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航空大学校R5,R6過去問解説と1次入試対策抜粋(2024.4)

この記事は以下の記事の1次試験に該当する部分を抜粋しています。1次試験対策のみ知りたい方におすすめです。目次から過去問などへ一気に飛べます。


はじめに

自己紹介

ご覧いただきありがとうございます。
令和5年度航空大学校に最終合格しましたTomと申します。

私がnoteで「スキした記事」は航大入試対策の参考になるかもしれません。(私のアカウントページから見られます)無料の記事しかありませんが、私のnoteと合わせれば有料記事の購入は不要になります。

過去に出題された問題(数学、物理、時事)の傾向などを無料で紹介しているnoteがあります。(ありがとうございます)

航空大学校入学試験について

募集要項と航大入試の現状

令和7年度の航空大学校(航大、CAC)の募集要項、学校案内が航大HPに公開されています。

  • 航大の定員は108人(2018年度以降、2018年度以前は72人だった)、令和7年度入試も108人になった

  • R7一次試験は2024年7月21日(日)。一次合格発表は2024/8/9(金)10時、最終合格は2025/2/21(金)10時

  • 航大は訓練の効率化のため、4回に分かれて(27人x4)入学する。1期生(72-1)の入学は2026年2月。概ね3か月ごとに入学するため、72-2は5月、72-3は8月、72-4は11月に入学すると思われる(本来は6月だが、R5が11月、R6が翌年2月)

  • 出願期間は令和6年5月13日(月)から6月3日(月)まで(消印有効)。出願方法は郵送か学校に持参

  • 受験者数約1200人

  • 倍率は10倍程度。最新の倍率は学校案内(毎年4月)にて公開される

  • R6の1次合格者数は300人。1次試験の倍率は約4倍

  • 受験料は4万円(1次2次AB3次の試験会場までの移動費、宿泊代もあるから実際はもっとかかる)

  • 年齢制限がある。R7入試に出願可能な人は、平成12年4月2日から平成17年4月1日までの生まれの人。学年でいえば、大学2年~大学院2年で受験可能(チャンスは5回)。一浪だと大学2年~大学院1年(チャンスは4回)。令和7年3月末で大学(専門、高専卒業見込み)2年以上在学し、62単位以上になる見込みの者と記載されているので、最短でも大学2年生の時からしか受験できない

  • 受験可能年齢、試験の難化傾向、2次以降の運、待機期間などを考慮して、航大に行きたい人はなるべく大学2年、3年のうちに受験しておきたい

  • 航大は国交省所管、大学は文科省所管なので、大学を休学して航大に行く二重学籍が認められている。入学までの期間、宮崎修了後の待期期間中に、大学に通う(卒業)ことは可能。大学生はフェイルしたときの保険として、待機期間に復学するために、休学する人が多い印象(休学費用や休学の許可の有無は大学によって異なる)

  • 身長制限があり、158㎝以上

  • 授業料がR7入学者より値上げされた(H30~R6は合計3,208,000円、R7は合計4,808,000円)授業料は各課程開始時に納付する

  • 入学料282,000円は合格発表後の3月末までに納付しないと入学取消になる

  • 貸与奨学金を申請することが出来る(月3万x24か月分=72万円か、月8万x24か月分=192万円)

  • 自宅待機期間(コロナ、帯広の天候不良のため訓練が遅延している)は宮崎帯広間と帯広宮崎間で合計約1年

R7募集要項より
学校案内2024より

試験内容

試験は全部で4回

  • 1次(筆記)

  • 2次A(脳波以外の航空身体検査、心理適性検査)

  • 2次B(脳波検査)

  • 3次(面接、操縦適性検査(フライトシミュレーター))

合格までの1年の流れ

R7年度版

4/26            募集要項が航大HPに公開される
5/13〜6/3           出願期間
7/21(日)              1次試験
8/9(金)10時              1次試験合格発表
9/14~9/22(土日祝の指定日)2次A試験
10/18?              再検査対象者発表
11/15?              2次B対象者発表(実質2次A合格発表)
12/7~12/9の指定日             2次B試験
12/27             2次合格発表(実質2次B合格発表)
1/21〜2/4(月〜木指定日)   3次試験
2/21              最終合格発表

試験会場

1次
札幌市、岩沼市(航大仙台校)、東京都、大阪市、福岡市、宮崎(航大本校)
出願時に受験地希望を出します。

集合時間

1次 
朝9時集合、10時英語開始、15時総合終了時刻、みんなラフな私服

1次試験

その前に

先に言っておきますと、1次の成績が航大に受かるために超重要です。詳細は上の記事をご覧ください。結論1次の成績が最終合格まで大きく関わってきます。

また1次試験の最低点は公表されていませんが、成績開示をみると正答率7割は最低限目指すべきでしょう。
開示している他の受験生の順位を見てみると(Twitterなどで)、1点2点に極端に集中していることに気が付きます。3点で(英語1問分)で順位は15位くらい、10点(総合2問分)で順位は30位とか変わってたりします。

