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【カゲマス】完凸するのにいくらかかりますか?

細かいことに興味はない、という方のために、最初に結論をまとめておきます。

  • 提供割合が 0.690%のシャドウフェスやレギュラーガチャであれば、540連回せば 50%の確率で完凸する(専用魔道具交換あり)。

  • これを全部課金でまかなうと 16〜17万円かかる

はじめに

カゲマスで凸という場合、魔力覚醒を指します。
魔力覚醒は最大5回で、5回魔力覚醒することを完凸といったりします。
レベルアップ、ランクアップ、レアリティーアップに比べ、クエストやイベントを消化しても魔力覚醒を進める(凸を進める)のは難しくできています。
というのも、凸を進めるために必要な魔力の核や魔力結晶を手に入れる機会が非情に限られているからです。
ガチャ被り以外で手に入れる機会として、魔界殲滅戦争の報酬やイベントショップがありますが、上位ギルドに所属するなどしていない限り手に入る数は微々たるもので、2ヶ月に1回、キャラ1人の凸を1つ進める、みたいな亀の歩みになります。

シャドウフェスキャラ、イベントキャラの魔力の核をガチャ被りで手に入れるためには、対象キャラのピックアップガチャを引くしかありません。
恒常SSキャラの場合、多くのガチャで引くことが可能なので、凸を進められる可能性がありますが、SSキャラの数も増えてきているので、運に頼っていてもなかなか凸は進まないと思われます。こちらも、プレミアムガチャ(恒常SSキャラのピックアップガチャ)を引かないと一気に凸を進めるのは難しいでしょう。

ですから、キャラの凸を進める最大の機会は、そのキャラがピックアップ対象になっているピックアップガチャということになります。
廃・重課金者は、キャラが登場した際のガチャで本体を獲得するだけでなく、一気に凸を進めてしまいます。そうしないと、凸を効率的に進める機会はなかなか訪れないからです。
その結果、大量にガチャを引くことになるため、恒常SSキャラの凸も進むことになります。完凸したキャラを魔力の核10個は魔力結晶1個と交換できます。その結果、廃・重課金者は、ガチャをたくさん引いて狙ったキャラの凸を進めたオマケとして、魔力結晶を得られるようになり、他のキャラの凸も進めやすくなります。

この記事では、ピックアップガチャを引くとき、本体の獲得から完凸まで、ガチャを何回引くことになるのかを計算してみます。

【計算】で始まる段落で確率計算の中身を書いておきますが、そういうのに興味がない方は読み飛ばしてください。


0.690%という数値

カゲマスのガチャのピックアップ対象キャラの当籤(とうせん)確率は基本的に 0.690%です。イベントキャラのピックアップガチャではその2倍の1.380%の場合が多いですが、これも 0.690%という数値がベースにあるといっていいでしょう。

カゲマスに限らず、多くのソシャゲで、ガチャの当籤確率 0.690% という数字を見かけます。

0.690%は、ガチャを 100連引いたとき、50%の確率で1回以上当たりがでる当籤確率です。
プレイヤーにとっては一期一会なので、10連で当たる人もいれば、天井(200連)まで引いても当たらずに交換になる人もいます。
一方、運営から見れば、1回当籤するまでガチャを回したプレイヤーは、平均100連引いていることになります。あるガチャでプレイヤー1万人がピックアップキャ本体を手に入れたなら、合計100万回ガチャが引かれていることになります。(これに、本体を当ててもさらにガチャを回し、一気に凸を進める重課金者の課金分が加算されます)
このように、運営する側にとってわかりやすいので、0.690%という数値が重宝され、よく使われているのでしょう。


【計算】100連で半分の人が1回以上当たるような当籤確率の求め方
「半分の人が1回以上当たる」という状況は、裏を返せば「半分の人が1回も当たらない」ということです。
当籤確率が 0.690%なら、外れる確率は99.310%です。
100回連続でハズレを引く確率は下のように計算できます。
$${(1-0.00690)^{100} \fallingdotseq 0.50038}$$

0.690 という数字は以下の手順で求めることができます。
当籤確率を $${p}$$ とすると、外れる確率 $${q}$$ は $${q = 1-p}$$ です。100回引いて1度も当たらない確率がゼロになるような $${p}$$ を求めると以下のようになります。

$$
\begin{array}{l}
q^{100} = 0.5 \\ \\
\log_q 0.5 = 100 \\ \\
\dfrac{1}{\log_{0.5} q} = 100 \\ \\
\log_{0.5} q = 0.01 \\ \\
q = 0.5^{0.01} \fallingdotseq 0.99309 \\
p = 1-q \fallingdotseq 1-0.99309 = 0.00691 = 0.691 \%
\end{array}
$$

以上の計算から当籤確率 $${p}$$ は 0.691 % と求まります。
2行目から3行目の変換が「???」という方は、「対数の底の変換公式」などで検索してみてください。5行目の $${0.5^{0.01}}$$ は関数電卓(アプリ)で簡単に計算できます。
有効数字3桁だと 0.691 % ですが、まあ丸めて 0.690 %にしているのでしょう。
切り捨てた分、ほんの少し当籤確率が下がります。「ほんの少し」というのは、具体的には、100連で全敗する確率が 0.05 %(2000分の1)だけ下がります。


90%の確率で1回以上当籤する回数は?

