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ショートショート・厭「予感」

今日はエイプリルフールだ。
ゆえにすべてが嘘に思えてくる。
今日を乗り切れば嘘の世界から
解放される。久しぶりに
母親から電話があった。
騙そうったってそうはいかない。
俺は今日は家から一歩も出ないぞ。
そんなことよりなぜここはこんなにも暗いのだろう。朝だというのに夜みたいだ。おまけに外からは何かの音が聞こえている。これは…お鈴の音…?

先ほどから身動きができないことに気づいた。
おまけに手は胸の前で組まれている。

まさか…俺は死んでいるのか…

まさか…そんなはずはない。

ただし、次の瞬間、世界を揺るがす衝撃とともに

バネの力で勢いよく上空に跳ね上げられた。

「はじめて見る景色…」

何かのパーティーだろうか、笑顔の人たちが小さな緑や青や赤のおもちゃの短剣を手にしている。

こちらを見上げている。

そこで私はようやく自分の役割を理解した。

テレビでは、葬儀会社のCMが今まさに終わろうとしている。やがて次の製菓会社のチョコレートのCMに変わる。

まっ逆さまに落ちる。
私は誰かの手のひらに包まれながら、

「もう一度」という言葉で、再び定位置に戻されるのだ。

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