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年代ごとの「絵柄の移り変わり」についてまとめてみた(主にアニメ系イラスト)

こんにちは!MVを作っている動画クリエイター兼イラストレーターの
無印かげひと
(@kage86kagen)です。

今回は、「年代ごとの”絵柄の移り変わり”についてまとめてみた」と題し、主にアニメにおけるキャラクターの絵柄の描写についての説明、サブとして漫画、ゲーム系イラストにも通じるような「絵柄の移り変わり」の話3つの時代ごとにざっくりとまとめてみました。

1990年代のアニメ絵柄で描きたい!」「2000年代に流行していた絵柄はなに?」といったように、主に時代によるアニメイラストの絵柄の移り変わりが気になる方向けの記事になります。
趣味や仕事上、時代による描き方の知識が必要になる方もいるかもしれませんので、そういった場合にぜひお役立てください!

この記事では、以下について解説しています。
●主にアニメ系ジャンルのイラストにおける、10年ごとの絵柄の移り変わりについて解説
●1990年代、2000年代、2010年代(+2020年代)に流行した主な絵柄
●昔のアニメテイストの絵を描きたい方向けに、各年代の描き方の特徴をご紹介

※なお、この記事は以前運営していたイラスト情報サイトに記載した記事を加筆修正したものになります。
初回投稿日は2021年4年ですが、2024年3月現在の見解も記載しています。


各時代には流行りの絵柄が存在した

いきなり質問ですが、現在のアニメ・イラスト界隈では、どんな絵柄が流行っていると思いますか?

丸顔で大きな目をしたキャラクターの絵柄が流行り?
逆光の描写をしたイラストの投稿がたくさんあるように見える?
服や髪のシワの描写の細かさがすごい?

時代を10年ごとに区切った上で絵柄の流行を見ていく場合、2020年代はまだ4年しか経っていませんし、「2020年代はこの絵柄が流行した!」と明言するには時期尚早な気がしますよね。

ただ、2020年代以前の絵柄の移り変わりを振り返ってみると、各特徴についてなんとなーく言語化できるんじゃないかなと思われます。


キャラの絵柄は10年ごとに大きく変わる

ソース元は不明ですが、筆者が昔聞いた話ですと、デザインというのはおよそ10年ごとに区切って「デザインの移り変わり、変化」について比較が行われることが多いそうです。

実は漫画やアニメにおけるイラストの絵柄についても例外ではなく、1990年代、2000年代、2010年代(+2020年代)と、10年ごとに区切って比較している方が多いんだそう。
実際、その有志達がまとめた記事や書籍等を見てると、「10年ごとにデザインが大きく変化している」…ということについて言及し、それぞれ解説されています。

でも、確かに考えてみると、イラストの絵柄の流行というのはそんじょそこらの1年2年でガラっと変わった事象は今まで無かったため、10年区切りで説明するのは理にかなっているかもしれませんね。



各年代ごとの絵柄一覧

では、ここからは本題である「各年代で流行していたであろうアニメの絵柄について」ご紹介したいと思います。
今回は「1990年代」、「2000年代」、「2010年代(+2020年代)」の3つの時代を紹介していきます。

各年代の絵柄を振り返ってみると、「この時代は髪がこんな感じだったなぁ」「服はこんな感じだった!」というような”気づき”を得る方ことができるかもしれません。
そんな各時代の絵柄の特徴をかいつまんで説明してみましたので、時代を意識した絵柄を描いてみたい方はぜひ参考にしてみてください!

