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おぎの議員と水戸泉先生のお二方がなぜズレて炎上していったのか

いまさらながらだけど、おぎの議員と水戸泉先生の騒動を追いかけてみた。ぼく個人としては「不幸な誤読と不幸な説明不足が招いた不幸な炎上」として見えた。尊敬するお二人がこのようになるのは、同じく表現の自由を守ろうとする者にとって、凄く残念です。

最初に覚えておきたいのが、水戸泉先生の問題意識(危機意識)。これを忘却すると、多くのネットの人たちと同じように完璧に誤読する。

水戸泉先生の問題意識(危機意識)……フェミに対抗して、アンチフェミがテロリスト化していくという状況がある。その状況(表現の戦士ではなく、表現のテロリストと化していく状況)に対して、「この状況を避けたかった」。この問題意識(危機意識)を非常に強く持っている。

ここ、めっちゃ重要。今回の件に関する一連の水戸泉先生のツイートは、この問題意識、「アンチフェミが表現のテロリストと化していく状況をなんとか避けたかった」という非常に強い気持ちから発せられている。

さて、今回の発端はアンチフェミ、別の表現でいうとアンチフェミテロリストがおぎの議員を騙るような形で、自治体や観光情報センターに対して爆破予告&殺害予告したことだ。その爆破予告&殺害予告の理由が、フェミを擁護したからという身勝手なものだった。

一言で言えば、アンチフェミがテロリスト化した状況が発生した

ここで、水戸泉先生の問題意識を再掲する。

水戸泉先生の問題意識……アンチフェミがテロリスト化していくという状況に対して、「なんとかこの状況を避けたかった」

この問題意識を念頭に次のツイートを読んでほしい。

これは嘆きであり、同時に外野からお店の人に対してものを言うだけの人への批判なのだ。「ネットで騒ぐだけの人」の「だけの人」という部分を見落とさないでほしい。「騒ぐだけの人」。「騒ぐ人」ではない。「騒ぐだけの人」。おぎの議員は「騒ぐだけの人」ではないので、恐らく対象外だろう。

水戸泉先生は、自治体や観光施設などに対して、「テロに屈するな」「クレームに屈するな」と外部からネットで騒ぐだけのネット民たちを「安全圏」と表現している。

自治体や観光施設に対して、殺害予告や爆破予告がなされた。そのことに対して、「テロに屈するな」「クレームに屈するな」とネット上でネット民たちが騒ぐが、ネット民たちは、殺害予告や爆破予告がされた施設にいるわけではない。つまり、テロに遭遇する危険性や可能性はないわけで、そういうネット民たち、騒ぎ立てるだけの一般の人たちに対して「安全圏」と批判的に表現しているのだ。

ところが、ここで不幸な誤読が発生する。

おぎの議員が、自分への揶揄かと勘違いしてしまうのだ。多くの批判や殺害予告を受けながら表現の自由のために戦ってきただけに――そして今回の件でもとばっちり的に迷惑を受けて、きっと多少精神的にまいっていたのだろう――不幸にも誤読が生じてしまう。

今思えば、この段階で水戸泉先生が「あなた個人のことではない」ってはっきりと否定しておけばよかったんじゃないかなと思うのだが、先述したように水戸泉先生の問題意識は、次のものであった。

水戸泉先生の問題意識……アンチフェミがテロリスト化していくという状況に対して、「なんとかこの状況を避けたかった」

この問題意識が強くあるため、「あなた個人のことではない」と否定することなく、ツイートはテロリスト化しているアンチフェミに向かってしまう。

ほら、ね? 水戸泉先生の意識は、ずっと「テロリスト化していくアンチフェミ」に向けられてるでしょ?

でも、「安全圏という批判はおぎの議員に向けてのものではない」という否定はなかった。アンチフェミがテロリスト化していく実情に対する嘆きと批判と不満とが非常に激しくて、否定の方に向かわなかったのかもしれない。だが、ともかく否定がなされなかったことによって、さらに問題がこじれる。

余裕のある精神状態なら、次のようにはならなかったのかもしれない。でも、アンチフェミテロリストの殺害予告&爆破予告によって、おぎの議員は迷惑を被っていたがゆえに、安全圏の言葉を間違って受け取ってしまい、誤読の解釈を修正できずに進んでしまう。

この「心外」ツイートに対して、水戸泉先生が反応する。

作家は人間分析をする生き物である。水戸泉先生も、恐らくおぎの議員を人間分析されたのだろう。そしてその人間分析の結果を「充分な説明もなく」ツイートしてしまう。

「殺害予告をされたほうが偉いみたいな認識か」という書き方は、ネット民には、凄い上から目線の議員批判に見えてしまっただろう。後述するように、正直、書き方としてはよくない。

「殺害予告をされたほうが偉いみたいな認識か」というのは、おぎの議員への人間分析のツイートだ。「おぎの議員が心外だとツイートしたのは、おぎの議員に、殺害予告された方が偉いという認識があるからか……」と心理分析されたのだろう。それを水戸泉先生はツイートされた。

