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お料理好き?

友人の発したこの質問で驚いた。
自分がお料理が好きじゃないことに初めて気づいたから。

長い主婦生活で、お料理が好きと思ったことは、そう言えばない。どちらかと言えば好きじゃない。嫌いとまではいかないが気が進まない。

あーあ、気づいてしまった。いやいや、気づいて良かった。今まで、夕飯作りの時間になると気が重くて仕方なかった理由の一つが明らかになったのだから。

キッチンを「君の城」と言われた時には、なんだかモヤモヤしたのはそのせいか。

お料理が好きか嫌いかなんて考えたこともなかった。ただ自分の役割と思ってこなしてきただけだった。

私は子供時代から食が細かった。消化器に病気があるので、消化力が非常に弱くたくさん食べられないのだ。

そんな私にとって給食はまさに地獄の時間だった。残すことが許されず、掃除の時間に突入しても埃舞うロッカーの上で食べさせられた。

あの立ち込める埃の臭いと、噛んでも噛んでも飲み込めない給食の恨めしさ、惨めさを思い出し、あの頃の私を抱きしめてあげたくなる。

結婚して、子どもが生まれてからは、栄養バランスを考え、子どもが食べ易く工夫したものを、美味しいと食べてくれた時は嬉しかった。とにかく彼を無事に成長させることに一生懸命だった。

また、我が夫は食べる事が何より好きなので、その腹を満たす為に大量に作り続けている。夫の体重は約100キロ。今は夫と二人暮しなのに作る量はかなり多い。食べ足りないとお菓子をポリポリしてしまうのだ。だから一汁四菜か五菜で野菜多めで作る。おかずを取り分ける比率は私1対夫3ぐらい。

料理が心の負担になるのは感じていたから、なるべく手抜きできて美味しくなるよう工夫しているし家庭料理ならひと通り作れる。だから夫は私が料理好きなんだと、ずっと思っていたらしい。しかし、そうではない。苦肉の策なのだ。なんならちょっと辛い。

料理って、基本的に食べることが好きな人が、作るのも好きなのではなかろうか。

もちろん私も美味しいものを食べるのは大好きだ。しかし、自分の容量を超えて作るのは苦になる。味見したり匂いや視覚だけで、お腹一杯になってしまうのだ。大体三品作ったぐらいでいつもやめたくなる。

ただ私にとっての救いは毎日夫が「美味しい、美味しい」と食べてくれることだ。嬉しそうな顔を思い浮かべることが作る原動力になっている。

それでもTwitterなどで、軽めの夕飯を見ると羨ましくなる。普通の人はこの量でいいんだなぁ。私もこれぐらいなら作っても苦にならないんじゃないかと。

しかし、誠に勝手なものだが、年に数度帰って来る息子の為の料理は楽しい。食べさせてあげたいものがありすぎる。何だなんだ、結局気分じゃないか。あはは。

そうか!別にお料理が好きじゃなくても、楽しむことは出来ると言うことだ。毎日のことだから、つまらない気分ではなく、なるべく楽しい気分で料理するようにしよう。取り敢えずは好きな音楽をかけながら。

兎にも角にも、毎日毎日お料理をし続けている私は偉いと思う!


#エッセイ

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