※注意書きですが、本記事は他サイトや書籍等を参考にしつつ、あくまでも個人的見解が主成分の比較記事となります!
もちろん、これが真実というわけではありませんので、あくまで参考程度にご覧ください。

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1990年代

●特徴的な部分
・主線は「黒」で描かれていることが圧倒的に多い
・主線は”しっかり””かっちり””くっきり”、固めに描かれている
・紙の毛束の描写が固め
・アナログが主流のため、現代のように綺麗で鮮やかな色合いで見る事はできず、全体的に若干色がくすんで見える etc…

1990年代に放映されたアニメといえば、「魔法騎士レイアース」、「地獄先生ぬ~べ~」、「新世紀エヴァンゲリオン」などが放映されていた時代です。

もちろん、作品によって絵柄は全く異なってくるものの、「雰囲気」として総合的に見ていくと、上記画像のような絵柄が多く描写された時代のように感じます。

この一つの特徴として「色がくすんで見える」というのがありますが、これはこの時代の制作環境や映像技術が大きな理由となっています。

アナログの描き方は、デジタルとは違って現物の「絵の具」から色を出し、いろんな色を混ぜた上で着色しています。(当たり前ですが…)

デジタルで色を塗る作業とは異なり、現実世界(実物)で絵の具の色同士を混色すると、どうしても「彩度」が落ちてしまいます。
色を塗る際は、絵の具のチューブから出した色そのままで塗る方ははあまりおらず、どうしても混色が必要になりますので、必然的に色がくすんで見えがちです。

個人的には、この現象も味が合って時代を象徴するとても良い表現内容ですので、1990年代のアニメ絵柄もとても好きです。
ただ、物心ついた時から既に「デジタル環境」で育ってきた方の場合、1990年代以前の絵柄を見て「古臭い」、「時代遅れ」と思う方も中にはいるかもしれません。時代の流れですね...。

「昭和レトロ」「平成レトロ」な雰囲気のイラストを描きたい方は、線画のほかにも「」に気を付けて描写することで、比較的簡単にレトロな雰囲気イラストを作ることも可能です。ぜひ、実験してみてください!

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2000年代

●特徴的な部分
・大きな特徴として、全体的に色が鮮やかになった
・線画に丸みを感じるようになった。(硬さを感じることが少なくなった)
・髪のハイライトは「ザ・白」ではなく、有彩色の明度を上げた色で着色された絵柄が多かった

2000年代で有名なアニメといえば、「犬夜叉」、「銀魂」、「涼宮ハルヒの憂鬱」などが有名でした。この時代はインターネットがさらに普及されたことにより、自宅に居ながら世界の情報を広く知ることができるようになった時代でした。
その結果、日本のアニメが海外に広く多く発信されるようになり、日本=アニメという位置づけを世界にさらに広めていった作品が多いような気がします。(あくまでも個人的見解)

2000年代の絵柄で最も特徴的なのは、「色の鮮やかさ」です。これは、1999年~2000年にほとんどのアニメ制作会社がアナログ→デジタルへと環境を移行していった時代でしたので、「赤」は「赤」で表現することが可能となり、結果的に色鮮やかなアニメをお茶の間に届ける事ができるようになりました。
(※ただし、この時代は「ブラウン管テレビ」での視聴がまだまだ多かった時代ですので、これについても考慮する必要がありますが…)

ドローイングソフトの歴史はセルシスの歴史~『CLIP STUDIO PAINT』に至るまで
デジタルツールは1991年から作り始められ、セルに色を塗るという工程をデジタル化した『RETAS』(現在の『RETAS STUDIO』に至る原型)が完成。1993年ごろに動画大手の東映動画(現東映アニメーション)がこれを採用し、いち早くアニメをデジタル化したことにより、周囲の会社にも同ソフトが浸透。2000年になるころには、ひととおりのアニメ製作会社には行き渡っていたという。

引用元:CELSYS

色以外の特徴的な部分をあげると、キャラの描き方が”カクカクしたしっかりめ主線”から、”少し丸みを帯びて柔らかくなった主線”が目立つようにりました。

こういったアニメ界隈での絵柄の流行があったのか、アニメの元ネタ(漫画やライトノベルなどのイラスト)のキャラは線画が1990年代のように「カックカク」描写だったのに、アニメ化した時には「あれ?顔がちょっと丸くなった…?」という作品も少なからずあったように思えます。
これは「流行に合わせた絵柄」に寄せて、アニメ制作時のキャラクターデザインしたのかもしれません。

