2017年12月の記事一覧
写真批評 サシイロ 2 〜喪失と讃歌
愛を失った時、人はその愛を得た経験自体を無かった方がよかったと思うだろうか。その愛をくれた人と出会わなければよかったと思うだろうか。
もし、あなたがそう思うのなら、あなたは本当の愛を知らない人かもしれない。
冒頭の写真は荒木経惟の「愛ノ花」からだ。これは単に花を撮ったものではなく、花に妻の陽子さんを重ねて撮ったものであることは改めて言うまでもない。
花は咲き始めも花盛りの時期も趣きがあるが、この
写真批評 サシイロ 1〜モノクロ写真に惹かれて
写真を鑑賞する時、私達は撮られた被写体を見るのではなく、被写体に対するカメラマンの視線を見ることになる。この複雑な構造が、写真鑑賞の面白さの1つだ。
写真は、撮る者が試される。撮った写真には、撮った者の人間性が表れる。人間性というのは言いかえると、被写体に対して抱くカメラマンの心情である。それは被写体とカメラマンの関係性として写真に表れる。
そして、特にモノクロ写真の場合にそれは顕著に表れるのだ