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実話怪奇異談「新幹線二話」

①「泣き声」

前の席の人が突然、泣き出す。
ものすごい勢いで泣きわめき出したので、
いい加減にしろよと席を立ち上がり
注意しようと前の座席を見た瞬間、
気づいた。前の座席は空席だった。誰一人その泣き声に気づいていないのか
急に立ち上がった自分を見て変な顔をする。

②「揺すり」

新幹線で少し寝ようと寝落ちかけたとき
誰かに起こされる。だが誰もそばにはいない。
そんなことが何度かあり、体を揺する何者かの手をつかんで正体を確かめてやろうとしたそのとき、つかんだはずの手が手の中で消え、そのまま握りこぶしをつくった手を見て、「あれ……さっきまでつかんでたんだけど……」と不思議そうにしばらく何がなんだかわからず呆然としていた。

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