他の特徴を上げるとすると、服のシワの描写においても1990年代と比べると常に細かく描かれているように感じます。ちなみに、2010年代になるとより細かく&リアルな描写なっていきます。

2000年代は、制作環境が大きく変わった事により、アニメの絵柄…というよりは色の具合がかなり変わった時代でした。

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2010年代(+α2020年代)

●特徴的な部分
・前髪の「もこっ」とした表現が少なくなった
・鼻の描き方がかなり簡略化してきた
・女性キャラについては、手の描写がリアル世界よりも気持ち小さく描かれるようになった。
・口の開き方が小さくなった。(特に美少女アニメ系だと大げさな表情の描写が少なくなった)
・常にオーバーレイ描写や反射光なども描かれるようになった

2010年代に突入すると、当時放映されていたアニメのほとんどが「デジタル環境」で描かれたものとなり、アナログで制作されたアニメはほとんど見なくなりました。
アニメ会社ははもちろんのこと、全国の絵描きさん一人一人にも「デジタルソフト」が広く普及していった時代です。デジタル技術は年々進化していったことにより、テレビアニメ内であってもイラスト描写でよく見られる「グロー」や「オーバーレイ表現」などといった高クオリティな描写が、頻繁に見られるようになりました。

ちなみに、長寿アニメ「サザエさん」の制作環境は、2005年から部分的にデジタル環境で制作していき、2013年にデジタル環境に完全移行したそうです。

日本動画協会によると、テレビで放送されているアニメでセル画を使って制作しているのは「サザエさん」が唯一とみられ、日本のアニメの発展を支えたセル画がテレビから姿を消すことになる。(2013年9月27日記事)

スポニチ Sponichi Annex

1990年代、2000年代と比べると、2010年代+2020年代前半に放映されたアニメは、毎週の作画が「一昔前の劇場版アニメか!?」と思うほど、当に綺麗で丁寧に描写されています。

2010年代の絵柄において特に特徴的な部分を上げるとすると、「鼻の描写」がかなり簡略化されました。
1990年代はしっかり描写、2000年代時点からは「黒ぽつ(黒点)」で描かれることが多くなりましたが、2010年代ではさらに小さく、もしくはシーンによっては鼻そのものすら描かれないアニメもチラホラみられるようになりました。

そもそも「黒ぽつ」すら描かれず、「鼻の影or鼻の光」描写しか描かれていないアニメ、シーンもあります。こちらはどちらかというとイラスト界隈内でそういった描写が増えているような気がします。
(「原作があるアニメ」において、原作の絵柄によってもちろん異なってきますが…)

このままいけば、もしかすると近い将来、「黒ぽつ」描写すらなくなり、かつ影すらもなくなったり…なんてことになるかもしれないですね..。


「瞳」の移り変わりはより顕著に見える

これまでは「絵柄全体」の特徴について説明してきましたが、その中でも「瞳」の描写については特に各時代の流行が見えやすい&反映されやすい部位だと思われます。

数年前、この瞳に関する絵柄の移り変わりをTwitterに投稿したところ、かなりの反応をいただくことができました。
各時代の絵柄を調べつつもどちらかというと個人的主観が多い内容ではありましたが、多くの方に共感していただけたということ、即ちあながち間違ってはいない話かもしれません。

狙った時代の絵柄を表現したい場合は、人物の体全体の描き方はもちろんのこと、「瞳」に関しては特に観察をしつつ、より力を入れて描写した方が良い部位かもしれませんね。


2020年代前半は?

さて、ここまでは3つの時代の絵柄を紹介してきました。
2020年代はまだまだ先がありますが、現時点で振り返るとするとどういった絵柄が流行してきたのでしょうか?