そういう世界です。出身大学の偏差値なんて関係ないです。いかにミスしないかが1次で問われています。

出題範囲、教科、時間配分

1次の出題範囲は募集要項(R5、R6、R7)にこのように書いてあります。教科は英語と総合の2教科です。

英語:読解、語彙、熟語、リスニングについて行います。

総合:操縦士として必要な判断・処理能力(空間認識、資料の読取等)、時事問題を含む社会常識及び数学(数と式、二次関数、二次方程式、三角比、三角関数、指数関数、対数関数、微分、積分、平面図形、ベクトル等)自然科学(気象、力学、熱力学、波動、電気と磁気等)の一般知識を問う試験をマークシート方式で行います。)

試験時間
英語:90分(リーディング70分、リスニング20分)、総合:120分

英語は1冊の問題冊子で、リーディング終了後リスニングをします。したがって、リーディングの時間にリスニングの問題を把握することは可能です。私もリーディングの時間でリスニングの選択肢の和訳をしてました。

総合も同様にPart1Part2の2冊が最初に配布されますが、時間は合わせて120分です。これはどういうことか。

時間配分(Part1に何分費やすか)が大切です。

この仕組みはR5が初で、私は問題配布されて試験が始まるまでの時間(15分くらいある、やたら長い)で時間配分を一生懸命考えていました。
私はPart1を40分、Part2を80分で解いたと思います。Part1が1問5点になったので(Part2は1問6点)時間はある程度費やすべきだと考えました。

また総合Part1は終了後回収されます。対策もしにくい。

配点(350点満点)
英語:100点(リーディング80点、リスニング20点)
総合:250点(Part1:100点、Part2:150点)

問題形式

英語
大問3題
①文法、熟語 2点×10問
②文法、語彙(語句穴埋め)3点×10問
③下線部和訳 3~4問(年による)で30点、ここだけ記述式。長文だけど和訳しか出題されない。(過去問参照)

リスニングは2パートに分かれている。Part1は1問1答(10問)、Part2は2問ずつ(5セット、10問)。問題冊子には英語の選択肢のみ記載されている。問題文は2度読まれる。

よく言われるのが、本番の点数はTOEIC L&Rの点数×0.1が目安。例えば820点の人は82点程度になる。これは私の経験上かなり正確。
ちなみに航大合格者のTOEIC点数はみんな高いです。600点台はあまり見ない気がする。英語は基本的にみんな出来るので、英語で点差はつかない印象

総合
Part1:5点×20問、Part2:6点×25問(一部3点×2に分割する問題もある)

R4までは総合1で2点×50問、試験は50分、問題の難易度は問題によるため、いかに取捨選択し素早く正確に解ける能力などが必要だった。

ここでR4の出題形式とR5(R6)の出題形式を募集要項で比較する。
R4
総合1:操縦士として必要な判断・処理能力(計算処理、空間認識、 確率、資料の読取等)及び自然科学の基礎的知識についての試験をマークシート方式で行います。

総合2: 時事問題を含む社会常識及び数学(数と式、二次関数、二次方程式、三角比、三角関数、指数関数、対数関数、微分、積分、平面図形、ベクトル等)、自然科学(気象、力学、熱力学、波 動、電気と磁気等)の一般知識を問う試験をマークシート方式 で行います。

R5、R6
操縦士として必要な判断・処理能力(空間認識、資料の読取等)、時事問題を含む社会常識及び数学(数と式、二次関数、二次方程式、三角比、三角関数、指数関数、対数関数、微分、積分、平面図形、ベクトル等)自然科学(気象、力学、熱力学、波動、電気と磁気等)の一般知識を問う試験をマークシート方式で行います。)

問題の範囲に変更点があることに気づきますね、旧総合1で記載の「計算処理」「確率」が消えています。また、旧総合1には簡単な物理数学の問題(自然科学の基礎的知識)があったが、総合Part2に統合されたとみられる。

総合Part2の範囲は要するに高校数学1A2B3(必要十分、証明、場合の数、確率除く、3は積分のみ(このことについて以下に詳細書きました))、物理基礎と物理(原子除く、万有引力は出たことないけど出題範囲内ではあるはず)、時事問題(航空関係1問+その他数問)、地学(気象分野のみ)と解釈できます。大学数学物理などは不要です。

