【ゲームレビュー】ベヨネッタオリジンズ、レビュー  本編シリーズとは別物の雰囲気で、完成度の高い傑作


2023年3月8日、ベヨネッタシリーズのスピンオフタイトルであるベヨネッタオリジンズが発売されました。
タイトルが発表されたのは2022年12月でしたが、その存在が僅かに匂わされたのは正式発表よりも少し前、2022年10月発売のベヨネッタ3でした。
ベヨネッタ3の中の隠し要素として、ベヨネッタオリジンズをほんの少し遊ぶことができ、ファンの間では「なんだこれは?」と話題にったのです。
そして、正式発表され明かされたベヨネッタオリジンズの内容は、シリーズの主人公であるベヨネッタの過去編であり、これまでのシリーズとは全く異なる作風のタイトルでした。
というわけで、今回はベヨネッタオリジンズの良かった部分・悪かった部分のレビューを行っていこうと思います。
――といっても、先に言うと完成度が高く、挑戦的ながらもしっかりとした出来のゲームなので、悪い部分はそれほど無いです。
ちなみにネタバレは気にせずレビューしていきます。

絵本をモチーフにした映像表現

という訳で良かった部分。先ずはなによりこの絵本をモチーフにした映像表現です。
アニメ風のグラフィックや、マンガ表現を取り入れたゲームは多いですが、絵本風のグラフィックというのは珍しいですね。
日本一ソフトウェアなどでたまに絵本風ゲームというのは見ますが、そういうのは大抵横スクロールゲームの印象があります。しかしオリジンズは視点固定型の3Dアクションゲーム。3Dで動き回れる世界でありながら、美麗な絵本風アートが風景を眺めているだけで楽しかったです。チェシャの攻撃や爆発などのエフェクトもコミカルであり派手でありアクションの気持ちよさに繋がっていました。
ここ最近のプラチナゲームズはバビロンズフォールやソルクレスタなど、◯◯風グラフィックと言いながらただ画面にボヤけたフィルター貼って画面見づらくしてるだけってイメージがあったので不安でしたが、今回はグラフィック方面は文句なしでした。

アクション

次にアクション部分ですが。これも個人的には凄く面白かったです。
アストラルチェインやベヨネッタ3から続くプラチナゲームズの2キャラ同時操作戦闘システムですが、今作は特に2キャラを左右別々同時に操作する感覚が強調されていましたね。
アストラルチェインやベヨネッタ3ではレギオンや魔獣がある程度自動で動いてくれて、そちらが戦っている間に自キャラも動かして、という操作でしたが、オリジンズは完全に2キャラを左右のコントローラーで同時に動かさなければならず、脳をフル回転させることになりました。
そこは最初慣れるまで難しいのですが、徐々に慣れていく感覚がセレッサがチェシャと心を通わせるストーリーとシンクロして、ゲームへのめり込むきっかけになっていたと思います。
アクション自体もチャンスタイムが明確で、チェシャの強力な攻撃をぶち当てる感触は気持ちよく作られていました。 
本編シリーズに比べればアクションが物足りないという意見も耳にしますが、それはまぁ全くの別ゲーなのでアクションの濃さも変わってくるかなと。
こういう探索・謎解きがメインのゲームとしては十分以上に面白いアクションだったと思います。

シナリオ

ベヨネッタ3はシナリオでイマイチ評価を落とした感がありましたが、オリジンズは逆にシナリオでより評価が上がった気がします。
未熟だったセレッサとチェシャが絆を育んでいくと共に、成長していく過程が丁寧に描かれ、感情移入しやすい作りでした。
世界観も狭い範囲のストーリーでありながらよく纏まっていて、本編の壮大なストーリーとはまた違った満足感がありました。
特に良かったのはラスボス戦で、ラスボスの存在が超えるべき壁でもあり、憎みきれない戦うことが辛くなる相手でもあるのがこれまでのシリーズには無い物悲しさで心に来ました。
ベヨネッタ3のシナリオが賛否あるのはラスボスが面白みのないつまらないキャラだったのが大きいと思ってますが、オリジンズはシリーズでも屈指の良いラスボスだったと思います。
ビターなエンディングも、雑に主人公を死なせて感動させようとした3とは違い、辛い経験を超えて成長した主人公が旅立つというグッとくるものでした。