これは完全に個人的見解にですが、現時点では「この絵柄が流行っている!」と言えるような、特徴が突出した絵柄はないかと思われます。
むしろ、一昔前、それこそ1990年代以前、1990年代、2000年代付近の絵柄も積極的に描かれているような状態です。

若いクリエイターであっても、1980年代、1990年代の絵柄に魅了されて独自で研究、その結果、時代を感じる絵柄をモノにして、そういった絵柄を必要とされている案件を獲得している…なんていうイラストレーターも少なくありません。

依頼先や使用先コンテンツの内容によっては、そういった一昔前の描写を求めている方も多く、これに伴い時代を感じさせる絵柄を描くことができるイラストレーターの需要も高まっていると思います。

転じて、今の時代はどの絵柄にも需要があると言えますので、もし「自分の絵柄は古臭いんじゃないか…?」と考えている方がいる場合は、しょんぼりすることはありませんし、無理をして今風の絵柄に合わせる事もないんじゃないかなと思います。
どんなに描き方を努力しても「古臭い絵柄」になってしまう場合は、そこを逆手にとって自分の持ち前の絵柄として研いでいくのも一つの道ではないでしょうか?

今回制作した記事は、あくまでも「絵柄はこんな感じで移り変わってきたよ」、「特定の年代を狙った絵柄を描きたい場合は、この特徴を掴んでおけばいいんじゃなかな?」という意図で執筆していますので、趣味から仕事までイラストを絵が描かれる方にとって参考にしていただけると嬉しいです。

ぜひ描いてみてください!



おまけ:2020年代に制作した「昔風の絵柄の作品」の参考動画

●1990年代の雰囲気が味わえる参考MV

・Dua Lipa - Levitating (Official Animated Music Video) 
こちらは2021年に公開されたDua LipaさんのMVです。サムネイル画像から見て分かる通り、1990年代風のアニメをコンセプトとしたMVとなっています。
初見で見ると、1990年代に制作されたように見えますよね?でも、実は数年前に制作されたものなんです。

パッと見で見ると、セーラームーンなどといった1990年代に放映された美少女系アニメを想起させられるような絵柄です。
アニメの絵柄はもちろんのこと、カメラワークなどといった映像技術に関しても一昔前の動きを取り入れているように思えます。


降幡 愛「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」Music Video)
こちらはどちらかというと1980年代寄りのアニメ絵柄になりますが、楽曲及びMVの発売日は2022年4月、つまりはここ近年で投稿された作品です。
まるで、「その時代に制作されたものをYouTubeに再投稿しているのか!?」と思えるほど、時代を感じる特徴を的確に表現した、超素敵なMVとなっています。
映像全体にかかっている「色収差エフェクト」がアナログっぽさを醸し出していて、さらに時代を感じる事ができます。


まとめ

●デザインの流行り、移り変わりは、10年ごとに区切って紹介や比較をされることが多い。アニメやイラストの絵柄においても同様。

●1990年代の絵柄の特徴は、主線は黒、主線はしっかり&きっちり描いた作品が多い、アナログ主流のため、色に若干くすみがあるetc…

●2000年代の絵柄の特徴は、デジタル環境移行期間であったため、1990年代と比べて色合いが鮮やかに見えるようになった、主線に丸みを感じる描写が多くなった、髪のハイライトは「真っ白」ではなく、有彩色の明度を上げた明るい色を使用する作品が多くなったetc…

●2010年代の絵柄の特徴は、鼻の描き方がかなり簡略化してきた、オーバーレイや反射光などといったエフェクト描写が当たり前のように描写され、毎週クオリティ高いアニメが見られるようになったetc…

●特に「瞳」の描写については、時代を感じやすい、伝えやすい部位

●2020年代現在は今のところ「コレ!」といった象徴する絵柄について言語化はまだ出来ていない。が、様々な時代の絵柄も多く描かれている


最後までご覧いただきありがとうございました!
それでは!


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