数3の過去問まとめ

結論としては、数3の問題は過去に出題されています。最新のR6入試でも出題されています。

実際に出題された問題をまとめられたブログがありました。また私も過去問分析してみました。

私が初めて数3の知識を使うと思った問題は、H31年度問25です。
定積分自体は数2にありますが、解法としては数3の置換積分という分野を用います。

式変形を工夫すれば数2の知識でも解けますが、数3学習者は積分範囲を代入すると0にいなるから置換積分が楽かなと考えます。実際に解くとこんな感じです。

過去の数3の問題も全て並べてみました。

2020年度問25

立体の体積を積分で求める問題。数2では出題されない複雑な体積を求めます。切断の仕方で解法は2パターンあります。パターン2は合成関数の積分か置換積分で解けます。

R4問23
一見数2の範囲に見えますが、数3未学習者は1/yの積分で手が止まります。数3では1/xの原始関数はlogx(logxの微分は1/x)であることを暗記してます。またxではなくyの積分であることも注意です。

R5で数3の出題はありませんでしたが、最新のR6問43では区分求積法(数3積分の範囲)が出題されています。
n→∞で1/nとΣk/nが作れそうなので、区分求積法という方針。数3なので数列の知識も必要になります。問題難易度は初歩的な教科書レベルです。

数2の極限はR3問25、R4問25で出題されていますので、数3の極限が今後出題される可能性はありそうです。数3の極限がまとめられたサイトがありますので、これだけでも理解しておくと良いでしょう。

出題された数3の問題で共通しているのは、積分の範囲からのみ出題されていることです。一応募集要項の出題範囲にも積分(数3含めるかどうかは記載なし)と記載があります。
数3を勉強するならば、積分分野、特に過去に出題された範囲(積分の基本公式、置換積分、区分求積法)で。しかしコスパは悪いので、どこまでやるかは個人の判断次第です。

R5に出題された総合Part1

私が入試直後に再現した過去問をもとに出題範囲を分析しました。2問ほど紹介します。

例えば

この問題はSPIの数列です。

他には

これは資料解釈の表の読み取り(大卒程度公務員試験)

資料解釈だが人数をひたすら足したり割合を出すので、これは表の読み取りというより計算処理ではないかと感じた。1日の合計人数の選択肢が37000人か38000人で絶対に数え間違いできなかった。

あとは通過算、推論、ブラックボックス、図形の規則性などもありました。

私が思う総合Part1の出題ジャンルは

公務員試験(大卒)
SPIの非言語(言語は不要)
CAB、GAB
中学受験算数

などです。
地頭の部分もあると思いますが、参考書を通して得られる知識も多くある分野です。
私が具体的に使用した対策本は使用した問題集の章で記載してます。

過去問の入手方法

過去問(1次の総合Part2、英語)はどこで入手するか?大学みたいな赤本はありません。

まず「航空大学校 過去問」と検索すると主に2つサイトが出てきます。
1つめは航大HP

ここに1次試験の過去問が数年分あります。ただし、総合Part1(旧総合1)、英語大2、3問はありません(著作権の関係)。また問題のみで答えと解説はありません。

2つめは現役パイロットJさんのブログ
航大の入試問題(総合)の答えと解説を分かりやすく数年分掲載されています。私も含め多くの受験生が参考にしています。(私も大変お世話になりました。本当にありがとうございます)令和5年度入試問36の答えは違いました。(2√2は最小値です、問題文で問われているのは、、、)

2023年時点では基本この2つしかないです。イカロス出版社が、航大の英語と総合の問題を解説した「パイロット入試問題集」という本を2年に1度発売してましたが、どうやら2021年で絶版されたみたいです。

じゃあ英語のすべての問題とJさんが解説されてない総合の問題はどのように入手するのか。

メルカリで過去のイカロス出版のパイロット入試問題集を買う

これです。しょうがないですね。定価は2800円ですが、プレミアム価格でいまや1冊3000~5000円くらいですね。10年分だと1冊2年分なので計5冊の25000円です。(メルカリで「パイロット入試問題集」を検索条件で保存すると便利、まとめ売りしてる人もいる)合格した後に売ればプラマイゼロです(手数料あるけど)。

航大合格者が使用した問題集が載ってるサイトによると、合格した人は全く同じあるいは似たような問題集、参考書をやっていることに気づきます(Webで「航空大学校 参考書」と検索する)。

馴染みがある問題集、持っている問題集があればそれで良いです。市販の問題集だけで十分合格狙えます。過去問が時間内に解けて、1次に合格できれば良いのです。

とは言え、不安な人はここに載っている問題集だけでなく、他の問題集をやると思うしおそらく合格した人はやっています。
この問題集を絶対やりましょう!ではなく、私はこの問題集やりましたよっていうのを教科ごとに書いてます。