でも、この切り替えには、誰もついていけなかった。水戸泉先生の連続のツイートにおいて、何が中心になっていたかを追ってみる。

テロリスト化したアンチフェミへの嘆き。安全圏でものを言うネット民たちへの批判

テロリスト化したアンチフェミへの批判

おぎの議員への人間分析(心理分析)

ええと……3番目はトレース無理。誰も追跡できない。遭難する。そして、遭難した。

さらに、おぎの議員の人間分析を終えた後、水戸泉先生は個人の要望もツイートされてしまう。

そもそも政治家なら、殺害予告なんか発生させないように穏便に収束させてほしかったよ。

アンチフェミがテロリスト化していく実情に対する非常に激しい嘆きと批判と不満から生じたものだったが、流れも最悪だった。

この後に、

これ。2つ目の「殺害予告なんか」の「殺害予告」が「おぎの議員への殺害予告」のように読めてしまう。

でも、何度もくり返すけど、水戸泉先生の問題意識は次のようなものだった。

アンチフェミがテロリスト化していくという状況に対して、「なんとかこの状況を避けたかった」

水戸泉先生は、「アンチフェミがテロリスト化していく状況」に対して常に視線を向けている

そもそも政治家なら、殺害予告なんか発生させないように穏便に収束させてほしかったよ。

上記のツイートもそうだった。水戸泉先生は、アンチフェミがテロリスト化していく状況に対して視線を向けながら上記のツイートしている。

つまり、上記のツイートは「おぎの議員自身がおぎの議員への殺害予告を防いでほしかった」という意味ではなく、「おぎの議員には、アンチフェミが自治体や観光施設に対して殺害予告をするなんて状況が起きないようにしてほしかった」という意味なのだ。殺害予告とは、おぎの議員への殺害予告ではなく、フェミを擁護したからという身勝手な理由によって自治体や観光情報センターに対してなされた殺害予告のことを指しているのだ。

だが、不幸にも流れが最悪だった。しかも、不幸にも説明不足だった。ツイート中の1つ目の「殺害予告」は、恐らくおぎの議員への殺害予告2つ目の「殺害予告なんか」の「殺害予告」は「アンチフェミテロリストによる、自治体や観光施設などへの殺害予告」。違う内容のものが、連続的に、まったく同一の言葉で表現されてしまう。正確に意味を把握しろという方が拷問だ。結果、炎上が拡大、ネット民たちが水戸泉先生に対して攻撃する。その攻撃に、水戸泉先生も感情的になっていく(誰もがそうなる)。そして、アンチフェミがテロリスト化していく実情に対して、おぎの議員に対して批判と不満を激しくぶちまけることになる。この激しい批判と不満は、表現の自由を守りたいという非常に激しい熱意により生じてしまったものだ。

ここの「殺害予告」も、「おぎの議員への殺害予告」ではなく「アンチフェミテロリストによる、自治体や観光施設などへの殺害予告」。だが、やはりまったく同一の「殺害予告」という言葉のため、このツイート中の「殺害予告」も「おぎの議員への殺害予告」として受け取られて炎上が拡大する(ツイートの口調が非常に激しく攻撃性の高いものだったことも、炎上に加担した。個人に対する攻撃的な口調は、攻撃側に正論があっても攻撃側を非難の対象に変えてしまう)。

不幸な誤読と不幸な説明不足。

ぼくは、おぎの議員を擁護しようとか批判しようとか、水戸泉先生を擁護しようとか批判しようとか、そういうつもりでこの文章を書いているわけではありません(おぎの議員とは、実は議員になる前からのお知り合いです。知り合いから「彼は将来、議員になりますよ」と紹介された時のことを覚えています。実際に議員になられたので、うわっ、すげえなってびっくりしました。今でも時々会っているので――知り合って10年近くになる&彼が15歳以上年下ということもあって、ぼくも彼のことを親しみを込めて「おぎのくん」と呼んだりするので、同じようにおぎの議員と知り合って長い水戸泉先生が、「おぎの議員を君(くん)で呼ぶな」とネット民にいちゃもんをつけられちゃったのは、思い切り気の毒だった)。

ぼくはただ、どのような意図でツイートがなされ、どこで誤読が行なわれ、炎上していったのかを、明らかにしたいだけなのです――不幸なことが少しでも減ってほしいと願って。表現の自由を守るために戦う人――水戸泉先生もおぎの議員も、ともに表現の自由を守る大切な方たちです――が不幸な誤読と不幸な説明不足を理由にトラブルに巻き込まれるのは、東京都が非実在青少年問題を持ち出した時、表現の自由を守るために『非実在青少年論』を著した者として、うれしくはありません。

ともあれ、ぼくという、お二人からすると外野の存在から見ると、今回の件は不幸な誤読と不幸な説明不足が招いた不幸なズレと炎上に見えます。なので、もし一言あるとしたら――。

ちゃんと説明しようよ! ちゃんと読解しようよ!(笑)


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