見出し画像

ラノベでは著者名は覚えてもらえない?

よくこう言われます。ラノベでは著者は覚えてもらえない。作品名(タイトル名)だけ覚えられて、著者は覚えてもらえない。だから、どんなに売れる作品を書いても(その売り上げが)次の作品につながらない。

次の作品につながるかどうかは今回は問わないとして、本当にラノベでは著者は覚えてもらえないのか

ラノベでは著者は覚えてもらえないことを示すためには、他のジャンルと比べてどうなのかを示す必要があります。そこで、作品名だけ覚えるのか、著者とセットで覚えるのか、

・ラノベ
・漫画
・一般小説
・映画

でそれぞれアンケートを取ってみました。

結果はこうでした。順次説明していきます。まず、大衆小説とか文学などの一般小説。

アンケート・一般小説についてタイトルだけ覚えるか、著者も覚えるか

作品名と著者をセットで覚える人は38.2%。著者の名前だけ覚える人と合わせると45%。作品名しか覚えない人は15.7%です。

つづいて、漫画の場合。

アンケート・漫画についてタイトルだけ覚えるか、著者も覚えるか

作品名と著者をセットで覚える人は30.6%。著者の名前だけ覚える人と合わせると35%。一般小説より少なくなりました。逆に、作品名しか覚えない人は21.3%。増えています。

では、ラノベの場合はどうなのでしょう?

アンケート・ラノベはタイトルだけ覚える? 著者も覚える?

作品名と著者をセットで覚える人は23.5%。著者の名前だけ覚える人と合わせても27%。さらに漫画よりも少なくなりました。一般小説、漫画と比べると、ラノベが一番数字が低いです。逆に、作品名しか覚えない人は26.8%。増えています。並べて比較してみましょう。

作品名と著者をセットで覚える人の比率
・一般小説……38.2%
・漫画……30.6%
・ラノベ……23.5%

一般小説と漫画とラノベを比較すると、著者を覚える人の比率はラノベが一番低いです。ラノベでは著者は覚えてもらえないというのは、どうやらその通りのようです。

著者名を覚えてもらえる比率を高い方から低い方へと並べると、漫画はちょうど一般小説とラノベの中間なんですね。

↑著者名を覚えてもらえる
  一般小説(大衆小説や純文学。ラノベ以外)
  漫画
  ラノベ
↓著者名を覚えてもらえない


ただ、作品名だけ覚える人の比率は、ぼくが予想していた数字よりも低い感じ。1/3とか1/2とか思ってたのですが、

作品名だけ覚える人
・一般小説……15.7%
・漫画……21.3%
・ラノベ……26.8%

一番比率が高いのはラノベですが、それでも1/4。1/4だと、そんなに影響しないんじゃね?って感じがしてきますが、「普段は作品名、気に入った作品だけ著者も覚える」という比率も足して「普段は作品名だけ」という人を出してみると、

普段は作品名だけ覚える人
・一般小説……54.4%
・漫画……66.1%
・ラノベ……72.9%

うん、ラノベ、多いね。3/4が、「普段は作家名は覚えない」という感じ。文学とか大衆小説の方が、作家の名前を覚えるんですね。

ちなみに映画の場合、著者名を監督名に置き換えて調べてみると、こういう感じでした。

アンケート・映画についてタイトルだけ覚えるか、著者も覚えるか

……少ねえ。作品名と監督をセットで覚える人は8.9%。つまり、11人に1人。作品名だけ覚える人は52.9%と過半数。みなさんが自身で感じている体感や実感に近い数字ではないかと思います。

ちなみに作品名だけ覚える人の比率を並べると、

作品名だけ覚える人
・一般小説……15.7%
・漫画……21.3%
・ラノベ……26.8%
・映画……52.9%


うわっ、映画、めっちゃ多い。でも、確かにそうだよね。映画を見ても、監督の名前って覚えないよね。作品名だけ覚えるよね。

なぜ「作品名+著者」を覚える人が、ラノベが一番低くて一般小説が一番高いのかの理由については、自分の昔の著作などを眺めながら、「もしかして、表紙デザイン?」ということを思いつきました。

ゼロ年代の初頭までは、ラノベでも表紙デザインが「タイトルと著者」を印象づけるものになっていたんじゃないかと。そしてそのデザインを、一般小説は今もなお受け継いでいるんじゃないかと。でも、ラノベはゼロ年代の途中(?)に「タイトルと著者」を印象づける表紙デザインから「タイトルと登場人物」を印象づける表紙デザインに変更して、著者を後景的に見せるスタイルに変わったのではないかと。それが原因ではないのか……と考えたりしています。是非、学者の方に調査をお願いしたいであります。

というわけで、5/1に『高1ですが異世界で城主はじめました19』(HJ文庫)が発売になったばかりです。

城主19

ラノベではなかなか作家名を覚えてもらえないっぽいので、「鏡裕之」という著者の名前といっしょに覚えてください(笑)。

それから5/28に『巨乳ファンタジー4』という中世ヨーロッパをモデルにしたファンタジーゲームがWaffleさんから発売になりました。

巨乳ファンタジー4

『巨乳ファンタジー』シリーズは2009年に始まった人気作です。『1』が近世ドイツあたりがモデルの舞台で、リュートという主人公の物語。『2』が中世イギリスがモデルの舞台で、ルインが主人公の物語。『3』が古代ローマが舞台で、ユリナスという神が主人公の物語。そして『4』が中世東欧がモデルの舞台で、アストルという修道士が主人公の物語です。是非! リンクを張ると弾かれるので、自力で……!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?