謎解き・探索要素

私はアクションゲームが好きでベヨネッタを遊んでいたので、発表された時点ではそれほど謎解きも探索も期待はしていなかったのですが、実際遊んでみると予想以上に力を入れて作られていることが分かりました。
謎解きはそれほど本格的なモノでは無かったですが、セレッサとチェシャを別々に動かしてギミックを解いていくのは新鮮で、よくある謎解きギミックとは一味違うモノが味わえました。
探索要素はかなり豊富で、全てコンプリートするのは大変ですがクリアまでの寄り道要素としては飽きさせない工夫として効果的だったと思います。
全体的にゼルダのような謎解きとメトロイドのような探索に、このゲーム固有の2キャラ同時操作を組み合わせたような手応えを感じました。


見た目にデフォルメが効いているのでパッと見では小規模なゲームに見えるのですが、実際のボリュームは結構なモノがあり、演出やアクションは非常に力が入っています。
値段分以上の価値は間違いなくあるので、まだ買ってない人は急いで買いましょう。

マップの見づらさについて

悪かった部分、気になった部分についてですが、先ずはマップの見づらさがありました。
フィールドの高低差が激しいゲームではよくあるのですが、そういうゲームでは行きたい場所がマップでどこなのか分かりづらいことが多く、このゲームでもそういう部分が探索要素の妨げになることが時折ありました。
たしかに木の上や崖の上にいけるのはフィールドとして悪くないのですが、移動のストレスは極力減らしたほうが良いと思いました。

ティルナノーグについて

このゲームの謎解き要素のメインであるティルナノーグですが、これについても一つ不満があります。
それは謎解きステージの数が少ないことです。
ブレスオブザワイルドでいう祠のような専用謎解きステージ(もしくはギミック攻略ステージ)は楽しいのですが、後半に行くにつれて敵との戦闘オンリーのステージばかりになるのが物足りませんでした。
戦闘は通常ステージで十分出来るので、もっと謎解きステージを作ってほしかったです。

キャラクターボイスについて

私は英語音声でプレイしたのですが、クリア後に他人のプレイを見るのが好きなのでこのゲームでもそうしていましたが、主人公セレッサの日本語ボイスが微妙に感じました。
まぁなんというか、おばさんが頑張って幼女声出してる感があるというか、英語音声に比べると不自然さが目立ちました。
なにより演技の幅が狭いんですよね。
ヴィオラとセレッサ同じ声優ですごいーとか言ってる人も居ましたけど、演技の幅ってそういうことじゃないんですよね。
例えば終盤のラスボス戦周りですが、セレッサが恩師を倒す決意を固めて魔女として覚醒するシーン。普段は可愛いセレッサもここでは勇ましい姿を見せます。
が、日本語の声優だとそういうシーンでも常になんか可愛い子ぶったような演技になってるんですよね。
そうなる理由はおそらく、無理して作っている声だから演技に幅を持たせられないのだと思います。
そもそもあの甲高い裏声自体あんまり可愛いとも思いませんでしたが、英語音声だとそういう問題点もなくストレスなく聞けるので英語音声がオススメです。

最後に

まぁ不満点もいくつか書きましたが、それを上回る魅力が詰まったゲームというのが私の評価です。
しかし、メタスコアを見ると81点と低くはないけどイマイチ物足りない点数なんですよね。
私的にはもっと点数高くても良いと思いました。
レビューサイトの平均点がこの点数になった理由は、やはり外伝作品であるという部分が大きいのではないかと。
メタスコアを個別に見ていくと、高評価は多いが100点満点が極端に少ないことが分かります。
それは本編シリーズを満点とした時、外伝作品でかつ、見た目は小規模ゲームのように見えるこのタイトルにも同じように満点を付けることに抵抗感があったのでは無いかと思います。
これが新規IPなら、斬新かつ完成度が高い出来栄えに100点を付けるサイトも増えたのではないかと予想します。
売上的にも外伝シリーズということで購入を躊躇った人も多いのでは。
オリジンズの制作スタッフには、是非新規IPにも挑戦して欲しいですね。
ではこれくらいでベヨネッタオリジンズのレビューを終わります。

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