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君はいつでも一番星

彼女に振り回される〇〇の物語

自分を貫くのが彼女の生き方であり、僕が惚れた要因でもあった。どんなに振り回されても僕はいつまでも君と一緒にいたいから。

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影:おはよ〜〇〇。起きて〜
〇:ん?もー起きるの?今日休みだよ?

少し肌寒い秋の朝。時計は朝6時を指している。
眠い目を擦りながら一緒寝ていた彼女の方に顔を向けた。

ちゅ。

いきなり唇が触れる。

〇:ん
影:目ぇ覚めた?
〇:バチバチです。
影:ふふっ、じゃ〜朝ごはん食べよっ!
〇:はい

彼女、影山優佳は大学の4年生で先輩。週末はたいてい一人暮らしの僕の部屋に泊まりにくる。大学2年生の僕は先輩と1年の時に謎解きサークルで出会い自然と距離が近くなりお付き合いすることになった。

影:じゃ〜ん!!
〇:お〜!パチパチ

食卓には白米と鮭と納豆と先輩が作ったお味噌汁と甘めの卵焼き。そしてカットしてくれたリンゴ。なんて家庭的な彼女なのだろうといつも感心する。

〇:影さん大好きです。
影:えっ、今!?ふふっ、でもありがと!
〇:いや、ふとすっごい好きだなって思っちゃって笑
影:なんだそれ笑ささっ!冷めないうちに朝ごはん食べちゃお!
〇:はい、ありがとうございます。影さんの作る卵焼きも大好きなんで

それから2人は昨日の夜一緒に見た探偵映画の話で盛り上がりながら朝ごはんを食べ終え、どこか出かける支度をしていた。

〇:こんな朝早くからどこへ連れて行くつもりなんです?
影:どこでしょー?
〇:わかりません。
影:まぁ着いてからのお楽しみってことで!
〇:はぁ。

困惑しながらも僕らは支度を済ませ家を出た。そして、電車を乗り継ぎとある場所へ到着した。

影:だん!!
〇:ここは?
影:カシスタさ!!
〇:かしすた?

僕のアパートの最寄り駅から長い時間電車に揺られて到着したのはサッカースタジアムだった。秋のデーゲームということで少し早めに来たらしい。周りは既にサポーターらしき群衆で溢れかえっている。

影:最終戦がアントラーズ対サンフレッチェだから観に来たかったの!ほら!これ着て!
〇:あんとら、、ふれっちぇ、、、

サッカーにさほど興味がなかった僕からするとなんのこっちゃさっぱりだったが先輩が楽しそうだから良しとする。

影:あとこれのもつ煮も食べたかったんだよね〜!
〇:おいしそ〜!
影:いっひょにはへう?ホクホク
〇:食べながら喋んないでください笑
影:らっへあふくへホクホク
〇:なんて言ってるかわかんないです笑
影:んぐっ、うまい!ほら!口開けて!あーんしてあげる!
〇:自分で食べれますって!
影:いいから!はい、あーん
〇:あーん

彼女に言われるがままもつ煮に口に運ばれた。ちょっと恥ずかしい。

〇:おいひいへふえホクホク
影:でしょ!じゃあ、、私にもあーんして?

こんな可愛い人に上目遣いでお願いされたら断ることなどできない。それから僕らはお話しをしながらキックオフを待った。

影:オフサイドっていうのは相手のディフェンスラインの裏に待ち伏せしちゃいけないよってことで、、、、、
〇:はぁ。
影:ゲーゲンプレスはクロップ監督がドルトムントで、、、、、
〇:ほぉ。
影:なんと言っても今日はアントラーズの佐野選手とサンフレッチェの大迫選手には注目だね!!
〇:そう、、なんですね?笑
影:むぅ、なんで笑うの!!
〇:必死に説明してくれる影さんが愛おしくて。
影:もぉ、ずるいよ。
〇:じゃあ僕はアントラーズが勝つに賭けます!
影:あっ!話逸らした!じゃあ私はサンフレッチェに賭ける!負けた方は勝った方の言うこと一つ聞くってことで!
〇:えっ!それは聞いてないです!
影:今言ったもーん。さぁ!キックオフだよ!
〇:はぁ。わかりましたよ笑後悔しても知りませんからね?

キックオフ。

試合は前半から影さんの言った通り佐野選手のゴールで始まりアントラーズペースで試合が進んでいった。

そしてハーフタイム。

〇:このままいけば影さんの負けですね笑
影:むぅ、絶対負けないんだから!

後半開始。

影:やばいやばい!あー!あぶなー!
〇:よし!いけ!うわー!惜しい!

気づけば僕らは観戦に没頭していた。結果的に後半はサンフレッチェの大迫選手の好セーブが続きアントラーズは点が奪えず、逆にサンフレッチェは途中交代の選手がハットトリックの活躍を見せ逆転勝利。

〇:負けた、、、
影:いぇ〜い!!勝った勝った!!
〇:まさか負けるとは。
影:いやー、それにしても大迫選手さすがのビックセーブだったね〜!佐野選手も上手かった〜!
〇:はぁ、じゃあ帰りましょーか。
影:うん!そだね!暗くなってきたし!あ!一番星見っけ!!
〇:ほんとだ

僕らは朝と同様に長い時間を感想を言い合いながら電車で帰った。彼女の家の最寄り駅に着いたときにはもう外は人気もなく真っ暗になっていた。

影:今日は付き合ってくれてありがと!楽しかった!
〇:いえいえ、僕もサッカーもっと観に行きたくなりました。またいろいろ教えてください。
影:もちろん!まだ全然〇〇にサッカーの魅力伝えきれてないからね!
〇:あれだけ熱弁してたのに?笑
影:ふふっ、まだ序の口よ!

影:、、、てかさ。試合前にした賭け覚えてる、、?
〇:負けた方が勝った方の言うこと一つ聞く。でしたよね。
影:うん。

2人の間に沈黙が走る。そして俯きながら彼女が口を開いた。その顔の頰は少し火照っているように見えた。

影:、、キスして。
〇:へっ?

あまりに突然のことに声が上擦ってしまった。

影:だから!キスして!
〇:えっ、そんなんでいいんですか?キスなら今朝だって、、
影:いいから!ほら!

彼女が目を閉じて顔をこちらに向けてくる。いつもしているのになぜだからドキドキが止まらない。

〇:じゃ、じゃあ

ちゅ。

僕は彼女にそっと口付けをして離そうとした。しかし、彼女は離れようとはせず僕の頰を掴んだ。そして彼女は舌を入れてきた。僕は驚いたがすぐにそれを受け入れた。

んっ、、んむ、、、んちゅ、、

経験したことのないどこか甘くて濃厚なキス。

んちゅ、、んっ、、ぷはぁ、、

どちらともなく口を離し、目が合う。その彼女の顔はだらしなく蕩けていた。その顔がひどく愛おしくて僕は彼女をギュッと抱きしめた。心地の良い沈黙が続き、どれくらいの時間そのままでいただろうか。

影:苦しいよ、、笑
〇:大好きです。この世で一番です。
影:ありがと、、私もだよ
〇:また一緒にいろんなとこ行きましょ。影さんとならどこへでも着いていきますから。
影:うん、でも〇〇も行きたいとこあったら言ってね?私も〇〇とならどこへだって行けるよ

僕らは抱き合い見つめ合いながら星が輝く夜空の下でもう一度甘い口付けを交わした。

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