当籤確率を 0.690 % に定めてしまえば、あとは簡単にいろいろ計算できます。
例えば「$${x}$$ 回ガチャを引けば、90%の確率で1回以上当籤する」の、$${x}$$ を求めるなら、以下のように計算すれば 333回とわかります。


【計算】

$$
\begin{array}{l}
(1-0.0069)^x = 1-0.9 \\
0.9931^x = 0.1 \\ \\
0.9931^x = \exp(x \ln 0.9931) = 0.1 \\
\exp(-0.006924 x) = 0.1 \\ \\
-0.006924 x = \ln 0.1 = -2.303 \\ \\
x = -2.303 \div -0.006924 = 332.6
\end{array}
$$

3行目は $${x^y = \exp(y \ln x)}$$ の関係を利用した変換です。


333連すれば90%の確率で1回当たる。裏を返せば、333連回しても10人に1人は1回も当たらないということです。これをどう捉えるかは、プレイヤーそれぞれの考え方次第だと思います。

天井(200連)まで引いても1回も当たらない確率

カゲマスの天井である200連で1回も当たらない確率は $${0.9931^{200} =0.2504 }$$ ——およそ 25% です。
天井まで引いても当たらなかったとしても、ものすごく運が悪いわけではありません。4人に1人くらいは同じくらい運の悪い人はいます。

30連までに当たりがでる確率は?

カゲマスでは、10000円で8400石手に入れるとちょうど30連できるようになっています(Windows版は9300石)。30連は専用魔道具を交換できる回数でもあるので、30連で一区切り、という印象もあるように思います。
30連で1回以上当たる確率は 18.756%です。
5〜6人に1人は、30連でピックアップキャラを引けるということです。
参考までに、30連で完凸する確率は、0.00000556%です。およそ、1800万人にひとりという数値で、年末ジャンボ宝くじの1等の当籤確率(2000万分の1)に近いです。

何回当たるかまで計算する

ここまでの計算は「1回も当たらない確率」を計算して、その裏側の「1回以上当たる確率」を算出するものでした。
「1回以上」の部分を、1回、2回…と分けて計算するのはもう少し面倒になります。

例えば 10連ガチャを引いたとき、当たりを○、ハズレを×とすると、結果を[××××○×××××]のように書けます。1回の結果は○か×かの2通りで、これを10回行うので、結果のパターンは全部で $${2^{10} = 1024}$$ 通りになります。
一般に、$${n}$$ 連ガチャの結果は $${2^n}$$ 通りあることになります。

当籤確率を $${p}$$、当籤した回数を$${k}$$回とすると、あるパターンが出現する確率は、$${p^k \times (1-p)^{n-k}}$$ です。

「何回当たったか」という視点でみれば、同じ回数をあたるパターンは複数でありえます。10連で1回当たるパターンは、当たったのが1回目から10回目まで10通りありますから、その合計が「10連して1回当たる確率」になります。
ですから「$${n}$$回やって$${k}$$当たるパターンの数」を計算する必要があります。
これには組み合わせを用います。ここでは、組み合わせの計算方法には立ち入りません。Excel や Google スプレッドシートなら COMBIN() 関数を使えば計算してくれます。
$${n}$$ 回ガチャを引を引いて $${k}$$ 回当たる組み合わせの数を数学記号では $${{}_n \mathrm{ C }_k}$$ と書きます。
あわせて、当籤確率 $${p}$$のガチャを$${n}$$ 回引いて $${k}$$ 回当たる確率 $${P(n,k)}$$ は、以下のように書けます。

$$
P(n,k) = {}_n \mathrm{ C }_k \times p^k \times (1-p)^{n-k}
$$

数学的な興味でもない限り、これ以上解析的に解いてみるよりも、あとはスプレッドシートに計算してもらった方がお手軽です。

100連すると、運が良ければ何回くらい当たるものなのか?