英語(リスニング)
スタディサプリTOEIC講座(3か月)、Youtubeで英語聞いてた

英語(リーディング)
大問1、2
ネクステ、シス単1900、Ultimate(竹岡)、英検準一級パス単、金フレ
大問3
英文読解の原則125(竹岡)、英文読解の透視図(途中まで)

英語は高校の時に使っていた問題集を主に使いました。
文法系と単語帳をやって、TOEIC対策だけだと和訳は対策しにくいので、構文、英文解釈系の問題集も1冊やるのもありです。

総合Part1
募集要項の出題範囲を参考に本屋さん(就活コーナー)に行き、良い感じのやつを選びます。2番目の畑中さんは昔予備校で総合1を教えていた人で航大受験の問題集として多くの人が使用されています。

史上最強のSPI超実践問題集
大卒程度 公務員試験 畑中敦子の数的推理の大革命! 令和版 (公務員試験/畑中敦子シリーズ)
これが本当のCAB・GABだ!
中学受験算数が無料で見れるサイト(中学受験 算数 図形で検索)

総合Part2
時事
ネットニュース、時事問題のアプリ
日本と世界の時事キーワード
超速マスター! 一般常識&時事問題

時事はわりと出るし(4問)1問6点です。勘も大事ですが中3公民レベルは問題集を使って思い出しましょう。すべてを網羅することは不可能なので、過去問分析をして出やすいジャンルを絞って勉強すると良いです。本屋の就活コーナーにたくさんあります。毎年出る航空系のニュースは過去問を参考にAviation Wire、ネットニュースを見てました。
「時事問題 まとめ」で出てくるサイトやアプリで勉強しても良いです。下のサイトは良さげでした。

気象
ひとりで学べる地学
パイロットに必要な航空気象

気象の問題が毎年1,2問出ます。過去問の内容は最低限理解しましょう。「パイロット訓練生の航空気象 理論と実践」という本(kindleもある)だと航大入学後も授業で使用できます。

物理
物理のエッセンス2冊(原子を除く、出題範囲に記載なし)
良問の風
センター試験過去問(河合塾黒本)
短期攻略センター試験対策(駿台)

エッセンス、良問は何周もしました。最近の入試難易度を考えて良問の風もやりました。過去問と全く同じ問題もあるし。あとセンター試験過去問は問題演習としてやってました。年々問題難易度が上がっているので、理系の人でもなめていると1次で落ちてます。
エッセンスの問題を全問解説している人の動画がYoutubeにありますので、物理苦手な人は参考にすると良いです。

数学
青チャート数1+A(場合の数、確率、図形の証明以外)、2+B(証明以外)
センター試験過去問(河合塾黒本)
受験の月(問題大量で無料、おすすめ、数3はここだけ)

数学は得意だったので青チャートの例題とExerciseのみやりました。航大レベルを超える難易度の問題はやってません。
問題演習としてセンター試験過去問もやりました。
数3は出ても1問なので、やるかどうかは個人の判断に任せます。

R5総合Part2の解答、解説

解答と解説を作成しました。
雑な解説付きですが、よければ参考にしてください。過去問解いてない人はネタバレ注意です。私流の解き方なので別解がある問題もあると思います。Lv.は4段階で難易度を表しています(主観で)。Twitterの成績開示を見る限り、7割あれば1次合格できて(英語もあるけど)、8割以上で2桁順位を狙えます。

R6英語、総合Part2の解答、解説

英語は平年並み、総合Part2は難問がほぼなくて、R5と比べ易化したと感じました。時事もマニアックなものはありませんでした。個人で作成したので、解答が絶対正解とは限りません。

R5入試では、8割(280/350)あれば50位以上、7割(245/350)でギリ300位以内でした。
R4入試では、8割で100位前後です。
R6入試のボーダー(250~300位)は7割だと思われます。(R6受験をした知人の成績参照。その人は2次S判定で最終合格済)

予備校の存在

独学だと不安な方は予備校の選択肢もあります。合格実績がある有名な予備校が2つあります。気になる方は調べて相談しても良いと思います。

  1. 航大受験ゼミナール(HPに合格体験記、料金、内容の詳細あります)

  2. イカロスアカデミー(THE PILOT2024によるとR5最終合格者数は23人中2人みたいです。HPに模擬授業の動画がありましたので参考にすると良いです)

予備校に通う人の割合は模試の受験者数、THE PILOTに掲載されている合格実績を見る限り、全受験者数の1割未満だと考えられます。模試のみ利用することも可能です。年に1-3回あります。模試は予備校による時事予想、総合の演習、受験者層内での順位が確認できる良い機会です。最近は通塾タイプだけなく、遠隔で授業を受けられるタイプもあるみたいです。

m(__)m