WAIS4受検記-zero- これからWAIS4を受ける人のために

割引あり

 2020 年 1 月にWAIS4受検記を書いてから、早いもので三年以上の月日が経った。あれ以来ほんとうに多くの反響をいただき、この記事をきっかけに WAIS4 を受検しますという声もちらほらと聞かれた。大変ありがたいことである。https://note.com/kagakuma/n/nff87f2fcdd9b

 あまりにも反響が大きくアクセス数もあったので、一年が経過したころから有料化に踏み切った。
 それでも需要は絶えないが、WAIS4 の受検に最低限必要な情報は無料で公開しておくべきだと判断した。これから WAIS4 を受検されようか迷っている方は、必要な情報がこの記事ですべて得られるはずだ。また、せっかくなのでこれを機にシリーズを再開させる予定である。
 以下、お付き合いいただけると幸い。

WAIS4を受検する際の注意(無料公開)

 ここからは WAIS4 を受検する際の注意点を書いていく。WAIS4 そのものの詳細や結果の見方などは有料記事に任せるが、ここには最低限これだけは知っておいてほしい点を集めた。

必ず 45000 円を支払うこと

 ギフテッドという言葉が巷で聞かれるようになってから、劣悪な WAIS4 の検査機関が横行するようになった。
 フルセットで受検しようとするコストを明示しておくと、時間的には半日つかうし、お金も 45000 円くらいかかる。社会人でもそう簡単に出せる金額ではない。有給も取らなければならないだろう。まして学生がほいほい受けられるようなものでもない。その上タイパコスパと喧しい世の中では、安価でサクッと受検できる劣悪な業者が出てくるのは仕方のないことかもしれない。
 安いと 19800 円で受検できるところもあるようだが、やめておいたほうがいい。45000 円は必要経費である。WAIS4 はその数値ではなく、心理士からのフィードバックにこそ意味があるからだ。

できれば熟練した心理士を選ぶこと

 WAIS4 自体は確かに IQ を計測するための検査なのだが、ちゃんとした検査機関であれば熟練した心理士が受検中の被験者の様子をじっくりと観察してくれている。事前面談もしっかり時間を取って生育歴など詳しく聞かれる。その結果、同じ数値でもその心理学的な意味が深く理解できるようになるのだ。
 安いところだと単にテストだけをして、はい何点でしたから IQ これくらいですね、じゃあ、といって帰される。それでは意味がない。4つの数値と6つの組み合わせ、そこにどんな意味があり、これからどう生きていけばよいのかを熟練の心理士から教わることでやっと WAIS4 の真の意味が発揮されるのだ。
 では熟練した心理士かどうかをどのように判断すればよいか。ひとつは資格に着目することだ。高い買い物をするわけだから、検査機関に電話をすれば大抵のことは教えてくれる。そこで担当する心理士が臨床心理士あるいは公認心理師であることを確認しよう。このどちらかであればまず問題はない。
 私見を述べると、心理士という職業は経験を積むごとに深みのます職業であるから、できることなら担当心理士もオバサンがよい。まあこれは電話口で心理士の年齢を聞くわけにいかないので(「ご経験は何年ですか」と尋ねるくらいは許されるかもしれないが)、多少の心理士ガチャはあるものと覚悟しておいたほうがいいかもしれない。
 いずれにせよ、臨床心理士か公認心理師は持っていることを確認しておこう。

事前事後の面談の有無を確認すること

 先程も書いたが、事前面談の有無は非常に重要である。
 サービスでちょっと体験記的なことを補足しておこう。私の場合は臨床心理士と公認心理師の両方を持っているおばさんの心理士(間違いなく SSR である)に担当してもらい、検査に先立って 30 分の事前面談を行った。
 そこでは「現在の自分について」「興味のあることはなにか」だけでなく「両親の職業」「幼少期の経験」「両親との関わり」などについても触れられた。「お父様がお家に帰ってくるのは何時くらい?」とか「お母様は普段どんなふうに接していましたか」とか結構踏み込んだ質問もされた。
 これを聞くか聞かないかは大きな違いがあると断言できる。私の場合は処理速度が 100 を大きく下回っているのだが、その理由が生育歴にあることが判明したからだ。その後のカウンセリングの方針にも影響し、まさに人生を大きく変えたといってもいい。
 心理士が何をヒントに自分の人生を読み解いてくれるかは被験者次第であるが、そのヒントを大きく増やすためにも事前面談はきちんと 30 分あったほうがいい。
 一方の事後面談は「結果説明」と呼ばれていることも多い。これも 10 分で済ませるのはもったいない。数値に現れない心理的な側面を知るため、きちんと 30 分とって心理士に詳しく質問したほうがいいだろう。

全検査IQに一喜一憂しない

 せっかく受けるなら全検査 IQ 131 を超えてギフテッド認定されたいと思うのが人の性である。あまり一喜一憂しない方がいい。全検査 IQ より重要なのはディスクレパンシーの方だから
 IQ の項目が 4 つあるのだから、6 組のディスクレパンシーが計算される。このディスクレパンシーこそ自身の特性や生きづらさに直結する数値である。全検査 IQ はたまたまその値が上位何 % に入っているかを示すだけの数値であり、生きづらさでいうなら全検査 IQ は低くてもディスクレパンシーがない(4 項目の数値が揃っている)ほうが圧倒的に生きやすいだろう。
 一番よくないのは、全検査 IQ が高かった/低かったということに気を取られて、最も重要なディスクレパンシーの情報を聞き落としてしまうことだ。天才とは IQ が 131 を超えるものではなく、自身の才能を知って活用できるものをいう。ディスクレパンシーにこそ才能の芽が眠っているのだから、惜しいことをしないように全検査 IQ に気を取られすぎないようにしたい。

 なお私の場合は 5 つのディスクレパンシーが確認された。この記事には 5 つのディスクレパンシーが説明されているので、受検されたかたは大いに参考にしてもらいたい。

 また私の場合は 言語理解 >> 知覚推理 = ワーキングメモリー >> 処理速度 という偏り方をしているので、知覚推理が突出しているなど別の偏り方をしている人はまた違った感覚で生きているだろう。そのあたりも比較してみると面白い。

予習するな

 どうしても IQ を高くしたくてなんとか予習して点数を上げようと試みるだろうが、予習はしないほうがいい。全くの無駄だから
 仮に受検した人が身近にいて試験の全貌を知っていたとしても聞き出すのは無駄である。WAIS4 はどうやら受検者ごとに試験内容を変えているらしく、聞き出した問題はたぶん出題されない。予習するだけ無駄なので諦めてほしい。

 その一方で、受検本番は頭の回転をフルに使って挑みたい。そのための事前準備はばっちり調えておこう。前日はぐっすり眠り、朝食も摂って、試験中に飲む物も集中力が上がるものを選んで持っていくとよい。

試しに受けてみては?

 元記事が盛り上がった頃に比べると若干下火になりつつあるが、自分の特性を知るのに流行は無関係だ。気軽に受検できるものでないのは承知しているが、結果は一生の友となるだろう。この記事をきっかけに WAIS4 を受検し、より多くの人が自分の特性を知り、そして持って生まれた自分の脳と向き合って生きていくことができれば幸いである。

 以下はこのツイートエックセズを RT リポストした人限定のメッセージ。


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