試しに 100 連の内訳を計算してみます。50%の確率で「1回以上」当たることはわかっていますが、その内訳はどうなっているのでしょう?
計算してみると、1回当たる確率が 34.766%、以降、2、3、4、5、6回当たる確率がそれぞれ 11.957%、2.714%、0.457%、0.061%、0.007%です。1割くらいの人は100連で2回当たって1凸まではいくということです。


【計算】
ここで気をつけなければならないのは6回当たる確率です。6回当たれば本体+魔力覚醒5回で完凸しますが、7回以上当たった場合も完凸していることを忘れてはなりません。7回以上当たった人は、実際には6回当たった時点でそれ以上ガチャを引くのをやめているかもしれませんが、それでも完凸は完凸です。
つまり、6回当たる確率に関しては「6回以上当たる確率」を計算しておくのが、ガチャの確率計算としては適切です。
当籤確率 $${p}$$のガチャを$${n}$$ 回引いて $${k}$$ 回以上当たる確率 $${Q(p,n,k)}$$ は、「0〜$${k-1}$$ 回当たる確率の合計の残り」なので以下のように書けます。

$$
Q(p,n,k) = 1 - \displaystyle \sum_{i=0}^k  {}_n \mathrm{ C }_k \times p^k \times (1-p)^{n-k}
$$

100連の場合、この式で6回以上当たる確率を計算しても、有効数字3桁では 0.007%で6回当たる確率と変わりません。7回以上当たる確率が低すぎるということです。もう少し下の桁まで見てみると、6回当たる確率は0.00671%、6回以上当たる確率は0.00739%で、ものすごい微差ですが違いはあります。


200連すると何回当たる?

天井の200連では、以下のようになります。

  • 1回も当たらない=天井引換で本体確保:25.038%

  • 1回当たり=天井引換で1凸:34.792%

  • 2回当たり=天井引換で2凸:24.053%

  • 3回当たり=天井引換で3凸:11.030%

  • 4回当たり=天井引換で4凸:3.774%

  • 5回当たり=天井引換で完凸:1.028%

  • 6回以上当たり(天井以前に完凸):0.286%

25%の人は、天井までガチャを回しても本体すら手に入らないので、天井が救済になります。
75%の人は天井まで回す前に本体が手に入ります。それでも天井まで回すと凸が進みます。
200連で完凸までいく確率は1.314%です。

完凸するにはどのくらいガチャを回さなければならないか?

新キャラの場合、200Ptの本体交換に加えて30Ptの専用魔道具交換をすることがほとんどだと思います。その場合 230 連が事実上の天井になります。
天井の200連では、以下のようになります。

  • 1回も当たらない=天井引換で本体確保:20.342%

  • 1回当たり=天井引換で1凸:32.506%

  • 2回当たり=天井引換で2凸:25.860%

  • 3回当たり=天井引換で3凸:13.655%

  • 4回当たり=天井引換で4凸:5.384%

  • 5回当たり=天井引換で完凸:1.691%

  • 6回以上当たり(天井以前に完凸):0.561%

230連で完凸までいく確率は 2.252%です。


【計算】
$${Q(p,n,k)}$$ に、30Ptでポイント交換で専用魔道具を獲得し、その後、200Ptごとに本体を交換で獲得することを織り込んだ $${R(p,n,k)}$$ を導出します。

まず、200Pt交換で得た本体の数 $${l}$$ は以下のように計算できます。
下式の $${[(n-30) \div 200]}$$ の角カッコはガウス記号で、カッコ内の数を超えない最大の整数を表します。ここでは、角カッコ内の割り算の商を表しています。

$$
l = \left[(n-30) \div 200 \right]
$$

$${Q(p,n,k)}$$ に $${l}$$ を組み込んだものを $${R(p,n,k)}$$ とします。$${R(p,n,k)}$$ は以下のように導けます。

$$
R(p,n,k) =
\begin{cases}
1  & ( k \leqq l) \\ \\
1 - \left( \displaystyle \sum_{i=0}^k  {}_n \mathrm{ C }_k \right) \times p^k \times (1-p)^{n-k} & ( n \leqq 30 ) \\ \\
1 - \left( \displaystyle \sum_{i=0}^{k-l} {}_n \mathrm{ C }_{k-l} \right) \times p^{k-l} \times (1-p)^{n-(k-l)} & ( k \gt l, n \gt 30 )
\end{cases}
$$

$${k \lt l}$$ の場合、交換で入手した当たりの数 $${l}$$ が $${k}$$ 以上なので、確率は100%(1)になります。
$${n \lt 30}$$ は1〜29連に相当しますが、この範囲では $${[(n-30) \div 200]}$$ を計算すると $${l = -1}$$ になってしまいますが、実際には $${l = 0}$$ なので、場合分けをしています。最初の30回でもらえるポイントは専用魔道具の交換に用い、本体の交換には使わないため、それ以降のガチャ回数とは意味が異なります。


この式を計算すると、10連刻みで完凸する確率が50%を超えるのは540連です。より正確には540連すると、51.178%の確率で完凸します。
540連で完凸した人は、運が良くも悪くもないということです。
90%の確率で完凸するのは770連です。より正確には90.150%です。

完凸するには、どのくらい課金しなければならないか?

