アジサイ

今年も、あなたの季節がやってきましたね。
毎年、大輪の装いで、雨の日もきれいに咲いてくれてありがとう。
励まされます。
 
でもね、この頃は、強い雨が降りますね。
今日もそんな雨が降っています。
心配になってあなたを見ると
ふと、雨に紛れて泣いているように思えました。
 
激しい雨に着かれてしまったの?
真夏の太陽が恋しいの?
もしかしたら、
みんなが花だと眺めるその姿が
実はガクだということに悩んでいるの?
 
細い茎が、銀色の雨の糸に重なります。
 
あなたの深い悩みを
あなたの秘めた悲しみを
すっかりわかってはあげられないけれど
つらかったのね。
今度は私が、あなたを励ますことできないかしら?
 
こんな風にあなたに話しかけているうちに
どれくらい時が経ったでしょう?
雨はあがり、にわかに陽も射してきました。
 
水をえて、
光を得て
凛としたその姿に
励ましていたはずの私は
言葉に頼っていた私は
あべこべに励まされてしまいました。
 
あなたは、今、無数のしずくを纏って、輝いています。
それがたとえ何のしずくであろうと…。
明るい雨上がりのあなたへ
ありがとう。

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