

主題は海外で活躍している日本人の紹介だが、タレントさん達が海外で日本人を探す過程を見せるほうが主なようだ。

実際には一人でふらりとは行け無いような場所ばかり。映らないところには、通訳やガイド、護衛などスタッフが大勢がいることは容易に想像できる。

気軽に旅ができると間に受けて、辺鄙な海外へ出掛けたりしたら、どんな目に合うかわからない。

海外は油断したらヤバイ。
油断してなくてもヤバイけど。

あれは、ガラパゴス諸島へ行く中継地としてエクアドルのグアヤキルに泊まったときのことだった。

空港からホテルへ向かうタクシーに乗ると、荷物は全て脚の下に隠せと指示された。交差点などで止まった時に、窓を割られて荷物を盗られるからと。特に外国人が乗っていると危ないそうだ。

それを聞いて、私たち家族は震え上がった。勿論すぐに荷物を隠した。辺りは結構な数の車が走っているが、その車の多くが壊れている。ボコボコ凹んだり錆びたり。

その訳はすぐにわかった。とにかく運転が荒いのだ。運転マナーなんて言葉は存在しないのではないだろうか。

そこら中で渋滞が起きているのだが、車間距離つめつめの上ぶつかっても平気。なんならぶつけてスペースを確保してるし、信号は守らない。ヒヤヒヤしながら何とかホテルへ着いてチェックイン。

ひと息ついて、街へ出たいのだが、どう見ても雰囲気がヤバイ街なのである。昼下がりで街は人通りは多いのだが、各店舗の前には警備員か警官が立っている。その肩には大きな銃を掛けている。それほど治安が悪いと言うことだ。

しかしお腹が空いたし、景色の良い所もあるしで、家族で少し歩いてみることにした。お金を少しだけ持って、歩くのは大通りのみと決めて出掛けることにした。

いざ出掛けてみると交差点が渡れない。車は赤信号でも全く止まらないので、交差点内は車の無法地帯だ。

タクシーに乗っている時より、生身になると怖さ倍増。地元民は器用にヒョイヒョイと渡っていく。青信号を3回ぐらいやり過ごし、何とか渡れた。もはや信号の色は関係ないけど。

屋台で何だったか美味しそうな揚げ物を買って食べた。味はどうだったか忘れた。

目的地の見晴らしのいい所で写真を撮り、夕食もいい所があれば外で食べたかったが、治安が悪過ぎるので諦めて、ホテル内のレストランにした。

街自体は異国情緒あふれるもので、どこを見ても面白い。こうして写真だけを見ると危険な街には見えないね。

翌朝、ホテルに呼んでもらったタクシーに乗ると陽気な運転手で英語でペラペラと話しをしてくれた。

そして「音楽を聴くかい?」と言いながらおもむろにグローブボックスからカーステレオを取り出した。「こうしないとすぐに盗られちゃうんだよ」と。いちいち取り外して仕舞っているらしい。大変だねえ。

日本は治安が良くてよかった、信号を守る国で良かった。

観光地の話より治安が悪い話だが、あの道路の光景はとても印象的だった。

海外ではとにかく高い物は身に着けないに限ると思っている。この時も安い腕時計にしたり、財布も盗られてもいい用のものなど幾つか用意した。

海外の観光では、つい気持ちが緩んでしまうが、日本人は狙われ易いことを忘れてはならない。

そう言えばこの旅でも、件のタクシーとは別の運転手だが、日本人だと侮って釣り銭をネコババしようとした者もいた。釣り銭を返せと言い続け、なんとか奪還した。そんな事をしなければ普通にチップを渡したものを。

まあ、そんな事もあったがガラパゴス諸島を巡り、イースター島でモアイを見たりなど盛りだくさんで楽しくて、心を満たした旅だった。

旅行記は、少しずつ思い出しながら書いていきたいな。

#エッセイ

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