540連をすべて課金で引く場合、いくらくらいかかるでしょうか。
20連を有償2500石のチケットで引き、ガチャ期間2週間として毎日1回限定の有償100石ガチャを15回引けます。これに、2800石の通常の10連ガチャを50回引くと535連になります。535連では50.457%の確率で完凸するので、これで計算してみます。
必要な石の数は153000(うち有償石6500以上)です。
もっとも安上がりなのは、以下の構成で購入した場合です。

  • 8000有償石+4000無償石 ¥10000円 ×1個(セール品1個限定)

  • 4000有償石+2000無償石 ¥5000円 ×1個(セール品1個限定)

  • 2320有償石+1160無償石 ¥2900円 ×1個(セール品1個限定)

  • 800有償石+400無償石 ¥1000円 ×1個(セール品1個限定)

  • 8000有償石+1300無償石 ¥10000円 ×14個(Windows版)

これで120石余ります。有償2880石のセール品を買っていないのは、買っても余るからです。
これで、158,900円となります。いつでも買える 8000有償石+1300無償石 のパックだけで買うと 17 パック 17 万円で 5100 石 余ります。

忘れてはいけないのは、16〜17万円突っ込んでも、完凸する確率は50%であるということです。完凸しなかった場合、どんな結末になっているかというと、535連回しているので、魔道具1回と本体2回交換しているので、必ず1凸までは到達しています。
4凸 20.955%、3凸 16.975%、2凸 9.151%、1凸 2.462%です。
ざっくり90%以上の確率で3凸以上になります。

90%以上の確率で完凸するのは 775 連なので、全部課金でまかなうと約24万円になります。

しょっちゅう完凸めざす人は魔力結晶をいっぱいもっていそうなので…

430連回すとSSキャラが13体くらい(フェスガチャなら19体)当たります。なので、すり抜けで当たった恒常SSキャラの凸はかなり進みそうです(この記事を書いている時点で恒常SSキャラは35人)。

これはというキャラのガチャでは積極的に完凸(あるいは威力が出る高凸)目指してガチャを回すプレイヤーは、恒常キャラの凸が進んだ結果、魔力の核が余り、交換した魔力結晶が数十個貯まっていたりするでしょう。であれば、たとえば交換所で本体2体目が交換できる430連で打ち切って、完凸していなければ魔力結晶を使う、みたいな段取りでガチャに臨むプレイヤーも多いのではないかと想像します。
430連では、3凸以上の確率が 79.7%、4凸以上が57.0%、34.5%の確率で完凸しています。430連にかかる経費は13〜14万円です。
筆者はカゲマスにここまで課金することはできないので想像の範疇ですが……

当籤確率 1.380% だとどのくらい当たりやすくなるか?

イベントキャラのピックアップガチャは、通常、ピックアップ対象キャラの当籤確率が0.690%の2倍の1.380%に設定されています。
この場合、どのくらい当たりやすくなるのかを、数字だけ列挙しておきます。計算は、ここまでの計算を $${p = 0.0138}$$ としてやり直すだけです。

  • 100連で1回以上当たる確率は 75.1 %

  • 50連回せば、約50%(50.1%)の確率で1回以上当たる

  • 160連回せば、約90%(89.2%)の確率で1回以上当たる

  • 230連引いた時、どのくらい凸が進むか

    • 1回も当たらない=天井引換で本体確保:4.092%

    • 1回当たり=天井引換で1凸:13.170%

    • 2回当たり=天井引換で2凸:21.101%

    • 3回当たり=天井引換で3凸:22.441%

    • 4回当たり=天井引換で4凸:17.820%

    • 5回当たり=天井引換で完凸:11.271%

    • 6回以上当たり(天井以前に完凸):10.104%

  • 340連回せば、約50%(50.5%)の確率で完凸する

  • 480連回せば、約90%(89.8%)の確率で完凸する

当たり前ではありますが、当たりやすくなっていますし、凸を進めれば進めるほど、0.690% に比べ、コスパが良くなります。
例えば、0.690% の場合、230連で完凸する確率は 2.252%なのに対し、1.380%では、21.375%の確率で完凸します。この数字だけ比べると効率が10倍アップしています。回数をたくさん当てようとすると、確率が冪乗(べきじょう、かけ算)で効いてくるので、このようなことが起こります。

むすび

まじめに計算してみると、何となく思っていたよりも当たりやすかったり、外れやすかったり、印象とは違うところもあったのではないかと思います。
読まれた方がガチャを引く際の参考になれば幸いです。

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