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■ 伊丹万作の水脈

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映画人・伊丹万作の広範な交遊関係をひもとき、友情を復権する試み。
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伊丹万作と永井叔〜交響する交遊圏

文芸部と演劇部をハシゴしていたので、卒業後の90年代前半、友人たちと芝居づくりを楽しんだ。最後の公演は、伊藤大輔の連鎖劇をふまえた悲喜劇に仕立てたが、もうひとりの映画人・伊丹万作を中心に、大正末/昭和初年の松山、おでん屋「瓢太郎」に集った青春群像も魅力的で、どちらから舞台化するか、そうとう悩んだ。 前作が、満洲の料理屋にエノケンをかたる慰問一座がやってくる設定で、飲食店が舞台のコメディ続きもどうかと、まずは伊藤のパッション、お次は、伊丹のユーモアでと、構想をめぐらした日々から

伊丹万作の水脈 ① 明石海人

ここんとこ、映画監督【伊丹万作】(1900−1946)から連なる「青春群像」について、30年来、寝かせてた宿題に取りかかる中、このエッセイ(1941年)のこと、はじめて知った。↓ 青春群像とは、同郷の同窓生に、伊藤大輔(映画監督)、中村草田男(俳句)、重松鶴之助(画家)、白川晴一(社会運動家)らがおり、大正デモクラシーのもと、こうしたメンバーの交遊が、各自相互の芸術、社会運動を開花させた。 その青春期について、いろいろ資料をあたる中、そこから派生して、伊丹晩年の交遊にも、