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刃・実話怪談「自動筆記」

 毒島さんが子供の頃、
(小三)くらいにリビングな階段の壁面に
らくがきをしていたことがある。
ある時毒島さんの母親が妙ならくがきを見つけた。
それは毒島さんの字で、
まだ覚えたての漢字とひらがなを混ぜたようなもので、漢字は苦手なのかほとんどがひらがなだったが、
きょう年 六十九 ぶすじま あきひこと書いたが、
 それは毒島さん本人の名前。
享年なんて難しい言葉は知らないはずだ。
そもそもらくがきの内容が不気味だった。
消しても落ちなかったので壁紙ごと変えた。
その日からカウントダウンがはじまった。
69まであと、35年。
69になったら、本当に死んでしまうのか、
どうしても単なるらくがきとは思えずにいる。

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